精度保証のある高精度数値計算のための並列処理による高速化
Project/Area Number |
22K11978
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60050:Software-related
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
川端 英之 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (00264937)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 並列処理 / データフロー処理 / マルチコアプロセッサ / 多倍長浮動小数点演算ライブラリ / 多倍長区間演算ライブラリ / 多倍長浮動小数点演算ライブラリMPFR / 多倍長区間演算ライブラリMPFI / 任意精度演算ライブラリIFN / 任意精度数値計算 / 計算精度保証 / 数値計算ライブラリ / 高速化 |
Outline of Research at the Start |
高精度数値計算のためのプログラミングでは,プログラムの実行に要する時間や所要記憶容量を抑えつつ,計算誤差の発生や伝播を回避する記述が求められる.本研究ではこのような難解になりがちなプログラミングをサポートするライブラリの実現を目指す.本研究では特に,区間演算に基づく精度保証計算ライブラリの特性に着目し,区間演算の展開による高並列データフローの抽出と中粒度並列処理による高速化など,ミドルウェアやオプティマイザ,ランタイム技術を総合して高速化可能性を追求する.本研究の成果は,高精度数値計算向けプログラミング言語開発などへの貢献となることも期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多倍長演算ライブラリや任意精度保証計算ライブラリを用いた高精度数値計算の高速化を目的としている.特に,高並列マルチコアプロセッサ環境を活かした並列処理による高速化の可能性を追求する. 本研究では特に,多倍長区間演算ライブラリMPFI等を用いて記述された数値計算プログラムに対して,データフロー処理による並列化を適用することによる高速化の可能性に着目している.データフロー処理での並列化は効率を上げにくく見かけほど容易でないことが知られているが,本研究では,多倍長演算という単位演算コストが比較的大きな計算のフローを対象とし,データフローグラフの局所的な構築・再利用によるコスト低減策を適用することにより,これを追求する.初年度からの取り組みを通して,単純なデータフローを持つ数列の計算を用いた予備実験により本アプローチの可能性は確認されている. 第2年目となる令和5年度には,本手法の特徴を活かし易いと考えられるアプリケーションを対象として,局所的データフロー生成箇所の決定とプログラム変換を自動化する手順を検討した.具体的には,行列計算に代表される,多重ループの内部で配列参照を多用する数値計算が対象である.多重ループにおける内側の(多重)ループを局所的データフロー処理により並列化するとともに,そこで用いられるデータフローグラフを外側ループの反復で再利用する.これらを実現するプログラム変換系の設計が本年度の主たる取り組みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で取り組む項目として予め挙げている項目,すなわち,(1)区間演算に対する並列処理の効果検証(要素演算,融合演算,投機処理),および(2)区間演算の展開による高並列データフローの抽出と中粒度並列処理による高速化の効果検証,に対し,実際に取り組めたのは(2)の一部に止まった.特に,自動変換系の設計と実装に過度に手間取り,具体的な性能評価等の効果検証を予定通りに実施できなかった.本年度に明確に予定していなかった項目として,数値計算ライブラリIFNに対するメモリ効率改善に関する研究との関わりで,有益な知見を得る等の進展はあった.しかしながら,総合的にみて,令和5年度の進捗は遅れているとの判定が妥当と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果や反省点を踏まえ,ゴールを見据えて研究を遂行する.特に,これまでに十分に行えていなかった,様々な行列計算に対する適用可能性調査と実測・評価に取り組み,本手法の有用性を示す定量的データを拡充する.本研究での評価実験に用いるデータフロー並列処理システムは,大幅な改変が必要であることが判明したが,プロトタイプとして妥当な評価に用いることができる機能を実現した上で,実用性の高さや適用範囲の拡大に向けて取り組む. これまでに十分手をつけることができなかった項目についても精力的に進める.区間演算を複数融合することの効果の検証や,区間演算を展開して一段階低い要素演算によるデータフロー並列処理の効率・適用可能性の評価について,具体的な成果を得ることを目指す.
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)