The role of Cyr61 in recovery from diaschisis post-hemorrhage
Project/Area Number |
22K11338
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西部 真理子 滋賀医科大学, 医学部, 客員講師 (50638757)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 脳血管障害 / 神経可塑性 / リハビリテーション / 脳出血 / 運動機能 |
Outline of Research at the Start |
脳卒中などの脳血管疾患では、多くの場合、損傷発生部位のみならず健康な部位にまで損傷が拡大してしまう二次的変性「遠隔性機能障害」Diaschisisが引き起こされる。脳血管疾患により失われる高次運動機能を回復するために、「遠隔性機能障害」からの回復を促す神経の可塑的変化について調査する。これまでに同定した血管新生を担う分泌タンパク質 cysteine-rich angiogenic inducer 61 (Cyr61) に着目する。マウス背外側線条体に出血を誘発し、Cyr61がどの様に皮質運動野でのリハビリ依存的な遠隔性神経可塑性と、血管内皮細胞、周皮細胞による血管新生に作用するかを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
亜急性回復期の脳卒中動物モデルを用いたこれまでの研究により、リハビリテーションにより上肢の運動を制御する皮質領域が再構築され、その機能が部分的に回復し、運動機能が改善されることがわかっている。しかし、代償性の神経再構築が不十分である。代償や神経保護メカニズム解明し、神経機能回復をより促進できれば、運動機能回復に大きく貢献することができる。 本研究では出血を線条体 (dorsolateral striatum) に誘発させるモデルと、中大脳動脈を結索して誘発する線条体梗塞マウスモデルを用い機能が連結する一次運動野での神経構築を運動機能と並行して評価した。非出血群、出血 +自発的回回復群の遺伝子発現を比較し神経回復に関与する因子を調べたところ、出脳損傷亜急性期に作成した切片の組織解析では、Atf3とCyr61の顕著な発現が出血同側 (ipsi-injury) の運動野 V/ VI 層ニューロンで観察された。また、促進に働く神経可塑性分子として、 Sbno1に着目し、脳損傷亜急性期特異的な組織解析をおこなったところ出血損傷域を中心にSbno1の発現が確認された。Sbno1発現を免疫染色で確認すると、大脳皮質においては5層と2/3層で強い発現が見られた。これらの層は錐体ニューロンによって構成されており、2/3層は大脳皮質の連合線維を作るニューロン群であり、5層は皮質下への投射ニューロンというそれぞれにおいてより遠くへ出力を担うニューロン群という共通点がある。Sbno1は発生期で大脳皮質神経発達に重要な役割を担う分子であり、損傷を受けた神経細胞の遠隔性機能障害からの回復にどのうように関わっているかを明らかにする 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出血急性期のSbno1の発現が低酸素状態と関連している可能性があるので、マウス大脳皮質から摘出したニューロンの一次培養を低酸素状態で行い、通常の培養を行った場合とウェスタンブロットで定量的に比較したところ、低酸素下の培養ではSbno1の発現が増加していることが明らかになった。同様に低グルコース条件でニューロンを培養した場合にもSbno1の発現が上昇し、低酸素かつ低グルコースではもっとも顕著にSbno1発現が高くなることを確認した。 正常な脳ではSbno1は脳のすべてのニューロンで発現するものの、大脳皮質2/3層錐体ニューロンや顔面神経核、舌下神経核などではより高い発現をするニューロンが散在的に分布していた。そこで脳全体でSbno1発現と低酸素状態との関係をさらに調べるために、周産期母親マウスを処置することで新生児低酸素性虚血性脳症を再現する実験を行い、免疫染色によってSbno1の発現を確認したが、組織票本を観察する限り、Sbno1発現がこの処置で変化していることは確認できなかった。 Sbno1はDNAヘリカーゼであり、ゲノムDNAに作用することでワトソン・クリック的な典型的二重ら旋構造を持つ安定な状態へ戻す働きがある。脳血管障害モデルでのSbno1発現の上昇はSbno1がニューロンにおいて、そのような不安定化したゲノムDNAを保護する働きがあるのではないかと考え、神経系細胞株であるNeuro2a培養細胞でSbno機能のノックダウンを行った上でX線を照射した。γH2AXと53BP1の免疫染色によってDNA損傷への影響を調べたが、コントロールとSbno1ノックダウンを行った細胞の間でDNA損傷応答分子の発現に違いがあるかどうかは明らかにならなかった。これはNeuro2a細胞がヘテロな集団であり、核型や細胞形態が多様であるために、判断がしづらかったことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
代償的に働く神経領域再構築メカニズムの一つを明らかにするために本研究では、脳損傷後の高次運動機能回復の促進に働く神経可塑性に働く因子の同定と、それら因子の機能の組織的解析・行動実験解析を目的としている。一方で、本研究を進める中で人為的に脳梗塞を起こした場合に、単に損傷し変性するばかりでなく、梗塞部位ではニューロンを保護するための分子発現の変化がある可能性が示唆された。 Sbno1は免疫染色によりタンパク質レベルでも出血損傷域を中心に高発現が確認された。この因子は線条体のコラゲナーゼ処理と、中大脳動脈結索脳のいずれの脳損傷モデルでも出血群で高い発現が観察された。興味深いことにSbno1は精髄前角ニューロンでより高く発現する。さらにより検出感度が高い抗Sbno1抗体を我々自らで作成し、免疫染色法で脳の発達過程でのSbno1タンパク質の発現を詳細に調べた。その結果、脳幹部でSbno1が特に動眼神経核、三叉神経運動核、舌下神経核、顔面神経核、さらには延髄網様体にあるニューロンで特に強い発現をしていることを見出した。大脳皮質5層でも高い発現があることから、運動制御と関連しゲノムDNAに作用する何らかの働きがあるものと考えられる。今後は脳出血後のニューロンの活動をモニターし、遠隔性機能障害からの回復時のこれら遺伝子の寄与を検討する。脳内での出血に伴う低酸素や低グルコース状態のニューロンで発現上昇するSbno1については、遺伝子機能阻害実験を行いからニューロンのゲノムDNAを保護する働きについて知見を得るために、DNA損傷応答マーカーの発現などを調べる。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)