Project/Area Number |
22K10306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
枝広 あや子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (90433945)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 社会歯科学 / 認知症高齢者 / 歯科医療 / 口腔保健 / 在宅訪問 / 障壁 |
Outline of Research at the Start |
これまで認知症高齢者本人・家族の視点での歯科受診の障壁を取り除く対策は検討されていない。 本研究の目的である、地域在住の認知症高齢者における、①独居あるいは高齢夫婦のみ世帯の歯科ニーズを明らかにし、②歯科医療・口腔保健サービスにアクセスする本人・家族にとっての障壁の所在を解明し、③社会的支援の方法と情報共有ツールを開発することを通じ、本人・家族にとって “本人に何が起きているのか”“どういった壁があったか”を中心に主題分析を行う。さらに認知症の本人と家族の視点で患者―医療者間に不足している社会的支援の課題を明らかにして支援策および情報共有ツールを開発および試用を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
認知症の本人に対する歯科医療アクセスの促進と合理的配慮は、認知症の人がPrimary Health Careを受ける権利を保障する医療介護連携体制の課題である。本研究の目的は、地域在住の認知症高齢者において、①独居あるいは高齢夫婦のみ世帯の歯科ニーズを明らかにし、②歯科医療・口腔保健サービスにアクセスする本人・家族にとっての障壁の所在を解明し、③社会的支援の方法と情報共有ツールを開発することである。 【研究① 訪問調査によるニーズ分析】対象は都内の地域介入研究の参加者であり、すでに確立された信頼関係のもと歯科医師・歯科衛生士および精神科医師・心理士等が自宅を訪問し、歯科受診状況および口腔保健習慣、歯科受療行為への障壁については半構造化面接を行い、主題分析を行う。本人視点の障壁を可視化し混合研究法による分析を行い、本人視点の歯科ニーズを分析する。 【研究② 本人家族向けの情報共有ツールの開発】研究①において可視化した本人・家族目線の歯科医療ニーズ及び障壁を可視化したうえで、患者―医療者間に不足している社会的支援の課題を明らかにして支援策および情報共有ツールを開発する。情報共有ツールの試用には認知症の本人・家族の協力も得て改良し汎用可能な成果物とする。 研究①研究②を通じたアウトカムは、①独居・高齢夫婦に特有の歯科ニーズや障壁を明らかにする、②口腔保健サービスへのアクセスの障壁について、“本人に何が起きているのか”、“どういった壁があったか”、“適した支援の手はどこからであったか”を本人・家族の視点で明らかにする。③患者―医療者間に不足している社会的支援の課題を認知症の本人と家族の視点から明らかにすることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半構造化面接の対象は2016年から継続する地域介入研究である「認知症とともに暮らせる社会に向けた都市型地域ケアモデル事業(通称「高島平スタディ」)」において研究参加に同意した訪問調査参加者を想定していた。初期(2016年)段階で認知機能低下を認めていた訪問調査対象者に対して、2022年に電話調査を行ったところ地域生活の継続をしていたものはそのうち半数程度であった。継続的に介入している訪問調査参加者の日常的口腔衛生管理が家族等によってどの程度支援されているかを予備調査した。同居・別居家族により口腔のケアや義歯のケアが支援されているものは全体の13%であり、87%は支援が無いことが明らかになった。地域での在宅生活が継続出来ている段階では、多くの認知機能低下高齢者が日常的口腔衛生管理の支援を受けられていないことが明らかになった。 歯科受療行為への障壁については半構造化面接を行い、主題分析を行う計画として、訪問調査参加者に加え、地域介入調査のなかで口腔の健康に関する相談に訪れた者等に新たに半構造化面接への参加を依頼することとした。精神科医や心理士など精緻な認知機能評価、生活支援アセスメントの実施が可能な職種と訪問または地域介入拠点での半構造化面接を開始し、8名のインタビューデータを得たところで、本人視点の障壁に関する情報を分析した。調査期間を通じて、調査対象者には必要であれば継続的な口腔衛生・口腔機能に関する相談支援を継続して行っている。主題分析で得られたテーマは「課題の認識」「受療しないことの正当化」「過去の受療に関する不満」「受療プロセスの手段的困難」であったが、言説の中ではこれらテーマが相互関係を持ち、時間軸のなかで交互に入り乱れることがしばしばあった。一方、適した支援の手については、家族以外の支援者からの指摘や受療の後押しが言及された。
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Strategy for Future Research Activity |
歯科受療行為への障壁については半構造化面接を行い、主題分析を行う計画として、訪問調査参加者に加え、地域介入調査のなかで口腔の健康に関する相談に訪れた者等に新たに半構造化面接への参加を依頼した。精神科医や心理士など精緻な認知機能評価、生活支援アセスメントの実施が可能な職種と訪問または地域介入拠点での半構造化面接を開始しており、理論的飽和が得られるまで継続して本人視点の障壁に関する情報を収集する計画としている。面接は本人の協力が不可欠であることから、参加者の都合に合わせて実施していく。調査期間を通じて、調査対象者には必要であれば継続的な口腔衛生・口腔機能に関する相談支援を継続して行う。主題分析の結果は誌上発表を予定する。 また認知機能低下のある対象者本人が主観的に表現する徴候を歯科受療支援につなげるための歯科受療情報共有ツールのブラッシュアップのために認知症の本人・家族の協力も得て、試用と同時にアンケート調査を行う。試用経過の調査(半構造化面接及びアンケート)を経て改良し汎用可能な成果物とする。
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