遺伝子工学を用いた孤束核嚥下ニューロンの網羅的解析
Project/Area Number |
22K09906
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57010:Oral biological science-related
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中山 希世美 昭和大学, 歯学部, 講師 (00433798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 嚥下 / 孤束核 / GCaMP / 除脳灌流標本 / 神経回路 / カルシウムイメージング |
Outline of Research at the Start |
嚥下障害の改善は健康長寿実現のための重要課題であり、嚥下を形成する神経回路の全貌を知ることは、嚥下機能改善の手立てを考える上で非常に重要である。我々は、嚥下の中枢パターン発生器と考えられている延髄孤束核のニューロンがどのように嚥下を形成しているのかを明らかにするため、遺伝子工学の技術を用い、孤束核嚥下ニューロンの活動および機能を網羅的に調べる。これにより,高齢者の嚥下障害を改善するための基礎的知識を得て、健康長寿の実現に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
嚥下障害の改善は健康長寿実現のための重要課題であり、嚥下を形成する神経回路の全貌を知ることは、嚥下機能改善の手立てを考える上で非常に重要である。本研究は、嚥下の中枢パターン発生器と考えられている延髄孤束核のニューロンがどのように嚥下を形成しているのかという問いに答えるため、脳幹へのアプローチが容易で、嚥下機能を傷害しても標本の状態が悪化しないラット除脳灌流標本を用いて、孤束核嚥下ニューロンの活動および機能を網羅的に調べることを目的とする。2022年度には、脳幹背側部における嚥下関連ニューロンの存在を網羅的に調べるため、ラット脳幹背側部へのアデノ随伴ウイルスAAV1.Syn.GCaMP6f.WPRE.SV40の注入により、孤束核ニューロンにカルシウム感受性タンパクであるGCaMP6fを発現させた。このラットで除脳動脈灌流標本を作成し、嚥下に伴う脳幹背側部ニューロンの活動パターンを、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇による蛍光強度の変化をリアルタイムイメージングすることで調べた。上喉頭神経の電気刺激により応答するニューロンは、前庭神経核や孤束核を含む、Obexの吻側0-4 mmの範囲に広く分布していた。一方、電気刺激による誘発嚥下に関連して蛍光変化が起こるニューロンは、Obexの吻側0-2 mmの範囲に集中しており、特に孤束核の吻側内側部と中心外側部に局在していた。また、孤束核の嚥下に関連するニューロンの多くが、吸息活動に一致した活動も示す事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
除脳灌流標本でGCaMP6fを用いたカルシウムイメージングを行う方法を確立でき、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究では、脳幹背側の嚥下関連ニューロンをカルシウムイメージングにより網羅的に調べる事ができたが、いくつかの問題も浮上している。一つは、孤束核の尾側でのイメージングについてである。除脳灌流標本の作成に適しているのは生後2-4週齢のラットであり、GCaMP6fの発現までにかかる日数を考えると、生後2-4日の段階でGCaMP6fを発現させるためのウイルスベクターを脳幹に注入しなければならない。しかしながら、この日齢のラットは頭蓋骨が非常に柔らかく注入部位が安定しない。2022年度には試行錯誤を繰り返しながら、孤束核の吻側半分までの部分にはGCaMP6fを発現させられる様になったが、尾側は首にかかるため、ウイルスの注入が未だ困難である。来年度は工夫を重ね、尾側へのウイルスの注入を可能にしたい。もう一つは、GCaMP6fによるイメージングの時間分解能の問題である。現在は、1秒間に4回の画像取得が限界であり、活動パターンを詳しく調べるには不十分である。ラインイメージングを行う他、ブラインドパッチクランプ法も取り入れて、時間分解能の高い方法での解析を行いたい。また、脳幹の深い部分でのイメージングに関しては、未だ行っていないため、深部での画像取得が行える特殊な対物レンズ等を用い、疑核背側の脳幹網様体での嚥下関連ニューロンの活動パターンも調べていく計画である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)