最新の認知行動療法による医師バーンアウト改善プログラムの普及を目指した開発研究
Project/Area Number |
22K10420
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58010:Medical management and medical sociology-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
渡辺 孝文 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (50819662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 真前 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 室長 (30625223)
酒井 美枝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (80813120)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | アクセプタンス&コミットメント・セラピー / バーンアウト / 医師・医学生のメンタルヘルス / 医学教育 / 臨床実習 / 心理的柔軟性 / 自閉症様特性 / 医師・研修医・医学生のメンタルヘルス |
Outline of Research at the Start |
バーンアウトは医師の健康・医療の質・医療経済に多大な悪影響を及ぼすため、その対策が急務である。我々は、新世代の認知行動療法を応用した医師・医学生向けバーンアウト改善プログラムを開発した。本プログラムは簡便・短期間で実施でき、多忙な医師に対しても実行可能である。パイロット研究では、バーンアウト症状が大きく改善し、効果も持続した。本研究の目的は革新的な本プログラムの有効性を無作為化比較試験にて検証することである。プログラムによる医師・医学生のバーンアウト改善が健康促進・医療の質の改善・医療安全の推進・事故減少による医療費削減に及ぼす効果は極めて高く、我々はこのプログラムの全国的普及を目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
2019年11月より2022年10月まで、10ヶ月以上の臨床実習を経験した医学生284名を対象に質問紙にて燃え尽き、抑うつ、自閉症様特性(ALT)、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の中心要素である心理的柔軟性(PF)を横断的に調査した。燃え尽き各因子(感情的疲労EE、脱人格化DP、個人的達成感PA)または抑うつをアウトカム変数として年齢と性別をコントロールした線形重回帰分析を実施した。さらにALTと関連がみられたアウトカム変数について媒介分析を行った。ALTは、低PAおよび抑うつと有意に関連した。低PAは、男性であること、PFプロセスの価値への前進の乏しさとも関連した。抑うつは、PFプロセスのうち、強い認知的フュージョン、価値への前進の乏しさ、強い価値への妨害とも関連した。意外なことに、高EEと高DPは、ALTと有意な関連を示さなかった。媒介分析の結果、ALTと低PAの関連は価値への前進によって媒介され、ALTと抑うつの関連は価値への前進と認知的フュージョンによって媒介された。 同時期に燃え尽き軽減のためのACTの実施可能性と有効性を検討することを目的とした前後比較研究を実施した。1ヶ月の精神科/緩和ケア臨床実習で参加に同意した医学生に1回2時間、3回のACTプログラムを実施した。実施前ベースライン(T0)、終了時(T1)および終了2ヶ月後(T2)に燃え尽きならびにPFについて、妥当性が確認されている自記式質問紙で測定した。混合効果モデルを用いて各アウトカム指標の経時変化を分析した。参加者全員(n=56)がトレーニングを終了した。T0、T1、T2でEE・DPスコア平均値の有意差は認めなかった。T0で中等度以上の燃え尽きを示した医学生のサブサンプル(n=18)ではEE・DPスコアが有意に減少した。また、PFプロセスの価値への前進スコアが有意に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、予備的な前後比較研究を実施後、医学生のバーンアウト改善のための臨床実習中のグループACTプログラムについて、コントロール群を設けた無作為化比較試験に進める計画であった。しかし、医学生のバーンアウトが臨床実習中に介入なしで持続的にどのように変化するかも明らかになっておらず、現在、臨床実習開始後の医学生のバーンアウトが自然経過でどのように変化するかコホート研究デザインにて観察している。また、臨床実習中の医学生は忙しく、無作為比較割付を行う際にコントロール群を設定することにかなりの困難が予想されたため、対面でのプログラムを改変し、オンラインでのACTプログラム実施などの方策を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.バーンアウトの測定に使用するMaslach Burnout Inventory(MBI)はバーンアウト測定のゴールデンスタンダードと言われてはいるが、個人的達成感に関しては他の2 因子との相関関係が低く、個人達成感の低下はバーンアウトの結果として生じる、といった構成概念の妥当性の課題が指摘されている。このことから、MBIの課題を踏まえて開発され、米国の医学部のバーンアウトの調査にも使用されているOldenburg Burnout Inventory for medical students(OLBI-MS)の日本語版の信頼性と妥当性を横断研究デザインによるアンケート調査で検討する。 2.臨床実習中の医学生のバーンアウトがどのように変動するか、ACTの中心要素である心理的柔軟性とどのように関連しているのかをOLBI-MSとMBIを用いてコホート研究デザインにて調査、OLBI-MS日本語版の縦断的妥当性を検討する。OLBI-MSの信頼性と妥当性が示されれば、ACTプログラム介入無作為化比較試験においても、この尺度を用いることを検討する。現在までに得られたパイロット研究のプログラムの知見をもとにオンラインプログラムを作成し、無作為化比較試験を計画する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)