血中亜鉛濃度を反映する滲出液マーカーの探索と臨床応用に向けた基礎的検討
Project/Area Number |
22K10692
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58050:Fundamental of nursing-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
山根 拓実 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (80637314)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 亜鉛 / 褥瘡 / 創傷治癒 / 滲出液 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では、滲出液中のマーカーを用いた栄養評価技術を開発するために、分子栄養学的手法でラットを用いた動物実験を行う。亜鉛欠乏状態のラットの滲出液中のタンパク質をサイトカインアレイにより網羅的に解析し、ターゲット分子を絞り込む。同定した滲出液中タンパク質と血中亜鉛濃度の相関を確認後、最終年度には、臨床応用を見据え創面ブロッティングとよばれる滲出液中のターゲットタンパク質を数時間で検出する方法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
褥瘡の治癒は生体内の亜鉛濃度と密接な関係があるため、常時その動態を把握する必要がある。現在の方法は、血液検査により血中亜鉛濃度が評価されているが、結果を得るまでに時間がかかる。また、採血は高齢者にとっては、体力的に負担であり、医療従事者にしかできない方法である。さらに、血液からの感染リスク、医療廃棄物など様々な問題も抱えている。そこで、申請者は迅速かつ簡便で誰にでもでき、さらに痛みの少ない生体内亜鉛濃度の評価方法を開発すべく、創部からサンプリング可能な滲出液中のタンパク質に着目した。 2022年度は亜鉛欠乏モデルラットにおける滲出液中タンパク質の網羅的解析を行った。Wistar系雄性ラットを通常食で1週間の馴致の後、コントロール群(CO群)及び餌から亜鉛を除去した亜鉛欠乏(ZD)群の2群に分けた。1週間の試験飼育後、麻酔下で背部を除毛し、全層創傷(直径1.5 cm)を二か所作製した。創にはドレッシング材を貼付し、毎日創を洗浄した。創作製後4日目の解剖時に蓄積した滲出液を回収するとともに血液をサンプリングした。体重は、両群間で差が認められなかった。血中の亜鉛濃度は、CO群に比して亜鉛欠乏群で有意に低下した。滲出液は群ごとにプールし、含有されるタンパク質をサイトカインアレイで網羅的に解析した。その結果、CO群に比して変動を示したタンパク質の一つとしてtumor necrosis factor-αを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コントロール群(CO群)及び亜鉛欠乏群(ZD群)の創部から滲出液を回収し、群ごとにサンプルをプールしてサイトカインアレイによりタンパク質を網羅的に解析した。サイトカインアレイの結果、滲出液中のtumor necrosis factor(TNF)-αがZD群において顕著に増加を認めた。したがって、滲出液中のTNF-αが亜鉛欠乏状態を評価するマーカーとなる可能性が示唆された。TNF-α以外にも変動した分子が同定されたにも関わらず、ELISAによる再現性の確認までには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、申請者は亜鉛欠乏食で変動し、滲出液マーカーとなり得る分子候補を絞り込むことに成功している。今後は同定した滲出液中のマーカーがタンパク質の再摂食により正常なレベルに改善されるか確認する必要がある。したがって、2023年度は亜鉛欠乏状態のラットに亜鉛を再摂食させ滲出液中マーカーの変動をELISA法で確認する。また、同時に体重や血中亜鉛濃度の変動も確認する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)