Project/Area Number |
22K12059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60100:Computational science-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
洗平 昌晃 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (20537427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 機械学習ポテンシャル / 自由エネルギー計算 / 協奏的現象 |
Outline of Research at the Start |
近年,データ科学の技術を利用して,計算物質科学の分野で用いられてきた高精度な第一原理電子状態計算の結果を再現するポテンシャル(機械学習ポテンシャル)の作成が盛んに試みられており,第一原理電子状態計算では太刀打ちできないサイズの系・現象への適用が期待されている.本研究課題では,機械学習ポテンシャルを用いた自由エネルギー計算手法を作成し,その可能性を探る.次世代の素子材料や電池などは,多数の原子・分子が織り成す複雑な協奏的現象がその特性を支配している.協奏的現象をエネルギー論の観点だけからでなく速度論の観点からも解析することのできる本計算手法は,次世代を牽引する産業技術開発に資するものである.
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Outline of Annual Research Achievements |
機械学習ポテンシャルによる協奏的現象の速度論解析に向けて、液体の水・リチウムイオン電池の正極材量であるLiNiO2をテスト系にPhysically Informed NNポテンシャル(PINNポテンシャル)の開発、ならびにその検証を進めた。高精度計算手法である密度汎関数法による分子動力学計算から得られたデータを学習データとしPINNポテンシャルを作成したところ、系のエネルギー、原子に働く力の両方とも従来の機械学習ポテンシャルの精度をはるかに凌駕する結果が得られた。開発しているPINNポテンシャルは従来のものとは異なり、原子間ポテンシャルをベースにしている。そのため、2原子間のポテンシャルエネルギー(結合)の振舞いを解析できることが大きな利点の1つである。作成したPINNポテンシャルの振舞いを確認したところ、原子間距離の広範囲にわたって物理的に非常に理にかなった振舞いをしていた。その一方、部分的に異なる振舞いが重なっている領域があった。これは関数形が決まっている従来の経験的原子間ポテンシャルでは表現できないものである。詳細な解析の結果、PINNポテンシャルのこの振る舞いがその精度を担保していることが判明した(論文執筆中)。また、作成したPINNポテンシャルで動作する分子動力学計算シミュレータを開発した。液体系での振舞いにはさらなる検証が必要であるが、固体系ではうまく動作することを確認できた。この結果は、PINNポテンシャルが原子変位の大きい協奏的現象への応用に対して適用可能性が高いことを示唆しており、自由エネルギーランドスケープの直接計算に向けて着実に前進しているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来、チタン酸バリウム中の酸素空孔拡散の自由エネルギーランドスケープを計算することになっていたが、PINNポテンシャルの開発に大きな進展があったためであり(論文執筆中)、機械学習ポテンシャルによる協奏的現象の速度論解析に向けて順調に進展していると考えている。ただし、最初の課題であった「チタン酸バリウム中の酸素空孔拡散」に対しては、すでにPINNポテンシャルを学習するためのデータは収集済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
PINNポテンシャルの開発はおおむね完了したと考えている。したがって、今後は研究計画調書にある協奏的現象の各対象に対して速度論解析を進めていく。そのためにPINNポテンシャルとマルチカノニカルモンテカルロシミュレーションコードの融合、ならびに動作検証が最初の課題となる。ただし、分子動力学シミュレーションを通して、開発したPINNポテンシャルが原子変位の大きい協奏的現象への応用に対して適用可能性が高いことを確認しているため、自由エネルギー計算にも適用可能であると考えられる。
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