内耳細胞死由来エクソソーム・DAMPsが海馬の空間情報処理に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
22K09674
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56050:Otorhinolaryngology-related
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 賢 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (80534528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 明彦 学習院大学, 理学部, 教授 (00154774)
神崎 晶 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 室長 (50286556)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 内耳細胞老化 / オートファジー / SASP / 酸化ストレス / 内耳細胞死 / エクソソーム / DAMPs / 老化ミクログリア |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、細胞死を起こした内耳有毛細胞から分泌されるexo-mRNAとDAMPsが、ボトムアップシグナルとして嗅内野-海馬の時空間認識・記憶のネットワークに及ぼす影響と老化ミクログリアからの老化シグナル解析を行い、認知症プレクリニカル期のバイオマーカーを発見し、認知症予防を目的とした新規治療薬を開発することである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
内耳細胞障害が、時空間認識能・記憶に与える直接的影響の分子レベルでの解明をするため、先ず内耳細胞老化モデル構築を試みた。その際、内耳培養細胞HEI-OC1を、酸化ストレス誘導剤である亜ヒ酸ナトリウム(NaAsO2)によって短時間曝露(100,250,500μM 1h)し、細胞生存率は保持された状態で内耳細胞増殖率は低下する内耳細胞老化誘導最適化条件(500μM 1h、0-48h)を確定した。この条件にて、細胞老化マーカーであるSA-βgal陽性細胞数は、vehicleと比較して有意に増加したことを確認した。細胞老化表現型の一つである細胞周期停止を確認するため、細胞周期阻害因子 p21, p16 をコードするCdkn1aとCdkn2aの mRNA 発現を解析した。NaAsO2 曝露 24 時間後では、Cdkn1a の mRNA 発現量が増加したが、Cdkn2a の mRNA 発現量は不変であった。p21もNaAsO2 曝露により増加することが示された)。次に、DNA の二重鎖切断のマーカーとして知られるリン酸化ヒストン H2AX (γH2AX) の免疫染色によりγH2AXタンパク質を標識すると、NaAsO2 曝露後に核内でのDNA 二重鎖切断を示すフォーカス数が増加していることを確認された。NaAsO2曝露後のHEI-OC1 細胞においても平坦化と膨隆化を特徴とする形態変化が見られた。さらに、老化随伴分泌因子 (Senescence-associated secretory phenotype ; SASP)関連遺伝子IL-6, IL-1β、CXCL10の発現亢進も認められた。これらの結果から、内耳培養細胞を NaAsO2に曝露すると、DDR及び増殖停止が起こり、複数の細胞老化表現型を呈することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内耳障害が、時空間認識能・記憶に与える直接的影響の分子レベルでの解明するうえで、内耳細胞老化の分子メカニズムの解明は、極めて重要である。それ故まず、in vitroレベルで加齢性難聴を再現するために、曝露によって加齢性難聴と類似の聴力図を示す亜ヒ酸ナトリウム(NaAsO2)を酸化ストレス誘導剤として使用した。NaAsO2曝露によるDNA損傷が、内耳細胞の細胞周期を停止させ、細胞生存率は不変であるが、細胞増殖は停止する内耳細胞老化モデルを作製した。一方で、細胞老化の拮抗因子として、オートファジーが誘導されるが、その誘導は一時的に過ぎないこと、24h時点でオートファジーによる分解能は残存するが、細胞老化マーカーであるSA-βgalは増加することも確認できた。この結果は、内耳老化細胞においては、オートファジーによる細胞内クリアランスが不十分な状態にあることを示唆しており、内耳細胞老化が時空間認識能・記憶に与える直接的影響を解明するための今後の研究推進に大きな意味を持っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
NAAsO2誘導性内耳細胞老化モデルの培養液からエクソソソームを抽出する。エクソソソームのタンパク質を回収し、表面マーカーCD81の発現をWestern blot法で確認する。抽出したexo-miRNAのプロファイリングを行い、細胞老化シグナルに重要な役割を果たすmiRNAを検索する。プロファイリングしたexo-miRNAを、海馬神経細胞とミクログリアをUniwellsTM(Fujifilm, Japan)を用いて、各々共培養する。透過型電子顕微鏡下(TEM)にて、エクソソソーム表面マーカーCD81の金コロイド染色を行い、エクソソソームが、海馬神経細胞とミクログリアに取り込まれるか否かを確認することを予定している。神経細胞老化誘導をSA-β-gal染色と細胞老化シグナル解析を行う。オートファジープローブ(Kaizuka T, Molecular Cell, 2016)を海馬神経培養細胞に導入し、オートファジー分解能と細胞老化誘導の関係を評価する。分解型・分泌型オートファジー シグナル解析を行う。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Fine-tuned cholesterol solubilizer, mono-6-O-α-D-maltosyl-γ-cyclodextrin, ameliorates experimental Niemann?Pick disease type C without hearing loss2022
Author(s)
Yamada Y, Miwa T, Nakashima M, Shirakawa A, Ishii A, Namba N, Kondo Y, Takeo T, Nakagata N, Motoyama K, Higashi T, Arima H, Kurauchi Y, Seki T, Katsuki H, Okada Y, Ichikawa A, Higaki K, Hayashi K, Minami K, Yoshikawa N, Ikeda R, Ishikawa Y, Kajii T, Tachii K, Takeda H, Orita Y, Matsuo M, Irie T, Ishitsuka Y
-
Journal Title
Biomedicine & Pharmacotherapy
Volume: 155
Pages: 113698-113698
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-