Project/Area Number |
22K09579
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
青葉 香代 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90468380)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 着床 |
Outline of Research at the Start |
体外受精・胚移植の成功率の向上は少子化に対する対策として有効である。生殖補助技術は大きく進歩したにもかかわらず、着床障害の原因は不明な点が多い。着床過程の分子基盤の解明および着床率調節因子の検索・同定は、社会的要請である。我々は、ダイカルシンというCa結合タンパク質及びそのペプチドを用いたIn vitro 着床アッセイで着床率が有意に低下することを見出した。一方で、ダイカルシンの標的分子の一つを投与した場合には、着床率は増加した。そこで本研究では、ダイカルシンの着床調節作用の分子メカニズムを多面的・包括的に解析し、そのことを通し、着床率を調節する革新的なリード化合物を創出することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年の生殖補助技術(ART)の進歩は、従来は妊娠困難な症例に対し挙児の喜びをもたらし、有効な医療として機能している。一方で、ARTによる妊娠成立の成功率にはまだ改善の余地がある。妊娠不成功症例の原因として着床障害によるものも多いと考えられ、着床プロセスの分子基盤の解明および着床率を調節する物質の検索・同定は、社会的要請である。そこで、本研究では、広く脊椎動物に存在し受精調節作用を持つダイカルシンの着床調節作用の分子メカニズムを多面的・包括的に解析し、広く脊椎動物の着床率を調節する革新的なリード化合物を創出することを目指している。 2023年度において、下記の成果を得た。 1. ダイカルシンの標的分子である糖脂質GM1bを細胞外からBeWo細胞(ヒト胚モデル細胞)に投与すると、BeWo細胞スフェロイド-Ishikawa細胞(ヒト子宮内膜モデル細胞)の接着率は増加する。このGM1bの着床調節作用の分子基盤を解明することを目的に、GM1bを細胞外から投与したBeWo細胞とコントロール条件のBeWo細胞を用いて、RNA-Seq解析を実施して複数の候補遺伝子を同定した。得られた候補遺伝子について、GM1b投与後の転写の変化をリアルタイムPCRで解析することを試みている。2. GM1bによるインテグリン以外の接着因子発現への影響を解析するために、GM1b投与後のBeWo細胞を用い、着床を調節するシグナルとして知られるセレクチン、セレクチンリガンドについてウェスタンブロットによる解析を行っている。3. GM1bによるin vivo着床調節作用の分子基盤を解析するために、性成熟したマウスを交配させた後、非侵襲的に子宮内にGM1bを注入した。数日飼育後着床部位の数を比較解析したところ、子宮における着床部位の有意な増加がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の当初の計画は、1;RNA-Seq解析により得た複数の候補物質について、リアルタイムPCRで実際の遺伝子動態を詳細に解析、2;ダイカルシンによるインテグリン以外の接着因子発現への影響を解析、3;ダイカルシン-ダイカルシン標的物質作用軸によるin vivo着床率への影響のさらに多数例での解析、4; BeWo細胞の浸潤関連因子への影響の分子解析、であった。1について、 RNA-Seq解析により得た複数の候補遺伝子について候補遺伝子の転写量の変化をリアルタイムPCRで解析を行った。また、候補遺伝子産物(タンパク質)の量的変化を検討するために、ウェスタンブロット解析を行った。2については、着床を調節するシグナルとして知られるセレクチン、セレクチンリガンドとダイカルシン作用軸の関係についてウェスタンブロット解析を継続中である。3についてはin vivo着床率の違いについてさらに多数例での解析を実施したところ、子宮における着床部位数の有意な増加がみられた。4については、ある培養細胞株において、ダイカルシン投与により、MMP2およびMMP9の活性が有意に低下する結果を得ている。以上のように研究課題は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に引き続き、RNA-Seq解析により得た複数の候補遺伝子について、リアルタイムPCRにより遺伝子動態を検証後、当該タンパク質の挙動をウエスタンブロット解析により検証する。ダイカルシンによるインテグリン以外の接着因子発現への影響を検証するため、ダイカルシン投与後のBeWo細胞のウエスタンブロット解析を継続する。また、in vivoにおけるダイカルシン-GM1b軸による着床への影響については、すでにGM1bの子宮内投与により、自然交配での着床率の増加は確認できた。そこでさらに、GM1bによる体外受精卵の着床への影響を検証する予定である。浸潤関連因子への影響の分子解析については、ダイカルシンあるいはGM1bがMMP活性に及ぼす影響を解析することを計画している。
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