Project/Area Number |
22K12060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60100:Computational science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬波 大土 京都大学, 工学研究科, 講師 (40431770)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | リチウムイオン電池 / 領域化学ポテンシャル / イオン伝導経路 / 局所化学ポテンシャル / イオン移動経路推定 / リチウムイオン伝導体 / イオンダイナミクス |
Outline of Research at the Start |
現在主流となっているイオン伝導経路の計算方法は非常に計算コストが高い。本研究では、局所的な化学ポテンシャルを用いることにより格段に低コストでイオン伝導経路を推定する手法の確立を目指す。電子の化学ポテンシャルは電子の増減に対するエネルギーの安定化の尺度であり、リチウムイオンのような系に電子を与える元素では、イオンの伝導の際に局所的な化学ポテンシャルが低い地点を通る経路が実際の伝導経路となっていると推測される。全固体リチウムイオン電池電解質を主対象として実証研究を行うが、一度推定手法が確立すれば他のイオンについても伝導経路を推定できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に次の2テーマの進展があった。(1)局所化学ポテンシャルの評価における新たな近似手法コード開発、(2)リチウムイオン移動経路推定のアルゴリズム実装。 (1)局所化学ポテンシャルの評価における新たな近似手法コード開発 先行研究ではエネルギー密度を電子密度で割るという線形近似により領域化学ポテンシャルを評価するコードが使用されてきた。しかし、局所化学ポテンシャルは電子密度の増加に対するエネルギー密度の変化という微分であり、線形近似は良い近似かどうかすらわかっていなかった。そこで、昨年度の研究では最低空軌道に対する軌道とエネルギー密度の比を用いて局所化学ポテンシャルを評価する新しい評価手法を開発した。そして、今年度はこの新しい近似手法を汎用量子状態計算コードOpenMXの計算結果を利用して計算できるようコード開発を行った。 (2)リチウムイオン移動経路推定のアルゴリズム実装 局所化学ポテンシャルによるイオン移動経路推定では、イオンが移動する際に局所化学ポテンシャルが低い領域を通るとする。しかし、遠くの化学ポテンシャルが低い点と近くの化学ポテンシャルが少し高いだけの点とどちらを優先すべきかを判定する必要がある。NEB法を参考にして昨年度に考案した経路推定アルゴリズムのコード実装を行った。具体的にアルミニウムナノワイヤモデル上の水素移動やLi3PO4内のリチウム移動について経路推定を行った。コードは正しく実装されたが、Li3PO4内の酸素付近での低い局所化学ポテンシャルの影響を回避するよう新たなコーディングが必要なことを明らかにし、その解決策の開発検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた通りの進度であったことから、「(2)おおむね順調に進展している」とした。多少は予想外に進展したものもあったが、試作段階の進展にとどまっており、まとまった成果として結実するのは来年度となる見込みでもあり、協力研究者である大学院生の体調の不調により予想よりも進まなかったものもあった。これらを総合して考えると「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、(1)局所化学ポテンシャルの評価における新たな近似手法コードを用いた物質吸着現象の研究、(2)リチウムイオン移動経路推定プログラムの発展とそれを用いた経路探索、の2テーマを進める。 (1)局所化学ポテンシャルの評価における新たな近似手法コードを用いた物質吸着現象の研究 先行研究では領域化学ポテンシャルを計算する際に、単にエネルギー密度を電子密度で割るという線形近似を使用していた。しかし、局所化学ポテンシャルは微分に相当する概念であり、その点での電子密度の増加に対するエネルギー密度の変化である。そのため線形近似は好ましくない。2023年度の研究で実際の電子が増減する軌道とその軌道内の電子密度変化によるエネルギー密度の変化から局所化学ポテンシャルを評価する手法を開発しOpenMXの計算結果を用いて計算できるようコード開発を行った。2024年度は、このプログラムを用いて、固体表面や分子表面での電子移動を伴う原子・分子の接触反応位置が局所化学ポテンシャルを用いて解析できることの実証研究を行う。 (2)リチウムイオン移動経路推定プログラムの発展とそれを用いた経路探索 局所化学ポテンシャルによるイオン移動経路推定では、イオンが移動する際に局所化学ポテンシャルが低い領域を通るとする。2023年度はこれを実際に計算するためのコード実装を行い、実際にはリチウム原子が近づかない酸素原子内の局所化学ポテンシャルが低いことが影響して推定経路が歪んでしまうこと判明した。そのため、原子核による斥力の導入等により、原子内にイオンが進入しないアルゴリズムへと発展させる必要があることがわかった。2024年度は、1)このアルゴリズム改良を行う、2)局所化学ポテンシャル評価における新たな近似をリチウムイオン経路探索にも使用する、3)発展させたプログラムによりイオン移動経路探索の実証研究を行う。
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