Project/Area Number |
22K11945
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60030:Statistical science-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
原瀬 晋 立命館大学, 理工学部, 講師 (80610576)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 擬似乱数 / モンテカルロ法 / 準モンテカルロ法 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 統計計算 / ベイズ統計学 |
Outline of Research at the Start |
乱数を用いた、確率現象シミュレーションや数値積分などの数値計算法を総称して、モンテカルロ法と呼ぶ。モンテカルロ法は、計算機の飛躍的向上に伴って、統計計算に必要不可欠な道具となっているが、収束の遅さや適切な乱数生成など、解決すべき問題点は多い。本研究は、モンテカルロ統計計算において有用な、擬似乱数・準乱数の開発と応用、ソフトウェア実装を目的とする。特に、研究代表者のこれまでの研究を発展させ、(1)マルコフ連鎖モンテカルロ法のための準乱数の改良とソフトウェアの作成、及び、ベイズ統計計算への応用、(2)小容量で高速なメモリに対応した、小型でメモリ効率の良い、高性能な擬似乱数発生法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
MCMC法のための準乱数に関する研究を行った。2023年3月に投稿した論文の査読結果が返却された。査読者のコメントに従って改訂を行い、Journal of Statistical Computation and Simulationに掲載が決定した。 MCMC法では、短い周期のTausworthe発生法を一周期走らせた際に現れる格子構造を準乱数と見なして用いる方策を取る。この時、t値と呼ばれる一様性の指標によって準乱数を評価するが、Tausworthe法のt値はパラメータとなる有限体上の2つの多項式の正則連分数展開と密接に関係がある。先行研究の原瀬(2021)では、二元体F2上で設計を行い、連分数に基づいて2次元のt値が最適値0、3次元以上についても小さいt値をもつ準乱数を得た。しかし、F2上では最大周期性を有し、3次元のt値が最適値0を達成するパラメータは存在しないことが証明されている。 当該論文では、F2上の演算を一般の素数べき位数bの有限体Fbに拡張し、3次元のt値が0となる最大周期性をもつTausworthe法の全数探索を行った。この時、b=4,5の場合にはパラメータが数多く見つかるが、b=3では特定の次数に対してのみごく少数しか存在しない。査読者から理由を求められたため、追加の数値実験を行った。特に、一般的な発生法のクラスとして状態遷移行列を用いた線形発生法を設定し、b=3の場合について3次元のt値が0となる遷移行列をランダムサーチにより探索した。その結果、10次まで所望の行列の存在を確認した。このことは、Tausworthe法の枠組みは制約が強いことを示唆しているが、本研究の設計手法では2次元のt値は必ず最適値0となる利点がある。一方、数学的構造を仮定せず、この性質を満たす遷移行列を無作為に探すことは効率が悪く、次数が上がると探索が困難になる問題点が予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の成果として、論文が計算機統計学の専門誌に掲載決定し、早期公開された。また、数年ぶりに対面での学会発表を2件行った。1件目は、8月に早稲田大学で開催された応用数理国際会議ICIAM 2023にて口頭発表を行った。加えて、準モンテカルロ法の分野の企画セッションが開催され、海外研究者が多数来日した。講演を聴講し、最先端の研究動向を知ると共に、海外研究者との貴重な意見交換の場を得ることが出来た。2件目は、9月に京都大学で開催された統計関連学会連合大会にて口頭発表を行い、作成した準乱数を用いたMCMC法の数値例(ボストン住宅価格データセットの線形回帰モデルのベイズ推定)を紹介した。ベイズ統計学の研究者からもフィードバックを得ることが出来て、今後の研究の方向性に関して新しい着想を得た。 以上により、本研究課題の2年目として、研究成果を対外的に公表出来たため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年8月にカナダ・ウォータールー大学で開催されるモンテカルロ法の国際会議MCQMC 2024での口頭発表が受理された。MCMC法のための準乱数とベイズ統計学の数値計算への応用に関する研究成果発表を予定している。 論文掲載まで辿り着き、準乱数の設計の研究は一区切りついたと言える。そこで、ベイズ統計学に現れるMCMC法の様々な問題に適用して、作成した準乱数の有用性を検証する応用研究を行いたい。ごく最近、華南理工大学の研究者らが発表した不偏MCMC法の改良についてのプレプリント内で、本研究の準乱数の論文が引用された。この論文と関連論文を精査して、本研究課題に取り入れることも検討する。 また、研究計画として挙げた、小容量のメモリに対応した高性能な擬似乱数発生法の開発に着手する。年度内に必要となる探索プログラムの作成を開始する。
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