頭頸部扁平上皮癌・スーパーエンハンサー解析に基づく抗癌剤耐性機構の解明
Project/Area Number |
22K09679
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56050:Otorhinolaryngology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉川 直子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (50400924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013)
花澤 豊行 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90272327)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌細胞 / 治療抵抗性 / ATAC-sequence / シスプラチン / 転写調節領域 / 転写因子 / 頭頸部扁平上皮癌 / スーパーエンハンサー / H3K27ac / 免疫沈降法 / 機能性RNA / 抗癌剤耐性 |
Outline of Research at the Start |
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)の臨床上の課題は、治療抵抗性を獲得した癌細胞に対する有効な治療法が未だ存在しないことである。 抗癌剤などの薬剤暴露時のHNSCC癌細胞における「スーパーエンハンサー」領域を同定し、これまでに申請者が作成してきた「HNSCC・機能性RNA(蛋白コード遺伝子・非蛋白コード遺伝子・マイクロRNA)発現プロファイル」と情報統合させる事で、薬剤耐性に関与する「マスター分子」を同定する。「マスター分子」は、治療抵抗性を解除する新規治療法の標的分子となりうる。
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Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)は、手術・放射線療法・抗がん剤を組み合わせた集学的治療にても、治療過程で癌細胞が治療抵抗性を獲得し、制御困難となることも多い。しかしながら、治療抵抗性を解除できる決定的な治療戦略の開発には至っていない。 HNSCC治療においてキードラッグとなる抗がん剤は、シスプラチン(CDDP)である。HNSCC細胞が、CDDPに対する抵抗性を獲得する分子機序を解明する事で、治療抵抗性に至ったHNSCCに対する新規治療法の開発に重要な知見を得られると考えられる。 ゲノム科学の新しい概念として、細胞は、その運命を決定する重要な場面において、ゲノム上に強力な転写調節領域が出現し、生命の維持に不可欠な遺伝子を強力に発現させるという「スーパーエンハンサー」が提唱された。「スーパーエンハンサー」に結合する転写調節因子は、その領域に存在する遺伝子の発現に深く関与する。ATAC(Assay for Transposase-Accessible Chromatin)-sequenceは、ゲノムワイドでオープンクロマチン構造を選択的に検出する解析手法である。 HNSCC細胞株(CAL-27)を用いて、CDDP添加後の初期応答に関与する転写調節領域を探索し、その転写調節領域に結合する転写因子の探索を行った。CDDP添加後のオープンクロマチン領域に対して、モチーフ解析を行った結果、AP-1、Fra-1、JunBなどの転写因子結合配列を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HNSCC細胞株に抗癌剤(CDDP)を曝露した後、初期に惹起されるゲノム上のクロマチンの変化をATAC-sequence により解析した。癌細胞のゲノム上で、遺伝子の転写活性が高い領域(オープンクロマチン243 領域)および転写が抑制されている領域(クローズクロマチン35 領域)を検出した。CDDP添加後のオープンクロマチン領域に対して、モチーフ解析を行った結果、AP-1、Fra-1、JunBなどの転写因子結合配列を認めた。 また、CDDP曝露後に惹起されるオープンクロマチン/クローズクロマチン領域には、機能性RNA遺伝子であるマイクロRNAが多数存在している事が明らかとなった。短鎖1本鎖RNAであるマイクロRNAの生物学的な特徴は、1種類のマイクロRNAは、数百から数千の蛋白コード遺伝子の発現を負に制御している事である。そのため、マイクロRNAの発現異常は、細胞内の機能性RNAネットワークの破綻に繋がる。現在、AP-1、Fra-1、JunBなどの転写因子により発現が調節されるマイクロRNAの探索を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) ATAC-sequenceにより明らかになったオープンクロマチン領域に結合する可能性のある転写因子(AP-1、Fra-1、JunB)について、遺伝子改変細胞を作製し、CDDPの感受性を調べる。 (2) 遺伝子改変細胞(AP-1、Fra-1、JunB)におけるマイクロRNA発現プロファイルを作製し、これら転写因子により発現制御を受けるマイクロRNAを明らかにする。 (3) マイクロRNAが制御する機能性RNAネットワークの探索を行いマイクロRNA標的分子の中から、CDDP抵抗性に関与する機能性RNA分子を見出す。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)