トランスロケータープロテイン(TSPO)による歯周炎病態制御の解明
Project/Area Number |
22K09988
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57030:Conservative dentistry-related
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
小鹿 恭太郎 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (90622944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 建州 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80435635)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | TSPO / 歯周炎 / T細胞 / マクロファージ / 破骨細胞 / 歯槽骨吸収 / トランスロケータープロテイン / 末梢性ベンゾジアゼピン受容体 / 歯周炎マウスモデル |
Outline of Research at the Start |
トランスロケータープロテイン(TSPO)は、ミトコンドリア外膜タンパク質であり、神経炎症のバイオマーカーとして広く用いられている。TSPOは、ステロイド生合成、アポトーシス、細胞増殖など、宿主細胞のさまざまな機能に重要な役割を果たしていると考えられている。TSPOは自然免疫細胞だけでなく獲得免疫細胞であるT細胞上においても発現していることが示されているものの、その機能について詳細はほとんど不明である。本研究では、TSPOが持つT細胞依存的な免疫応答を明らかにするとともに、歯周炎病態形成におけるTSPOの役割について歯周炎マウスモデルを用いた解析から解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
Translocator protein (TSPO)はミトコンドリア外膜に発現する膜貫通タンパク質である。多様な免疫担当細胞におけるTSPOの発現が報告されているが、その免疫機能に関する報告の多くはマクロファージによる自然免疫応答を抑制するものである。マクロファージ上のTSPOがTLR4シグナルを介した同細胞の炎症性サイトカイン産生を抑制することが報告されている。マクロファージの機能として、貪食作用や炎症性サイトカイン産生による抗病原体応答があげられるが、マクロファージは破骨細胞の前駆細胞でもある。歯周炎病態の誘導にはマクロファージや樹状細胞を中心とした自然免疫とT細胞を中心とした獲得免疫がともに重要であると考えられている。本課題では、自然免疫・獲得免疫両応答とともに、歯周炎病態において中心となる歯槽骨吸収制御に深く関わる破骨細胞の分化系におけるTSPOの機能を明らかにし、最終的に歯周炎モデルを用いた解析からその病態形成におけるTSPOの役割を解明することを目的としている。2022年度は、マクロファージから破骨細胞への分化におけるTSPOの機能を明らかにするために、マウス骨髄細胞からのRANKL誘導性破骨細胞分化系へのTSPOアゴニスト(Ro5-4864)添加効果の評価から解析を進めた。Ro5-4864添加が破骨細胞分化を抑制することから、TSPOが破骨細胞分化を負に制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体の目的は、歯周炎病態形成におけるTSPOの役割を明らかにすることである。2022年度は特に、歯周炎病態の中心となる歯槽骨吸収に深く関与していると考えられる破骨細胞分化におけるTSPOの機能を明らかにすることを目的として研究を実施した。野生型マウスの骨髄細胞からM-CSF刺激によりマクロファージを誘導した後に、M-CSF存在下にRANKL刺激によって破骨細胞を誘導する際にTSPOアゴニストであるRo5-4864を添加し、破骨細胞分化について破骨細胞分化関連遺伝子発現をリアルタイムPCR法で、破骨細胞誘導数についてTRAP染色で評価した。また、破骨細胞分化過程におけるTSPOタンパク発現をフローサイトメトリー法で評価した。Ro5-4864添加は、RANKL添加後2日目において破骨細胞分化関連遺伝子であるNfatc1、Mmp9、CtskおよびApc5の発現量を減少させた。また、RANKL添加後5日目には、TRAP陽性である破骨細胞分化が誘導されたが、Ro5-4864添加は濃度依存的にTRAP陽性破骨細胞数を減少させた。さらに、RANKL添加後1日目および2日目には、マクロファージ細胞内のTSPO発現量が増加していた。これらの結果から、TSPOは破骨細胞分化過程においてその発現量が増強されるとともに、破骨細胞分化関連遺伝子発現の抑制を介してその分化を負に制御していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周病態形成におけるTSPOの役割について、2022年度は破骨細胞分化においてTSPOが抑制的な機能を持つことを明らかにした。破骨細胞に加えて、歯周炎病態形成においてはT細胞を中心とした獲得免疫応答も重要であることが知られている。2023年度以降は、歯周炎マウスモデルにおけるT細胞におけるTSPOの機能解析中心を行っていく。マウス臼歯への絹糸結紮により病態を誘導する歯周炎モデルを使用する。まず、野生型マウスを用いて、歯周炎誘導後の病変部および所属リンパ節中のT細胞を含む各種免疫細胞のTSPO発現を評価する。すでに、申請者グループにはTSPO欠損マウスが導入されている。同モデルにおける野生型マウスとTSPO欠損マウス間での歯槽骨吸収の比較を行う。さらに、歯周炎誘導後の病変部および所属リンパ節中のT細胞活性を、T細胞サブセットおよびサイトカイン発現から評価し、それらについて野生型マウスとTSPO欠損マウス間で比較を行う。これらの解析から、歯周炎病態形成時にTSPOがどのように歯槽骨吸収およびT細胞活性化に関わっているのか明らかにしていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)