Project/Area Number |
22K09605
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
板倉 敦夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (70262897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和気 秀文 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (50274957)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / Dahl salt-sensitive rat / 運動 / 自律神経 / 圧受容器反射 / 妊娠高血圧腎症 / 視床下部結節乳頭核―延髄孤束核系 |
Outline of Research at the Start |
妊娠中に発生する妊娠高血圧腎症(PE)は、妊娠中の重篤な合併症である。近年発症機序が明らかとなり、Two-stage theoryがコンセンサスとなっている。しかしTwo-stage theoryでは説明できないBaroreflex Sensitivity (BRS)の低下と交感神経緊張もみられ、病態に関与している。そこで今回、妊娠中の血圧調節における交感神経の作用と、PEにおける交感神経緊張の機序を明らかにすることともに、次世代への影響として仔の成長後の血圧等を解析して、妊娠中の血圧および運動の影響を明らかにすることを目的とした研究を計画した。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、妊娠高血圧腎症における血圧上昇の機序に関して自律神経異常が関与し、さらにその自律神経異常が運動にて改善する、という仮説を検証するものである。その自律神経異常の重要な部位として、視床下部結節乳頭核―延髄孤束核系(ヒスタミン作動系)を想定した。 今年度は、まず昨年度に引き続き加重型妊娠高血圧腎症モデルラットであるDahl salt-sensitive rat(DSSR)における運動効果の確認を行なった。飼育期間中にテレメトリーシステムを用いた心拍数と血圧の測定、周波数・時系列解析による自律神経指標と圧受容器反射感度の解析、さらに尿蛋白量の測定を行った。また、飼育期間終了後に脳および胎盤を採取し、遺伝子発現解析を実施した。加えて上記の実験で、DSSR における運動の効果として圧受容器反射が妊娠初期に有意に改善を認めたため、別のラットを用いて妊娠初期に脳(特に延髄孤束核、視床下部結節乳頭、吻側延髄腹外側野)を採取し、遺伝子発現解析を行った。 DSSR における運動は、妊娠初期における血圧改善、圧受容器反射改善を認め、妊娠末期の胎仔発育の改善も認めた。またこの時期において、運動は吻側延髄腹外側野の遺伝子発現に影響を及ぼすことがわかった。一方で、延髄孤束核のヒスタミンH1、H2受容体、視床下部結節乳頭核のL-ヒスチジン脱炭酸酵素の遺伝子発現には運動による変化を認めなかった。 以上より、運動による妊娠初期の圧受容器反射感度の改善には、ヒスタミンを介した視床下部結節乳頭核―延髄孤束核系ではなく、吻側延髄腹外側野を介した機序によるものと考えられる。また、本研究により運動習慣はPEにおける自律神経異常の改善をもたらすという新しい知見を得ることが出来た。運動習慣は、PEによる周産期死亡率の高い発展途上国における安価な治療法の一つにもなり得るため、本研究成果の意義は大きいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想していた血圧の変化は認められたが、その原因として想定していたヒスタミンを介した視床下部結節乳頭核―延髄孤束核系の遺伝子発現変化は認められなかった。一方で、自律神経調節に関わる吻側延髄腹外側野での変化を認めたため、今後論文化は可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
想定していたヒスタミンを介した視床下部結節乳頭核―延髄孤束核系の遺伝子発現変化は認められなかったため、当初予定していた脳内の局所注入は行わない方針とした。一方で、自律神経調節に関わる吻側延髄腹外側野での変化を認めたため、最終年でさらに解析を進めて、研究を完成させたい。さらに当初の予定になかった胎盤組織の遺伝子発現についても解析していく。
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