Project/Area Number |
22K09920
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57010:Oral biological science-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤田 智史 日本大学, 歯学部, 教授 (00386096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一徳 日本大学, 歯学部, 助教 (90617458)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 神経活動マーカー / 膜電位感受性色素 / 歯根膜 / 大脳皮質 / 歯痛 / 2光子励起顕微鏡 / 光学計測 |
Outline of Research at the Start |
歯科臨床ではしばしば原因となる歯と異なる歯が痛いと錯覚する「歯痛錯誤」が認められます。歯痛錯誤には上下顎という離れた場所でも起こりますが、一方で右側、左側の混同は起こらないと考えられています。本研究では、歯からの感覚では上下左右を脳がどのように分別しているのかに着目して、イメージング手法、免疫組織学的手法による検討を行います。歯の感覚情報を処理する脳部位を明らかにすることで、将来的に異常疼痛治療に対する治療ターゲットを見出すことを目指しています。
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Outline of Annual Research Achievements |
歯科臨床ではしばしば原因となる歯と異なる歯が痛いと錯覚する「歯痛錯誤」が上顎、下顎の間で認められる。上下顎の区別は通常であれば、ある程度自覚できるものであるが、一方で感覚を最終的に処理している大脳皮質が、上下顎の情報が混ざる処理機構ともなっていると考えられる。実際、過去のラットにおける膜電位感受性色素を用いたマクロイメージングでは、上下顎の臼歯歯根膜を短時間刺激した時に応答する領域は一次体性感覚野、二次体性感覚野と島皮質の境界領域の2ヵ所に存在し、その大半は重複し体部位局在が明確でないことが明らかとなっている。しかしながら、大脳皮質のどこで歯の感覚情報を処理しているのかの全貌が明らかとなっているとは言い難い。例えば、マウスにおけるカルシウムイメージングで上顎の歯根膜に連続電気刺激をした時には、ラットとは異なり、一次体性感覚野、二次体性感覚野、島皮質の3ヵ所に応答領域が認められることが報告されている。本年は、昨年度に引き続き、この違いが観察手法によるものか、刺激方法によるものなのか、種差によるものなのかを明らかにするため、マウスにおける膜電位感受性色素を用いたマクロイメージングの解析を進めた。ウレタン麻酔下のマウスの上顎、下顎の歯根膜にそれぞれ刺激電極を刺入し、刺激をするとマウスでもラットと同様に二次体性感覚野の腹側に位置する島皮質あたりに強い応答を認めた。応答パターンは類似しているものの、昨年度から例数を加えた解析から、応答中心部位はラットで認められる部位よりも腹側にある可能性が見いだされてきている。本年はさらに免疫組織学的な手法による全脳検索を進めるための実験に着手できた。現在、結果を処理するためのソフトウェアの開発を進めており、その結果から、過去の報告の差異が生じる理由や、情報処理に関わる部位の解明が進むことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に予定した膜電位感受性色素を用いた光学計測法の記録は順調に推移したものの、その一部のデータの解析は煩雑なため、解析に時間を要した。本年度、その結果となる連続刺激をした時のデータから、過去のカルシウムイメージングと一部近い傾向が示されたが、膜電位感受性色素の場合はS/N比がカルシウムイメージングと比較して低く、結論に至るためには今後、更なる解析、別手法による検討を要することが分かった。 そこで、本年度は、次に予定していた歯根膜刺激に応答するニューロンが存在する領域を、免疫染色によって明らかにするための実験に着手した。猛暑によって、冷却機能を有する機器の故障が生じ、これに対応するための機器を用意するなどの機器トラブルがあり遅延が生じる原因の一つなったものの、多大な遅延とはならずに解消でき、現在は実験を遂行できている。一方で、免疫組織学的な手法で陽性となった細胞を検出するためのソフトウェアの開発に当たっては、各領域の細胞構築の差異があることによって、免疫組織学的な手法によって陽性となった細胞を検出する方法に工夫を要し、解析に当初予想した時間よりも、長い期間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験結果の解析を進めたことで、特に着目すべき領域の同定、実験条件の想定をして、現在、それらの領域に合わせた免疫染色後の標本に対する解析を進めるためのソフトウェアの開発を進めているところである。着目すべき部位として、膜電位感受性色素のマクロイメージングで見いだされた最も応答が強い部位となる中大脳動脈から尾側に位置する島皮質がある。また、その背側に位置する二次体性感覚野に対して、連続刺激の場合には応答が拡大する傾向が認められており、この部位で刺激条件による差があるのかに関しても興味深い。その他の大脳皮質領域に対しても、検出できるようにするための条件設定が、ソフトウェアの開発に当たって必要となるが、各領域の細胞構築の差異があり、免疫組織学的な手法によって陽性となった細胞を検出する条件設定の調整を行う必要がある。作成した標本を用いて試行錯誤を繰り返すことは避けて通れない解析の要となるため、次年度も、引き続きソフトウェアの開発を継続する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)