Project/Area Number |
22K11790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐藤 英介 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60211942)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 好中球 / 好中球細胞外トラップ / ヒストン / シトルリン化 / アセチル化 / 酢酸 / エピジェネティックス / 脂肪酸 / ペプチジルアルギニンデイミナーゼ4 |
Outline of Research at the Start |
がんや全身性エリテマトーデス、最近の新型コロナウイルス感染症でおきる肺炎では好中球細胞外トラップ(NETosis)が頻発することが明らかとなった。過度なNETosisは炎症を増悪化するため、その作用機構の解明は、炎症性病態の制御に重要である。これまで、申請者はNETosisの誘導に重要な鍵酵素であるペプチジルアルギニンデイミナーゼ4 (PAD4)の発現が、エピジェネティクス制御を受けてNETosis誘導を調整していることを見いだした。本研究では、脂肪酸によるNETosis誘導のエピジェネティクス制御機構を明らかにし、その成果により新しい炎症病態の制御法と自然免疫を増強する方法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は短鎖脂肪酸である酢酸のNETosis促進機構を解析した。その結果、1 mM、10 mMの酢酸ナトリウムを添加した際に、好中球に分化したnHL-60細胞では、A23187、およびPMA刺激ともにNETosisを促進させた。ROS測定の結果、酢酸ナトリウム添加した場合はROSの産生を抑える傾向にあった。また、Western blottingでペプジルアルギニンデイミナーゼ4(PAD4)の発現を解析した結果、酢酸ナトリウム添加ではPAD4の発現量は変化しなかった。また、ヒストンH3のシトルリン化を検出した結果、酢酸ナトリウム添加で有意にシトルリン化が亢進した。従って、酢酸ナトリウムが、NETosisを亢進するのは、酢酸ナトリウム処理によるPAD4の発現促進ではなく、酵素活性化が関与することが考えられた。このNETosis促進作用を解析したところ一部は、細胞表面の短鎖脂肪酸受容体であるGPR43を介していることが、GPR43アゴニストを用いた解析で明らかとなった。すなわち、GPR43を介したシグナル伝達がPAD4の酵素活性化につながる可能性が考えられた。また、酢酸は細胞膜受容体を介さなくても細胞内に移行するので、細胞内での酢酸濃度の上昇がNETosis促進に関係する可能性を解析した。解析の結果、酢酸を添加すると細胞内のアセチルCoA濃度が上昇し、ヒストンアセチル化が亢進することが明らかとなった。詳細に解析した結果、ヒストンアセチル化はヒストンH3のK9、K14のアセチル化が亢進することが明らかとなった。ヒストンアセチル化は、シトルリン化と同様にクロマチン脱凝縮を促進することが報告されているおり、さらにヒストンH3のアセチル化はシトルリン化を促進することも報告されているので、酢酸によるNETosis促進作用に、ヒストンアセチル化も一因となる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短鎖脂肪酸である酢酸は、HL-60細胞を好中球に分化成熟過程に添加すると、NETosisが促進されることが判明した。この促進作用を解析したところ、NETosisの鍵酵素であるペプチジルアルギニンデイミナーゼ4の発現が上昇したことではなく、酢酸の細胞膜受容体GPR43を一部介していることが判明した。また、酢酸は、直接、細胞内に取り込まれ、細胞内のアセチルCoAの濃度を高めて、ヒストンタンパクをアセチル化を促進することが判明した。ヒストンアセチル化は、ヒストン・アセチルトランスフェラーゼ(Histone acetyltransferase; HAT)とヒストン脱アセチル化酵素(Histone deacetylase; HDAC)によって調節されているが、基質となるアセチル-CoAが増加することでヒストンアセチル化が亢進すると考えられた。ヒストンタンパク質は,N 末端尾部を中心にアセチル化されるリシン残基に富み, 例えば,ヒト H3 では,4 番目のリシン(K4),K9, K14,K18,K23,K27,K36,K56,K64,K79,K115, K122 のアセチル化修飾が同定されている。同様に,H2A,H2B,H4 にも複数のアセチル化サイトが存在する。アセチル化修飾のパターンとNETosisとの関連を調べるために、個々のアセチル化サイトの特異的な状況を解析した結果、ヒストンH3のK9、K14のアセチル化が亢進することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒストンアセチル化がヒストンシトルリン化に及ぼす影響の解析:ともに正電荷を持つリシンとアルギニンは、配列上の位置に関係なくリシンは表面に露出して他のヌクレオソームとの相互作用を仲介し、アルギニンはヌクレオソームの DNA と相互作用し、その負電荷を中和する傾向があるという異なる性質をもつため、この両者の性質の違いが、アセチル化リジンとアルギニンのシトルリン化によってNETosisの際のクロマチン放出に影響を与える可能性が考えられる。また、シトルリン化を担う酵素であるペプチジルアルギニンデイミナーゼ4は、ヒストンH3のN末端のリシンのアセチル化によって、ヒストンH3への結合性が上昇することが知られている。従って、ヒストンH3のアセチル化の状況が、ヒストンH3のアルギニンのシトルリン化に影響を与え、NETosisを制御しうるかを検証する。また、短鎖脂肪酸だけでなく、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸がヒストンアセチル化に関与するかを解析していく予定である。
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