神経損傷後の異所性疼痛発現機構に対する加齢性変調の解明
Project/Area Number |
22K10064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57050:Prosthodontics-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
浦田 健太郎 日本大学, 歯学部, 専任講師 (60754398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 教授 (20362238)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 老化 / 下歯槽神経損傷 / マクロファージ / 三叉神経節 / M1 / M2 / 異所性疼痛 / SAMP8 / 加齢 / 神経障害性疼痛 |
Outline of Research at the Start |
顎顔面領域の異所性疼痛を含む異常疼痛発現機構に対し,マクロファージをはじめとした非神経性細胞による神経の興奮性調節に着目した検討が多くなされているが,加齢が与える影響は不明である。そこで本研究では老化促進マウスを用い,下歯槽神経損傷後に発現する異所性疼痛の発現機構に対し,顎顔面領域の疼痛伝達に関与する三叉神経節 (TG) 細胞での,マクロファージ性異所性疼痛発現機構の加齢性変調を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
外科的な歯科治療時に,三叉神経の枝である下歯槽神経の損傷が生じることがある.近年,下歯槽神経損傷は,神経支配領域から離れた顔面領域に異常な痛みを引き起こす,異所性疼痛を発症することが報告されており,この発症には,三叉神経節(TG)中のマクロファージの関与が報告されている.マクロファージは炎症性(M1)あるいは抗炎症性(M2)へ極性変化することが知られており,この極性変化は老化が影響することが報告されている.しかし,老化のTGマクロファージへの影響が異所性疼痛の発症機構に及ぼす実態は不明である.本研究では,TGマクロファージの極性変化における老化が下歯槽神経切除(IANX)後の異所性疼痛に及ぼす影響を解明することとした. 老化促進マウスであるSAMP8雄性23週齢(P8)及び正常老化マウスであるSAMR1雄性23週齢(R1)を使用し,IANX後に比較検討した.行動観察実験の結果,P8はIANX後3日目から11日目,R1はIANX後1日目から5日まで口髭部皮膚への機械刺激に対する逃避反射閾値(MHWT)の有意な低下を認め,IANX後5日目では,P8はR1と比較してMHWTの有意な低下を認めた.免疫組織化学的解析の結果,口髭部皮膚を支配するTG中のM1細胞数,M2細胞数は,IANX後5日目にP8とR1は共に,M1細胞数の有意な増加を認め,P8はR1と比較して有意に多くのM1細胞数を認めた.一方,M2細胞数は,R1は有意な増加を認めたが,P8は有意な変化を認めなかった.行動薬理学的解析として,IANXを行ったP8へのマクロファージ枯渇剤のTG内持続的投与後にMHWT測定を行ったところ,P8はIANX後3日目から5日目まで口髭部皮膚のMHWT低下の有意な回復を認めた. 以上より,IANX後に口髭部皮膚で生じる異所性疼痛は老化により増強し,TGにおけるM1の増加が関与することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度及び令和5年度に予定していた,下歯槽神経損傷部あるいは口髭部を支配するTG細胞におけるマクロファージのM1/M2極性変化に対する加齢の影響解析及びマクロファージの極性変化に伴う放出因子の同定に対しては、確かな結果を得ることに成功し完了している。さらに予定を一部変更し,令和6年度及び7年度に実施予定であった,TGへのマクロファージ阻害薬の直接投与が下歯槽神経損傷後の口髭部機械アロディニアに及ぼす影響に対する行動薬理学的解析も一部完了している。以上の研究実施状況より,区分を上記とする。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画において,令和4年度及び5年度行う予定である,下歯槽神経損傷後の口髭部機械アロディニア発症時の口髭部を支配するTGニューロンにおけるM1あるいはM2マクロファージからの放出因子の受容体の発現変化に対する免疫組織化学的解析を計画とおり実施する。また,令和6年度及び7年度行う予定であった.各マクロファージ放出因子に対する阻害薬のTGへの直接投与が下歯槽神経損傷後の口髭部機械アロディニアに及ぼす影響を行動薬理学的に解析する実験において,令和4年度にマクロファージ阻害薬の投与により,本病態におけるマクロファージの関与がより明らかになったことから,進行状況に応じて予定を前倒しにし,CCL2阻害薬の投与による影響解析まで行うよう検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)