Project/Area Number |
22K09943
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57020:Oral pathobiological science-related
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
金子 哲治 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20598255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 幸太郎 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40791009)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 肝X受容体 / セリン・リン酸化 / 口腔扁平上皮癌 / 悪性形質制御 |
Outline of Research at the Start |
核内受容体は多様な生命現象を制御しています。核内受容体のうち肝X受容体(liver X reveptors; LXRs)と呼ばれるタンパク質が存在し、これは口腔扁平上皮癌の増殖を抑制することがわかっています。本研究では口腔扁平上皮癌におけるLXRsのセリン・リン酸化状態が口腔上皮癌細胞の特性にどのように関連しているのかを解明し、新規診断治療薬の開発に繋げたいと考えています。
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Outline of Annual Research Achievements |
核内受容体による遺伝子発現調節は特異リガンドとの結合だけでなく、様々なキナーゼによるリン酸化にてよっても制御されている。近年我々は、細胞間接着からAKT依存性の核内受容体セリン・リン酸化に至る新規シグナル伝達経路を解明し、これが幹細胞の上皮文化を誘導することを示した。このAKT依存性コンセンサス・リン酸化配列は、肝受容体(肝X受容体(liver X reveptors; LXRα and LXRβ; LXRs)でも保存されている。また、LXRsは口腔扁平上皮癌の増殖を抑制することが分かっているため、本研究では口腔腔扁平上癌におけるLXRsの異常なセリン・リン酸化が腫瘍の進展に寄与するかを明らかにする。 そこで先ずは、SAS、HSC-3、HS-4のヒト扁平上皮癌細胞株を使用して、LXRβとLXRβ-S432A(リン酸化不応体)が過剰発現する細胞株の樹立を試みた。コントロールとしての293T細胞へはどちらも導入可能であり、SAS、HSC-3、HSC-4においても導入可能であることが分かった。そこから、単一クローンを樹立するためにセルソーティングによる導入細胞の濃縮を行った。現時点では、HSC-3、HSC-4はこのセルソ-ティングの段階である。一方で、SAS細胞株においては、LXRβ過剰発現細胞株、そしてLXRβのリン酸化異常細胞株の単一クローンの樹立に成功した。これを用いてMTSアッセイを行った結果、SAS細胞株においてLXRβの過剰発現は増殖を亢進し、少なくとも部分的にはS432リン酸化依存的であることを突き止めた。一方で、LXRβの常時リン酸化模倣体の作成にも着手したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LXRsにはLXRαとLXRβの2つのアイソザイムがあり、組織ごとに異なった分布を示す。これら2つにおけるAKT標的コンセンサスはそれぞれ第424番と第432番のセリン残基である。いずれもこれまで報告のない新規のリン酸化部位で、利用可能な特異抗体もない。したがって、これらを認識する特異抗体の開発が必要である。まずこの部位を含むリン酸化部分ペプチドを抗原として、ラット足底にアジュバントと共に免役し、傍腸骨リンパ節細胞と多発性骨髄腫細胞を融合させてハイブリドーマを樹立する。次に抗原ペプチドとハイブリドーマ各クローンの培養上清を用いたELISA法により陽性クローンを選別する。さらにLXRsの過剰発現に成功した293T細胞のセルブロックを免疫染色し、実際の病理診断に応用可能なモノクローナル抗体の作成を試みたが、未だ成功に至っていない。また、口腔扁平上皮癌細胞株がLXRs機能獲得、機能損失することでの悪性形質を評価する必要があるが、増殖能、遊走能、浸潤能、代謝能、および薬剤耐性能などの評価実験には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
LXRβとLXRβ-S432A(リン酸化不応体)が過剰発現するSAS細胞の樹立は行ったので、さらにLXRβがリン酸化された状態、つまりS/E置換体の樹立を試みる。また、他のHSC-3とHSC-4細胞においても、それぞれの単一クローンの樹立を行う。それら複数の口腔扁平上皮癌細胞株を用いて、LXRβのリン酸化が悪性形質に関与しているかどうかを検討する。増殖能はBrdUの取り込みか、MTSアッセイにて評価する。遊走・浸潤能はスクラッチアッセイかマトリゲル通過で評価する。薬剤耐性能については、抗がん剤処理によって検討する。さらに、pS424-LXRα/pS432-LXRβ抗体を作成した後、口腔扁平上皮癌の手術標本150症例以上を収集して免疫染色する。染色強度と陽性率をスコアリングしたのち、進行期などの臨床病理学的因子、生存率、再発率、および化学療法奏効率などとの関連を統計解析することで、その臨床病理学的意義を明らかにすると共に、予後予測マーカーとしての有用性を検証する。
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