精神科急性期で非自発的入院を防ぐ当事者の主体性を支える支援の構造と関連要因の解明
Project/Area Number |
22K11199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58080:Gerontological nursing and community health nursing-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梶原 友美 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90706920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武用 百子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00290487)
大達 亮 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10760796)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 精神科救急急性期 / 主体性 / 評価指標 / 患者・市民参画 / 非自発的入院・治療 / 実態調査 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、精神症状の急性期に、非自発的入院/治療を避けたり、意に反した治療であっても当事者の主体性を脅かさないために、医療者が実施している「主体性」を支える支援について、その実態と影響要因を全国調査により明らかにし、本邦の精神科救急・急性期医療施設において「主体性」を支える支援を可能にするための指標を示すことを目的としている。 本研究の結果は、急性期における当事者の人権擁護を可能にするとともに、「主体的に人生を生きることこそ本当の回復である」とされるパーソナル・リカバリーの概念に基づき、急性期におけるリカバリー志向支援を検討するための基礎的資料になり得ると考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初の目的は、精神症状の急性期に精神科医療施設において、非自発的な入院や治療を避けたり、意に反した治療でも当事者の主体性を脅かしたりしないために、①医療者が実施している「主体性」を支える支援の実態と影響要因を全国調査で明らかにすること ②「主体性」を支える実践を可能にするための指標を示すことであった。 しかし、昨年度、精神疾患患者の主体性の概念分析を行った結果、精神疾患患者の主体性とは、実際に主体的行動が出来ているかどうか以上に、選択や意志決定の主体であるという当事者の認識や感覚を重視する概念であることが分かった。そのため、医療者が行っている支援ではなく、当事者が主体性を支えられたと実感した支援を明らかにした上で、その支援実態を明らかにする必要があると考えた。したがって、精神症状の急性期に、当事者の主体性を支えるための実践を当事者の視点から明らかにし、当事者が評価可能な尺度を開発することへ目的を変更した。 また、主体性が、当事者の主観を重視した概念であることに加え、生物医学的視点に基づく評価に重点が置かれる急性期医療の中で、当事者主体の医療を検討するために、当事者の協力が必要である。したがって、本研究では、研究対象者としてのみではなく、患者・市民参画(Patient and Public Involvement; PPI)の考え方に基づき、精神科救急/急性期病棟への入院を体験したことのある当事者に研究協力者として参画してもらった。 更に、PPIの研究協力者との議論により、自発的な入院であっても主体性が妨げられている実態があるという意見が上がった。文献検討を行った結果、非自発的入院は、主体性に関連する自己価値や自尊心に関連しているものの、任意入院者であっても強制力を認識していることを報告する研究があった。したがって、尺度開発の際には、入院形態には言及しないこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、実際に精神科急性期病棟への入院を経験したことのある当事者へのフォーカスグループインタビューと先行研究のレビューにより、定性的に尺度を開発した。これらの研究プロセスは、実際に精神科急性期病棟への入院を経験し、現在ピアサポーターとして活動している4名の当事者の協力を得て行った。 フォーカスグループインタビューにより、明らかになった「精神症状の急性期において患者が主体性を実感するために必要な要因」について、国際学会において発表を行った。 また、作成した尺度について、精神科救急/急性期病棟の入院患者における信頼性と妥当性を検証するための研究について、所属施設の倫理審査を受け承認を得た。現在共同研究における実施許可を待っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、作成した尺度について、精神科救急/急性期病棟の入院患者を対象として信頼性と妥当性を検証する予定であり、今後、対象施設となる精神科病院において研究計画に基づき調査をすすめていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)