運動由来分子の個体間移行による認知機能向上効果の発現メカニズム解明
Project/Area Number |
22K11747
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
古川 智範 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60402369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶌 春生 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90858177)
下山 修司 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60736370)
小枝 周平 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (00455734)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 運動 / 老齢マウス / 認知機能 / 海馬 / プロテオーム解析 / exercise / 活動量 / 運動由来分子 / 老齢 |
Outline of Research at the Start |
身体的な運動が加齢に伴うシナプスの減少や海馬LTPの減弱を抑制可能であることを明らかにしたこれまでの申請者の研究成果を基に、本研究では運動由来分子の移行により認知機能が向上することを立証するとともに、認知機能向上効果が発現するメカニズムを細胞レベルおよび分子レベルで明らかにする。特に加齢に伴う認知機能の低下が認められる高齢マウスにおいて、運動負荷させた若齢マウスの血清を静脈投与することで得られる認知機能向上効果の発生機序を解明して、認知機能低下の予防法や治療法開発に応用・展開するための基礎的研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、身体運動による認知症の予防法や症状改善効果が注目され、運動由来分子の同定が報告されて運動模倣薬の開発が期待されている。本研究課題では、運動由来分子に由来する認知機能改善効果の発現機序を明らかにすることを目的としている。老齢マウスモデルをもちいて老化に伴う認知機能の低下が運動由来分子の投与によって改善することを確認するとともに、そのメカニズムを追求する。2022年度の研究成果では運動によって変動した血清中タンパクには雌雄差が認められたため、2023年度では、雌マウスの血清を採取し、老齢マウスに投与して、記憶に強く関係する脳領域である海馬の機能的解析を行った。8週間の自発的な運動を負荷させた雌マウス由来の血清を、非運動老齢マウスの尾静脈から投与(8回/3週間)した。また、細胞新生を調べるため、血清投与と同時に5-Ethynyl-2'-deoxyuridine(EdU)を腹腔内に投与した。投与後、脳組織サンプルを採取し、認知機能に寄与することが報告されている分子の海馬における発現や局在性について、組織学的手法により解析した。海馬歯状回におけるNeuroD1陽性細胞(新生神経細胞)の密度には血清投与の影響が認められなかったが、EdU陽性細胞(新生細胞)は血清投与によって密度が増加していた。また、Iba-1陽性細胞(ミクログリア)の細胞密度には血清投与の影響は認められなかったが、CA3領域においてGFAP陽性細胞(アストロサイト)の密度増加が認められた。これらの結果から、運動由来分子の投与は、海馬のアストロサイトの増加または活性化によって神経回路機能に作用し、認知機能の改善に寄与している可能性が示唆された。詳細な機序は不明であるが、血清中の運動由来分子がアストロサイトを介して神経機能を修飾しうる可能性は、本研究課題の目標に到達するための重要な端緒となりうると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動負荷マウス血清におけるプロテオーム解析の結果、雌雄間で大きな違いが認められたことから、自発運動負荷マウスの血清を雌雄それぞれから採取し、それを別個体に投与するという計画に変更した。そして、2023年度は雌の運動負荷マウスから採取した血清を投与したマウスの脳の海馬領域について、組織学的解析を行った。当初の計画通り海馬における神経栄養因子の組織学的解析を行ったものの、シグナルが弱く、局在性に血清投与の影響が認められなかったことから、新生神経細胞およびグリア細胞の局在性および細胞密度の解析を行うことにより、運動負荷マウス血清の投与による海馬機能への影響を検討した。このように若干の計画変更はあったが、運動由来分子が海馬神経におよぼす作用がアストロサイトを介している可能性を見出したことから、進捗状況は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
運動負荷雌マウス血清を投与したマウスの急性脳スライス標本において、海馬LTPを記録してシナプス伝達効率が血清投与によって亢進されているかを解析する。また、海馬神経細胞に色素を注入し、可視化したスパインを組織学的に観察して海馬神経におけるシナプス密度に対する血清投与の影響を検討する。そして、雄の運動負荷マウス血清を老齢マウスに投与して同様の解析を行う。2022年度に得られたプロテオーム解析結果をもとに、運動によって大きく変動した分子について生化学的な分析を行う。プロテオーム解析結果では肝組織由来の分子が新たな候補として挙がっているため、すでに採取済みの肝組織および脳組織の生化学的分析を行う。これらの解析から、他個体へ移行した運動由来物質の脳への作用機序を検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)