歯周病原細菌などのバクテロイディア綱細菌固有のリポタンパク質輸送機構の解明
Project/Area Number |
22K09941
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57020:Oral pathobiological science-related
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
雪竹 英治 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (30380984)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄子 幹郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10336175)
内藤 真理子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20244072)
浜本 洋 帝京大学, 付置研究所, 准教授 (90361609)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 歯周病細菌 / 線毛 / リポタンパク質 / 歯周病 / 細菌 |
Outline of Research at the Start |
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisを含むバクテロイディア綱細菌では, 線毛タンパク質のみならず多くのリポタンパク質が菌体表面に分泌されている。グラム陰性細菌のリポタンパク質の輸送機構について, 大腸菌ではリポタンパク質はほとんどが内膜外葉と外膜内葉に局在化し, 菌体表面にはほとんど輸送されない。外膜内葉から外膜外葉への移動については淋菌や髄膜炎菌などのナイセリア属細菌でSlamタンパク質の関与が報告されているが, 本菌が属するバクテロイディア綱細菌にはSlamホモログは存在しない。したがって, バクテロイディア綱細菌のリポタンパク質輸送機構は新規の可能性があり, その詳細を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ジンジバリス菌のリポタンパク質を菌体表面に分泌させるレポーター系の構築に成功した。具体的には、本菌のFim線毛の主要構成タンパク質であるFimAをモデルとして、FimAのN末端側50アミノ酸にルシフェラーゼを結合させるもの(FimAsigN-nLuc),さらにC末端にHisタグをつけたもの(FimAsigN-nLuc-His),リポタンパク質結合サイトである19番目のシステインをアラニンに置換したもの(FimAsigNC19A-nLuc-His)を構築し、mfa1mfa2遺伝子内に挿入し異所性にかつanhydrotetracycline(aTC)の誘導剤添加による一過性の発現系を構築した。その結果、aTC添加存在下でFimAsigN-nLuc, FimAsigN-nLuc-Hisは培養上清/菌体の比率がともに30倍以上であった。一方、FimAsigNC19A-nLuc-Hisは同条件下で培養上清/菌体の比率は約0.25倍であった。培養上清と菌体に分画して抗His抗体でも同様の知見が得られた。 次に、外膜を通過するメカニズムについて検討した。これまでに脂質が修飾されるシステイン以降の極性アミノ酸が外膜通過に重要であることが報告されている。上記の系で19番目のシステイン以降の極性アミノ酸、KDEEEを5つのアラニンに置換したもの、KDEを3つのアラニンに置換したものについて、aTC添加存在下で発現させたのち培養上清と菌体に分画して抗His抗体で分泌の有無を調べた。その結果、上記2つの置換体は培養上清に分泌されないことがわかった。一方、大腸菌でFimAsigN-nLuc-HisをIPTGで一過的発現を行っても培養上清に分泌することはなかった。つまり、FimAタンパク質の19番目のシステイン以降の極性アミノ酸が外膜通過に重要であること、また本菌特有であることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジンジバリス菌における一過的タンパク質発現システムを構築に成功し、線毛主要構成タンパク質をモデルタンパク質として誘導剤添加による一過的に発現させることに成功した。また、脂肪酸付加さいとであるシステイン以後の極性アミノ酸が菌体表面分泌に重要であることを明らかにすることができた。現在、その知見を含む論文を投稿中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
①ルシフェラーゼレポーター系にてFimAタンパク質の19番目のシステイン以降の極性アミノ酸が外膜通過に重要であることがわかったことから、実際にFimAタンパク質の19番目のシステイン以降の極性アミノ酸を変化した場合、線毛形成に影響を及ぼすか否かを調べる。具体的にはイムノブロット法、ドットブロット法、セルフラクショネーション法にて調べる。② 上記①の実験で極性アミノ酸の置換が分泌に影響を及ぼす結果になった場合、脂質転移反応に影響が及んでいないかを調べる。具体的には、FimAタンパク質に放射ラベルパルミチン酸の付加が起きるか否かを調べる。③ リポタンパク質の輸送分子の特定を試みる。具体的にはFimAタンパク質の一過的な発現系を構築し、aTC誘導剤を添加しあまり時間が経過していない条件下から免疫沈降を行い、FimAタンパク質に結合する分子の同定に取り組む。④ 外膜にあるタンパク質に着目し輸送分子となる候補を選び出し、その遺伝子の変異株を作製しFimAタンパク質の重合形成に影響があるものを調べる。具体的には、TPRドメイン含有タンパク質またはTonBシステム系タンパク質などである。⑤ FimAタンパク質の一過的な発現系を用いて、阻害剤ライブラリーを添加しFimAタンパク質の重合形成を阻害するものを探索する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)