Project/Area Number |
22K10028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57040:Regenerative dentistry and dental engineering-related
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
柏俣 正典 朝日大学, 歯学部, 教授 (30152630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
設楽 彰子 朝日大学, 歯学部, 准教授 (30508718)
大野 雄太 朝日大学, 歯学部, 講師 (30796644)
長瀬 春奈 朝日大学, 歯学部, 助教 (40888799)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 唾液腺 / 顎下腺 / 分枝形態形成 / ブランチング形成 / オートファジー / Bafilomycin A1 / Torin 1 / 顎下腺原基 / bafilomycin A1 |
Outline of Research at the Start |
胎生期の多くの器官は未分化な上皮細胞と間葉細胞の相互作用によって誘導される器官原基から発生する。唾液腺などの外分泌腺の場合は分枝形態形成(ブランチング形成)という様式にしたがって腺構造が形成される。器官発生の初期にはその容積は急速に増加することが知られ、その増加率は1日でおよそ2倍にも達する。本研究では、唾液腺原基のダイナミックな生命現象を支える多量のエネルギーの産生と利用がオートファジーによって維持されているのではないかという仮説を分子生物学的に検証することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
マウス顎下腺の発生は胎生11日目に口腔底粘膜上皮が粘膜下の間葉組織に陥入することにより始まる。陥入した上皮は分枝形態形成(ブランチング形成)の様式にしたがって腺構造をもつ組織へと変化していく。この反応は上皮間葉相互作用という細胞間相互作用によって制御されると考えられている。顎下腺を含む全ての外分泌腺はブランチング形成によって構成する上皮と間葉が急速な細胞増殖をともないながら形態を変化させて発生する。本研究では、このダイナミックなブランチング形成反応を支えるエネルギー供給システムにオートファジーが関わっているのではないかという仮説を検証することを目的とする。本年度の研究では培養マウス顎下腺原基のブランチング形成におけるオートファジーの阻害薬と誘導薬の作用について検討を行なった。その結果、オートファジー阻害薬であるBafilomycin A1を培養顎下腺原基に添加するとブランチング形成反応は著しく抑制されることがわかった。また、この抑制はBafilomycin A1を培養24時間あるいは48時間後に添加した場合には観られなかった。これらの結果は顎下腺原基におけるオートファジーの関わりが顎下腺の発生ステージによって異なることを示唆していると考えられた。さらに、培養顎下腺原基のブランチング形成はオートファジー誘導薬のTorin 1によっても抑制することが確認された。すなわち、胎生期の顎下腺のオートファジーを阻害した場合、あるいは誘導した場合ともにブランチング形成が抑制された。オートファジーの阻害薬と誘導薬のブランチング形成抑制作用については現在さらに詳細に解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎生マウス顎下腺原基は上皮間葉相互作用の制御を受けながら、強力な細胞の増殖、移動および分化を起こしながら発生する。オートファジーは、細胞の自己成分をライソゾームに運び分解する機構と定義され、分解産物のアミノ酸や脂肪酸を細胞内で再利用して飢餓応答としての栄養補給の役割がある。本研究では、器官発生過程でみられる活発な細胞増殖や細胞分化反応などのダイナミックな生命現象を支えるエネルギーの供給にオートファジーの機構が関わっているという仮説を検証してきた。液胞型H+-ATPase特異的阻害薬でpHを上昇させることでリソソーム内の酸性加水分解酵素を不活性化させてオートリソソームの機能を阻害するBafilomycin A1を培養顎下腺原基に添加したところブランチング形成反応が著しく抑制された。しかし、この抑制は培養24時間あるいは48時間後に添加した場合には観られなかった。これらの結果は、顎下腺原基におけるオートファジーの関わりが顎下腺原基発生のステージによって異なることを示唆していた。また、ラパマイシン感受性プロテインキナーゼ(mTORC1)の機能阻害作用があり、オートファジーの誘導薬として知られるTorin 1を培養顎下腺原基に添加した場合、ブランチング形成反応が若干抑制されることが確認された。すなわち、オートファジーの阻害薬であるBafilomycin A1と誘導薬であるTorin 1の投与が共に顎下腺の分枝形態形成を抑制した。現在、これらの両薬による抑制が、顎下腺原基のオートファジーの機構にどのような意味を持つのかを解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジーは、隔離膜が細胞質の成分を取り囲むオートファゴソーム形成過程と、オートファゴソームがリソソームと融合して細胞質成分を分解する過程からなる。オートファゴソームの膜の形成にはATG遺伝子とよばれる多数のAtgタンパク質により調節されることが知られている。今後の研究では、これらの機能タンパク質のうち、Atg5、LC3およびp62/SQSTM1(特定のタンパク質をオートファジーへと導く受容体)の顎下腺原基内での発現の状態をウエスタンブロット解析によって調査することを計画している。なお、ウエスタンブロット解析によるこれらのタンパク質の検出が困難な場合は免疫組織化学的解析に切り替えて調査する方針である。
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