Project/Area Number |
22K11877
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
菊崎 泰枝 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60291598)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | ヒスタミン / モルガン菌 / 抗菌活性 / クローブ / メドウスウィート / フラボノイド / ヒスタミン食中毒抑止 / ヒスチジン脱炭酸酵素 / 食用植物由来成分 |
Outline of Research at the Start |
給食施設等で毎年発生しているヒスタミン食中毒は、食品中のヒスチジンが食品付着菌由来のヒスチジン脱炭酸酵素の作用によりヒスタミンに変換され蓄積することが原因で発生する。ヒスタミンは熱に安定で加熱調理で防ぐことができないため、食品の流通・保蔵段階でヒスタミンの蓄積を阻止することが肝要である。本研究では、長年食習慣のある安全な食用植物からヒスタミン蓄積を阻止する成分を探索し、化学構造の解明、食品付着菌に対する増殖抑制作用やヒスチジン脱炭酸酵素阻害作用を検証することにより、ヒスタミン食中毒防止剤への活用の可能性を検討し、ヒスタミン食中毒防止手段を提案する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
毎年のように給食施設等で発生しているヒスタミン食中毒は、食品中のヒスチジンが食品付着菌由来のヒスチジン脱炭酸酵素の作用によりヒスタミンに変換され蓄積することが原因で発生する。ヒスタミンは熱に安定で加熱調理によって防ぐことができないため、食品の流通・保蔵段階でヒスタミンの蓄積を阻止することが肝要である。本研究は、長年食習慣のある安全な食用植物からヒスタミン蓄積を阻止する成分を探索し、化学構造とその機能を解明することを目的としている。これまでにバラ科のメドウスウィートおよびフトモモ科のクローブの70%アセトン抽出物酢酸エチル可溶部にヒスタミン生成菌のモルガン菌に対する抗菌活性を認め、抗菌活性成分の探索を行った結果タンニン類が抗菌活性成分であることを見出したが、タンニン画分以外にも抗菌活性を示す画分が存在していた。昨年度、メドウスウィート、クローブからタンニン以外の抗菌活性成分を探索する目的で各酢酸エチル可溶部の精製を開始し、数種のフラボノイドを単離、構造決定した。本年度も引き続きフラボノイド画分の精製を行い、メドウスウィートから4種、クローブから7種のフラボノイドを単離・構造決定し、化学構造と機能性の関連性を検討する一連のフラボノイド試験物質を得ることができた。また、本研究では、単離化合物のヒスタミン蓄積抑制活性を評価するために、少量の被験試料でも抗菌活性とヒスタミン生成量を測定できる試験法の構築を目指している。本年度、基質ヒスチジンの添加濃度条件の詳細な検討を行い、試験物質の抗菌性が基質ヒスチジン濃度に左右されることが明らかとなった。試験法の構築のために、今後、適切なヒスチジン添加濃度を決定する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、メドウスウィート、クローブのタンニン画分以外の抗菌活性画分の精製を進め、活性画分の主要成分であるフラボノイド類をほぼ単離し、構造決定することができた。フラボノイドのモルガン菌に対する抗菌性に関する知見は少ないため、化学構造の類似したフラボノイドの抗菌性を調べることは有意義と考えている。そのため、本年度中に単離したフラボノイドのモルガン菌に対する抗菌活性を測定し、化学構造と抗菌活性の関連性を検討する予定であったが、成分の精製・単離に予想以上の時間がかかり抗菌活性を測定するに至らず、進行がやや遅れていると言わざるを得ない。また、本研究のもう一つの課題である「少量の試験試料で魚肉中ヒスタミン蓄積抑制効果を測定できる試験法の確立」については、基質であるヒスチジンの添加量によって被験物質のモルガン菌に対するMICが大きく異なるのではないかという昨年度の結果の再現性実験を系統的に行い、ヒスチジンの添加濃度に依存して被験物質の抗菌活性が変化することを明らかにした。本年度中に試験法の確立を目指したが、適切なヒスチジン添加濃度を検討する課題が残った。したがって、全体の進捗としてはやや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
メドウスウィートの抗菌活性画分に未単離の2種の成分の存在がわかっており、ひきつづき当該成分の単離・構造解析を進める。また、クローブ、メドウスウィートと同様、サバ筋肉中のヒスタミン蓄積抑制効果が認められているオールスパイス、ローズレッドペタル成分についてHPLCによりクローブおよびメドウスウィート成分と比較し、非共通主要成分をターゲットに精製・単離を順次進める。得られた単離化合物について、まずヒスチジン脱炭酸酵素阻害活性を調べ、化学構造と活性の関連性を明らかにする。また、本研究では、魚肉を利用する試験では試験試料が多く必要となり、単離化合物の試験には不向きであることから、少量の試料でヒスタミン蓄積抑制効果を調べるモデル実験法を構築することも課題として挙げている。適切なヒスチジン添加量を早期に決定してその妥当性を検討して試験法を確立する。測定法が確立できれば、単離化合物の抗菌性とヒスタミン生成抑制を同時に評価し、化学構造と活性の関連性を考察するとともに、魚肉中のヒスタミン蓄積抑制効果がヒスチジン脱炭酸酵素阻害とヒスタミン生成菌に対する抗菌性のいずれに起因しているのか、あるいは両方に起因しているのかについて明らかにしていく。
|