Project/Area Number |
22K10457
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58010:Medical management and medical sociology-related
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
黒田 研二 西九州大学, 健康福祉学部, 教授 (70144491)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 精神科病院 / 病院療養環境 / 長期在院患者 / 地域移行支援 / 630調査 / 重回帰分析 / 630調査 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、精神科病院における長期在院患者の発現の背景にある病院環境要因とは何か、長期在院患者を減少させて地域での生活を支援していくために病院療養環境をどのように改善していくことが可能かという「問い」に答えるものである。大阪府内の50精神科病院を対象とし、2009年と2019年の630調査のデータを用いた分析、長期在院患者の地域移行の取り組みに関する質問紙調査、長期在院患者を減少させた病院の訪問調査を組み合わせて研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精神科病院における長期在院患者の発現の背景にある病院環境要因とは何か、長期在院患者を減少させて地域での生活を支援していくために病院療養環境をどのように改善すべきかを解明することを目的としている。 2023年度は、前年度に行った大阪府内精神科病院の長期在院患者発現状況の分析結果を、第42回日本社会精神医学会で報告し、また、原著論文として取りまとめ、西九州大学健康福祉学部紀要に投稿し査読コメントを組み入れて完成させ刊行した。以下考察の一部を示す。 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所が公表している630調査の集計・分析結果は,全国または都道府県単位のものであり,個々の病院単位に分析した結果は含まれていない。公表されている集計結果をもとに2021年の全国の精神病床における3ヶ月以上,6ヶ月以上,1年以上,5年以上,20年以上の各在院患者割合を筆者が計算すると,それぞれ79.6%,72.1%,62.4%,30.7%,7.6%であった。本研究で算出した数値が精神病床全体における数値よりも低いのは,病院単位に算出した数値の平均をとったためである。医学部付属病院などの精神病床数が少なく長期在院患者割合が少ない病院の数値が,58病院の平均を下げる効果をもたらしている。 長期在院患者発現状況の病院間での格差は大きく,最大で在院期間5年以上の患者割合が51.3%,20年以上患者割合が19.6%に達する病院が存在した。重回帰分析において,長期在院患者割合の高いことに,医師,看護師の配置数が少ないことが強く関連しており,精神保健福祉士の配置が少ないことも1年以上在院患者割合が高いことに有意に関連していた。精神病床における長期在院患者の発現を防ぐには,病院の医療スタッフの充実と,チーム医療に基づくきめ細やかな医療の提供が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に、研究計画に挙げた初年度の研究目的、すなわち630調査のデータを用いて大阪府内の個々の精神病床を有する病院の長期在院患者の発現状況を明らかにし、病院療養環境がそれにどのように影響しているかを分析することを遂行した。病院療養環境としては、医師、看護師、精神保健福祉士といった専門職の配置状況や医療保護入院等の入院形態別割合、入院患者の疾病分布などを明らかにした。 当初の研究計画では、10年前の630調査の結果と比較し10年間で各病院における長期在院患者の発現状況がどのように変化したかも分析する予定であったが、その分析がまだ完成できていない。また、精神科病院に対する質問紙調査を計画していたが、実施に至っていない。進捗が遅れた理由は、大学の学部長の職責に伴う事務的負担が大きく、研究に充てる時間を充分確保できなかったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、初年度にやり残していた10年前の630調査の結果と比較して、10年間で各病院における長期在院患者の発現状況がどのように変化したかを分析する。その結果をもとに、長期在院患者を減少させた病院を抽出して、病院訪問による聴き取りと視察によって長期在院患者の地域移行の取り組みの具体的内容を明らかにし、記述・分析する。 なお、研究計画では各病院に対する質問紙調査によって、入院患者の地域移行を進めるためにどのような取り組みをしているか調査することにしているが、2024年4月に施行された改正精神保健福祉法に医療保護入院の入院期間の規定が含まれたことを考慮し、各病院の入院患者の早期退院にむけた取り組み状況を調べるには、一定の期間を置いた2025年度に質問紙調査を行うのが望ましいと考えている。そのため研究期間を1年延長して本研究を遂行したい。
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