Project/Area Number |
22K10216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮川 和晃 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (50635381)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 骨代謝 / 骨細胞 / 皮質骨 / 海綿骨 / 骨質 |
Outline of Research at the Start |
骨芽細胞の一部が骨基質に埋没して最終分化する骨細胞(オステオサイト)の機能はマウスジェネティクスの発展とともに最近の10年で大きく飛躍し、骨芽細胞とは全く異なる側面が解明されてきた。しかしながら、iPS細胞からの骨細胞誘導法は確立しておらず、ヒトの骨細胞がマウスと同様の機能を持っているのかについては不明である。 本研究は、骨細胞の部位特異的な生物学的特性の違いが骨構造を変化させるという仮説のもと、口腔外科手術で得られた余剰骨組織を用いた初代ヒト骨細胞の生物学的検討と骨の材料科学に基づく微細構造特性(骨質)評価により、ヒト骨組織の部位特異的な違いを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の骨組織を組織学的に分類すると、高度に石灰化した層板状の緻密構造によって骨の外側を構成する皮質骨と骨の内側において網目状の梁構造を形成する 海綿骨に分類される。いずれの構造においても骨細胞は骨基質中に埋没し、樹状様突起を伸長させることで骨基質中にて複雑なネットワーク構造を形成している。 皮質骨では骨細胞のネットワークが複雑であり体重負荷に直交するように整列し、機械的刺激に対して効率よく応答していると考えられている。一方、海綿骨は 皮質骨よりも石灰化度は低く、骨細胞はランダムに埋没しているように観察される。しかしながら、骨はどうして構造の異なる骨組織がつくられ、それぞれの骨 基質に埋没している骨細胞は同じような役割を示すのかという点は明らかになっていない。マウスは個体が小さく皮質骨と海綿骨の骨細胞を単離することは極め て困難であり、リモデリング動物であるヒトとは異なって増齢的に個体の大きさが大きくなるモデリング動物であることが問題の解決を難しくしており、骨細胞 の多岐にわたる機能に関しては未だに画一的な理解でとどまっている。そこで我々は、非症候性の口腔外科疾患における自家骨移植術で用いられた余剰検体を用 いることで、皮質骨と海綿骨の骨細胞は単に骨芽細胞からの分化度が違うだけなのか、骨細胞の性質そのものが異なるのか、生体恒常性維持においてどのような 影響を与えているのか、という点を明らかにしてゆく試みを始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト初代骨細胞の単離条件が確立し、RNA-seqを実施することが可能になった。本年度は有意差検定が可能なサンプル数までRNA-seqを実施することができ、複数のバイオインフォマティクス解析を進めることができた。その結果、皮質骨と海綿骨においては骨代謝に関連する多くの遺伝子で意味のある差を見出した。これらの違いは組織学的に見た骨細胞の形状や骨細胞同士のネットワーク構造に依存している可能性を示唆していた。これらは研究計画の想定を上回る結果だった。一方、バイオインフォマティクス解析を組織学的検討にて進めていく計画については、研究代表者が部署を異動いたため十分な実験設備を整えるのに時間がかかり、ある程度の結果を見出すことができたが全ての検証を本年度中に終了させることはできなかった。 ただし総合して進捗状況評価すると、本年度の結果は次年度は研究開始当初に推測した展開よりも進んだ成果をもたらす可能性を見出した。このことから、現在までの進捗状況を、おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの骨基質の構造特性が異なるから骨細胞の遺伝子発現が異なるのか、それとも骨細胞の遺伝子発現が骨の構造特性を規定するのかについては不明のままである。次年度はその問いに対して、バイオインフォマティクス解析を進めてゆくと同時に培養細胞株や既存の実験動物を用いて解明を試みる。
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