細胞性トロフォブラストサブタイプによる、トロフォブラスト融合メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K09608
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
田邉 裕美 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 共同研究員 (70804277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 部長 (60181765)
宮戸 健二 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, 室長 (60324844)
森田 英明 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 室長 (90365320)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | Annexin V / CD49f / ERVFRD-1 / CGA / トロフォブラスト / 細胞融合 / CTBサブタイプ / 網羅的遺伝子発現解析 / 上流解析 |
Outline of Research at the Start |
胎児の発生には正常な胎盤の形成が必須である。胎盤絨毛はトロフォブラスト(TB)と呼ばれる細胞から成り、TBは増殖能と多分化能を持つ細胞性TB(CTB)、CTBが細胞融合した合胞体TB(STB)を含む。胎盤の形成・維持には細胞融合が欠かせない。胎盤絨毛から分離したTB(PHT)の融合は生体外でも観察され、融合機構の一端は明らかになっているが、生理的な環境下での融合機序には不明な点が残る。我々はPHT分画に含まれる分化程度の異なるCTBサブタイプの遺伝子発現の変化を網羅的に解析し、上流解析を行うことで融合・分化の分子スイッチ、on・offの切り替え機構に関わる転写因子やシグナル伝達系の解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
妊娠期間を通じ、胎盤関門を構成する合胞体性栄養膜細胞(STB)は、増殖能と多分化能を持つ未分化な細胞性栄養膜細胞(CTB)の分化・細胞融合によって形成維持される。満期娩出胎盤の絨毛から分離した栄養膜細胞(primary human trophoblast、以下PHT)は生体外でも融合能が維持され、細胞融合や胎盤機能を検討するモデルとなる。本研究はこのPHTを用い、CTBの分化・細胞融合の分子スイッチ、及び融合スイッチのon・offの切り替え機構など、分子機序の解明を目的とする。 本年度は第一段階として、フローサイトメトリーを用い、様々な分化状態を含むPHTから、分子マーカーを用いて融合スイッチがonになったCTBと、offのCTBの分取を試みた。CTBのマーカーにはCD49fが、融合スイッチのon/offの分子マーカーにはAnnexin Vが適切であった。 次に第二段階として、分取したCTBサブタイプ100細胞からライブラリーを作成し、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、融合スイッチがonになったCTBでは、ERVFRD-1 (Syncytin2)やCGA、エストロジェン合成に関わる遺伝子の発現が増強していることが判明した。また細胞が融合するためには前段階として細胞が集合する必要がある。そこで融合スイッチがonになったCTBで発現が上昇しているケモカイン関連遺伝子を探索し、ケモカイン受容体Aを見出した。 さらに第三段階として、上記トランスクリプトーム解析の発現変動遺伝子をIPAによって上流解析を行い、転写因子や受容体の制御因子の抽出を行った。その結果、成長因子Xが最上位に抽出され、続いて転写因子、受容体などが抽出された。 次年度は最上位に抽出された成長因子Xやケモカイン受容体Aを用い、細胞融合が促進されるかなど、培養実験を行って確認してゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2022年度はCTBサブタイプの分取条件の検討、ライブラリー作成条件の検討、DNA抽出を予定していた。このうち、CTBサブタイプの分取とライブラリー作成は条件検討が終了したため、2023年度に予定していた網羅的発現解析を優先して行い、IPAによる上流解析まで研究を進めることができた。以上から、当初の計画以上に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に実施した上流解析によって抽出された制御分子群の内、最上位に抽出された成長因子Xと、融合スイッチがonになったCTBのみで発現が増強するケモカイン受容体Aが明らかになった。これらの分子群の関与は新規性が非常に高いことから、2023年度はこれらの分子群のCTB融合への影響をPHTを用いて確認する実験を優先して実施する予定である。そのため、DNAを用いた網羅的メチル化解析は、最終年度に持ち越すこととした。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)