Project/Area Number |
22K09910
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57010:Oral biological science-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
早津 徳人 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (80543058)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 味蕾 / 幹細胞 / シングルセル解析 |
Outline of Research at the Start |
加齢や疾患・治療反応などにより味覚障害を訴える患者数は増加している。味覚受容器である味蕾は短い周期で常に新しく置き換わり再生され、この味蕾再生の異常は味覚障害を引き起こす。本研究では、味蕾のシングルセル解析と空間的特性情報を統合した機械学習解析により、味蕾組織幹細胞の潜在的多能性の制御機構を紐解く。加えて、理論的仮説に基づく新規味蕾オルガノイドの開発により味覚再生への技術基盤を創出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マウスとヒト舌乳頭のシングル解析および空間的特性に基づくデータ駆動型研究により、味蕾組織幹細胞の潜在的多能性の制御機構を紐解くことを目的している。 【舌乳頭組織の細胞分散方法の検討】 これまでの舌乳頭・味蕾のシングルセル解析データ解析から、従来の舌乳頭組織のシングルセル化処理方法では細胞分散効率が不十分である可能性が示唆された。そのため本年度はまず、有郭乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭の各舌乳頭に適した細胞分散条件を再検討した。その結果、味蕾細胞も含めて高生存率を維持したままシングルセル化する条件を見出した。また今年度は、ヒト舌組織の追加入手が困難であったため、これまでに取得しているヒト舌乳頭(ヒト有郭乳頭1検体、ヒト茸状乳頭1検体)のシングルセルRNA-seq解析の結果を補完するため、霊長目コモンマーモセットの舌の有郭乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭のシングルセルRNA-seq解析を追加実施した。検体の鮮度状態が良好であったこともあり、高品質なデータを取得することができ、ヒト舌検体から導かれた仮説を補完することができた。 【味蕾細胞系譜のシングルセル解析】 齧歯類-霊長類の生物種間比較の観点から味蕾細胞系譜のシングルセル解析を実施した。細胞分類解析から種間で共通する味蕾細胞系統の分子マーカー探索、細胞分化経路の予測分析を行った。有郭乳頭と葉状乳頭の細胞分類は非常に類似し、茸状乳頭の細胞分類はそれらとは少し異なる特徴を持っていることが確認されたが、それら3つの舌乳頭に共通する味蕾細胞系統の上皮細胞群を同定した。従来の味蕾幹細胞マーカーとされるLGR6が比較的高発現しているのは味蕾前駆細胞集団であり、それらの味蕾前駆細胞集団とは別にそれらを生み出している可能性があると考えられる細胞集団(新規の味蕾組織幹細胞候補)が、生物種間および舌乳頭部位間で保存されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シングルセル解析の結果は、組織採取や細胞分散の方法原理やその効率に大きく左右される。従来の舌上皮を酵素的に剥離する組織採材方法は、マウスの舌組織では十分に最適化されているが、ヒト、コモンマーモセットの舌組織では舌上皮が厚くマウスの舌のようには処理することができない。また、これまでの舌組織シングルセル解析から、舌上皮を剥離するという工程により、一部の舌乳頭構成細胞集団を失っている可能性も考えられた。そのため、齧歯類および霊長類の両方の舌組織に対応できる新たな組織採材・細胞分散方法を再検討する必要性があった。また、シングルセル解析に利用可能な状態のヒトの舌組織を入手する機会は非常に少ないことも予想されたため、霊長類舌組織を扱う際の条件検討も兼ねて、マーモセットの舌を利用することにした。それにより、これまでに取得したヒト舌組織のシングルセルRNA-seq解析データの解釈を補完することができた。以上の追加実験の実施により、本計画がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
既に取得している舌乳頭シングルセル解析は空間情報を失っている。シングルセル解析から導かれた各細胞集団が舌乳頭のどの位置に局在するのかを知ることはできない。そこで、マウス(必要に応じてコモンマーモセット)の有郭乳頭および茸状乳頭を研究対象として、独自の遺伝子発現情報から抽出された新規味蕾幹細胞マーカー群をプローブにし免疫組織染色法、in situ hybridizationを用いて新規味蕾幹細胞の局在場所を明らかにする。また、舌乳頭の組織切片から空間的な位置情報を保持したまま全トランスクリプトームを測定し、味蕾幹細胞が維持されている位置、その環境の空間的特性を明らかにする。
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