小児鼻腔通気障害に対する歯科的治療法の開拓と治療効果の検討
Project/Area Number |
22K10274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57070:Developmental dentistry-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北村 尚正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50614020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 智憲 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (10264433)
赤澤 友基 徳島大学, 病院, 助教 (10646152)
上田 公子 (山口公子) 徳島大学, 病院, 助教 (40335807)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 小児鼻腔通気障害 / 低位舌 / 鼻粘膜肥厚 / 上顎急速拡大 / 筋機能訓練 / 睡眠時無呼吸 / Hounsfield Unit / SliceOmatic / 鼻腔通気障害 / 小児OSA / 口腔筋機能療法 |
Outline of Research at the Start |
歯列矯正用の上顎急速拡大(RME)には、副次的効果として鼻腔通気障害の改善がある。しかし、その改善効果は60%程度であり、その理由として、鼻の構造的問題やアデノイド肥大等の要因以外に、長期間の口呼吸が招いた口腔機能発達不全により鼻腔通気障害が再発している可能性がある。一方、口腔筋機能療法(MFT)には口呼吸から鼻呼吸へ改善する効果が報告されており、RME後に行うことで、解剖学的要因だけでなく機能的要因も改善され、従来のRMEのみの治療より大幅な鼻腔通気障害の改善が期待できる。本研究では、RMEおよびMFTが、患児の鼻腔通気に与える影響を明らかにし、効果的な鼻腔通気障害の改善方法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小児期での鼻腔通気に与える影響を明らかにし、効果的な鼻腔通気障害の改善方法を確立することを目的としている。2022年度には、3系統の研究を実施した。 まず、鼻粘膜の肥厚を有する患児に対して上顎急速拡大(RME)と筋機能訓練(MFT)を併用したケースにおいて、鼻腔の通気障害の改善がみられるかについて研究を行った。RMEによる鼻腔通気障害の改善率は6割程とされており、改善しない原因として解剖学的または機能的要因(口唇閉鎖不全、口呼吸、低位舌など)が考えられる。本研究では、RMEとMFTの術前術後の影響を流体解析にて分析した。その結果、改善率はRMEとMFTを併用した群が有意に高くなるという結果が得られ、習慣性口呼吸が鼻呼吸へと促され、鼻腔通気が改善された可能性が示唆された。本研究については、日本小児歯科学会(2022年5月19日・共同)にて発表を行った。 次に、低位舌、上顎歯列形態および鼻腔通気状態の関連性について研究を行った。低位舌は口呼吸や小児の睡眠時無呼吸と関わりが示唆されている。鼻腔通気障害と舌の低位、低位舌と上顎歯列の狭窄、上顎歯列狭窄と鼻腔通気障害で各々相関があった。3者は絶妙なバランスで構成されており、これらが乱れることで問題を生じていることが考えられる。本研究については、日本小児歯科学会(2022年5月19日・共同)、日本睡眠歯科学会(2022年11月19日・共同)、徳島県小児保健協会(2022年9月4日・共同)にてその成果を発表した。 3つ目は、医科用CTデータを用いて顎顔面周囲の筋を3次元的に量的・質的に評価を行い、小児期の経年的な変化と疾患による骨破壊がどれくらい劣成長をきたすかを検討した。本研究では、筋肉の質を可視化し、分布を解析するという新規の解析手法を用いた。本研究については、日本小児歯科学会(2022年5月19日・筆頭)にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児の鼻腔通気障害を引き起こす要因として、①鼻腔狭窄、②鼻粘膜肥厚、③鼻中隔湾曲、④アデノイド等が考えられるが上顎急速拡大(RME)と筋機能訓練(MFT)の施術の有無で、術前術後を評価している。現在までに、これら4つの評価要因をうち②鼻粘膜肥厚を有している患児については、日本小児歯科学会(2022年5月19日・共同発表)にて結果を発表した。 また、その他の要因についても進行中であり、一部結果が出ている。 それだけでなく、近年注目されている「口呼吸」が、舌の低位・口唇の閉鎖不全など口腔周囲に存在する筋肉を主とした組織の発達不全を疑うケースが増えている。これらは小児の気道障害と睡眠時無呼吸症候群に関連していることが考えられている。現在、われわれは流体気道解析(CFD)による通気障害の解析と併せて、これらの筋組織を質的に3次元的解析する方法を確立してきている。このことは、研究計画書の令和4年度の記載内容を達成していると考え、進捗は順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
症例の収集については適宜必要に際して研究協力施設に出向するなどして適切なケースをピックアップする。その際、共同研究者ならびに大学院生とともに協力し1回で可能な限り多くの症例収集を行うように計画する。 また、新規の解析方法がまもなく確立する見通しである。2023年度中の論文投稿を経て、医科用CT、CBCTにおいて本解析方法のコンセンサスが得られれば、実験計画の修正を行い、より多くの条件下での研究結果が得られることが想定される。ただし、研究を支援する人的要素は限られている。この点については、新規入局者等の研究支援が必要不可欠と考えられる。 解析の多くは高スペックなPCと高額なソフトウェアを要するため、今後追加で研究室に配置することで並列して解析を行なっていけるように環境整備を行なっていくこととする。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)