低酸素特異的転写調節因子HIF1αが誘導する歯髄組織特異的硬組織誘導のメカニズム
Project/Area Number |
22K09960
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57030:Conservative dentistry-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
興地 隆史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80204098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 伸之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60272605)
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
野田 園子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (70844322)
藤井 真由子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (80844357)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 歯髄 / 低酸素誘導因子1α / 硬組織形成誘導 / Wntシグナル / miR-210 / 低酸素誘導因子 |
Outline of Research at the Start |
歯の脱臼では血流途絶により歯髄は容易に低酸素状態に陥る.脱臼歯では歯髄の石灰化が特徴的に認められるため,低酸素状態が歯髄の硬組織形成に深く関わると推察されるが、その機構は未解明である.本研究は,低酸素状態で特異的に発現する低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor: HIF)の動態と、HIFで誘導されるシグナルの解析により,低酸素下での歯髄幹細胞の硬組織形成細胞への分化過程に対するHIFの作用機序の解明を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
歯髄炎により歯髄内圧が亢進することで、歯髄組織内の血管は庄平され、歯髄組織は循環障害、すなわち虚血の状態に陥るといわれている。血液供給が遮断されることで、歯髄組織は低酸素状態となるが、低酸素状態が歯髄組織の様態にどのような影響を与えているのかについてはいまだ不明な点が多い。また、歯の脱臼により、歯髄血流の一時的断絶が生じた後,しばしば歯髄腔の狭窄や石灰化が観察されるが,その機構についても不明の点が多い. 申請者らはこれまで、低酸素特異的転写調節因子の一つである低酸素誘導因子1α(HIF1α)がBCL9を介してWntシグナルを活性化することを報告した。今回、ヒト歯髄細胞を低酸素下で培養あるいはHIF1aを強制発現した時に産生されるマイクロRNAについて検討した結果、miR-210発現が強く誘導されることを見出した。miR-210はHIF1a下流の代表的なマイクロRNAの一つと報告されている。歯髄炎の病態への影響を検討したところ、miR-210はNFkBシグナルを抑制し、炎症性メディエーター産生をも抑制した。なお、miR-210はLPS/TLR4からのNFkBシグナルでは誘導されず、HIF1aの下流でのみ産生が誘導される。また、miR-210のターゲットの一つはNFkBシグナルを増強する働きのあるTAB1であることも明らかになった。miR-210は炎症を抑制する方向に働く可能性が高いと推察される。miR-210にはBMPシグナルを活性化する働きがあるといわれている一方、Wntシグナルは抑制するとも報告されている。歯髄細胞の硬組織形成細胞への分化に、miR-210がどのように関与していくのかについて、今後さらに検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の第一段階である「低酸素環境下における硬組織形成細胞分化誘導の検証」については,当初計画に従い順調に進捗した.第二段階である「低酸素環境下における硬組織形成細胞分化誘導シグナルの検討」についても,低酸素特異的転写調節因子の一つである低酸素誘導因子1α(HIF1α)がBCL9を介してWntシグナルを活性化することを見出すことができた.さらにHIF1a下流の代表的なマイクロRNAの一つであるmiR-210が,NFkBシグナル抑制を介して炎症性メディエーター産生を抑制することも確認しており,概ね順調に進捗したと評価される.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に従い,BMPシグナル(リン酸化SMAD1/5/8およびSMAD4)の発現解析(Western Blotting),およびHIF1αの下流でBMPシグナルを誘導する因子の解析を進めるとともに,歯髄細胞の硬組織形成細胞への分化へのmiR-210関与の実態を追究したい.さらに,マウス臼歯再植,移植モデルを用いたHIF1α,Wntシグナルおよび硬組織形成細胞マーカー発現の検討を行う予定である.
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)