分子・形態・電気生理統合アプローチによる言語音聴取発症の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K09663
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56050:Otorhinolaryngology-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
相古 千加 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (10523889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 智彦 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 主任研究官 (20546551)
伊藤 哲史 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90334812)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | Single cell RNA‐Sequence / Single nucleus RNA‐seq / 聴覚 / 難聴 / 耳鳴り / 分子メカニズム / Single cell / RNA sequence |
Outline of Research at the Start |
耳鳴は高齢者のQOLを低下させる要因の一つであり、治療法の開発は急務である。このためには、耳鳴の発生部位である下丘の神経回路、病的状態での変化、耳鳴発症機序を解明することが必要である。しかし、下丘の正常神経回路の構成要素の詳細も機能変化も不明である。 本研究は、①下丘神経回路の細胞種を同定する②それらが発現する遺伝子群を正常、難聴動物で網羅的に同定する③細胞種のマーカー遺伝子を明らかにする④その遺伝子の機能阻害の影響を形態学と生理学から明らかにする⑤マーカー遺伝子のCreマウスを作製し神経活動の制御を行う。 本研究では耳鳴の改善効果を行動学的に検証し、得られる成果は耳鳴の治療法の開発に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
耳鳴の治療法開発が望まれるなか、耳鳴の発生機序は不明であり、その解明のために耳鳴の発生部位として重要視される下丘の正常神経回路及びその病的状態での変化を明らかすることが必須である。しかし、下丘の正常な神経回路の構成要素の詳細は不明であり、難聴によってどのように機能変化を起こすかもわかっていない。 本研究は①Single cell RNA-sequence (scRNA-seq)によって下丘に存在する細胞種を網羅的遺伝子発現解析によって同定し(実験1)、 ②難聴動物の網羅的遺伝子発現解析を行い遺伝子発現にどのような変化が生じるか明らかにし、(実験2)、③これらによって同定した正常機能に関わるとみられるマーカー遺伝子の機能をin vitro系で明らかにし(実験3)、 ④細胞種特異的活動制御によって耳鳴の抑制を試みることで(実験4)、耳鳴の治療法を開発につなげることを目的としている。 現在までに実験1 Single cell RNA-sequence (scRNA-seq)によって下丘に存在する細胞種を網羅的遺伝子発現解析および実験2難聴動物の網羅的遺伝子発現解析を行った。 実際には、Single cell1 RNA-seqの変法であるSingle nucleus RNA-seqを試み、良好なSingle nucleus を得る方法および、RNA-seq library を作成する方法を確立した。凍結サンプルを用いることができる、immidiate early geneの発現の上昇のような調整中に起こる遺伝子発現変化の影響をうけにくい、という利点がある。このSingle nucleus RNA-seqの方法により、ノーマルと爆音暴露した動物のの下丘で発現する遺伝子の網羅的解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3か月齢のマウス脳を用いたSingle cell化、および良好なlibrary作成の方法を確立した。しかしながら、神経細胞以外のOligodendrocyteなどが多く含まれていた。これはミエリンを除去は行ったが、FACS sortingによる神経細胞の選別を行わなかったために非神経細胞の夾雑物のクロスコンタミネーションが多かったと考えられる。 single cell化には、急性スライスからの細胞単離が必要であるが、変法のSingle nucleus-RNA seqは、細胞ではなく核を単離して抽出したpre-mRNAをRNA-seqする方法である。この方法には凍結サンプルを用いることができる、immidiate early geneの発現の上昇のような調整中に起こる遺伝子発現変化の影響をうけにくい、という利点がある。Single nucleusの単離を試み、良好な核サンプルの単離法を確立し、Single nucleus化後に良好なlibraryを作成することに成功した。さらに、神経細胞の核マーカーであるNeuN標識後にFACS sortingを行い、神経細胞の核を濃縮することにより、非神経細胞由来の夾雑物を除去する方法も確立した。この方法を用いて、ノーマルおよび爆音を暴露して難聴を発生させたマウスの下丘から得た核をそれぞれSingle nucleus化し、 RNA libraryを作成した。現在RNA-Sequence解析中である。 single cell RNA-seq からsingle nucleus RNA-seqに変更したことで、方法の確立のやり直しとなり、RNA-seqおよび解析を糖所の予定より多く実施しなければならなかったが、計画から大幅な遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
ノーマルおよび爆音を暴露して難聴を発生させたマウスの下丘から得た核をそれぞれSingle nucleus化し、 RNA libraryを作成した。現在RNA-Sequence解析を行う。下丘に存在する細胞種のマーカー遺伝子候補を選別し、その遺伝子に対するprobeを作成して、in situ hybridization法により、その遺伝子のマーカーとしての機能を検討する。また、ノーマルと難聴それぞれの結果を比較検討し、特に難聴動物で変動している、あるいは変動がみられなくなった遺伝子を難聴関連遺伝子の候補と考え、同様に、その遺伝子に対するprobeを作成して、in situ hybridization法により、発現部位の特定などを行う。 難聴発症方法として、爆音暴露を行ったが、この方法は、より弱い難聴発症方法であり、遺伝子発現の変動がそれほど大きくない可能性がある。その場合には、蝸牛への物理的介入などより強い難聴発症方法を用いて難聴動物を作成することを検討する。その動物から得たsingle nucleus RNA-seq を行う。 in situ hybridization法の結果により、候補遺伝子を選択し、これらの遺伝子のコードするたんぱく質に対して細胞内局在を免疫組織化学で調べる。場合によっては、細胞内局在の詳細を知るために、免疫電子顕微鏡観察や超解像顕微鏡観察も行う。 単離した下丘細胞を初代培養する。同定したマーカー遺伝子に特異的なsiRNAを作成し、大型抑制性細胞に導入してその後の形態と機能の変化を観察することにより、その遺伝子の機能を明らかにする。さらに培養神経細胞に対しパッチクランプ法を適用して膜興奮性などの活動電位発生特性を詳細に記録し、マーカー遺伝子の正常及び難聴時の生理学的機能について明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)