Overdamped Langevin方程式向けの時間積分並列化手法
Project/Area Number |
22K12063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60100:Computational science-related
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
藤井 昭宏 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (10383986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 武史 北海道大学, 情報基盤センター, 教授 (30324685)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 並列時間進 / 半陰解法 / 代数的多重格子法 / Parallel in Time / Overdamped Langevin方程式 |
Outline of Research at the Start |
時間積分の並列化手法では時間ステップ幅を大きく広げて遠い未来まで粗く計算する処理を反復的に適用し(粗格子補正)、全タイムステップの解を収束させる。本研究の対象とする、Overdamped Langevin方程式は陽解法で時間刻み幅を細かくとり膨大なタイムステップ数を進めることが多く、時間方向の並列化手法の適用が望まれている。近年の鷲尾らの研究で、陽解法の安定限界時間ステップの100倍程度の時間ステップ幅を小さなオーバーヘッドで計算できる半陰解法が提案されている。本研究ではこの半陰解法を粗格子補正に組み込み、 Overdamped Langevin 方程式の時間積分並列化手法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
質点とバネが直線上に接続された物体についてのOverdamped Langevan 方程式に従ったシミュレーションをベンチマーク問題として扱っている。このシミュレーションのTSC法の効率の良い適用方法を模索する研究と、シミュレーション一般に利用される代数的多重格子法の収束性の改善手法の研究を行なった。 TSC法はタイムステップ間の依存関係を一定タイムステップごとに切断し、時間進展を並列に進める手法である。一定タイムステップごとの並列時間進展と、それぞれのタイムステップのヤコビ行列を使った粗い解の補正を交互に収束するまで繰り返す。 今年度は、ヤコビ行列を通常利用されているまま適用するのではなく、Overdamped Langevan方程式に対する半陰解法で提案されているように、ヤコビ行列に負の固有値が発生しないように補正したものを用いて性能が改善するか実験的に検証を行った。その結果、補正を行う閾値の調整をすることで、改善幅は大きくないが、TSC法の収束性が改善することがわかった。補正効果がそれほど大きくならなかった理由は、ヤコビ行列を解く際の安定性を上げる効果が、ヤコビ行列の補正精度を下げる効果と相殺してしまったためと考えられる。これらの実験結果を整理し、国際会議HPCAsia2023にてポスター発表を行った。今後は、安定性が問題となりそうな時にのみ半陰解法の適用を考えたい。 また、線形解法の代数的多重格子法(SA-AMG)についても改善に取り組んだ。一般的には、問題行列のニアカーネルに対応する成分を設定することが多いが、本研究では緩和法の反復行列に注目して収束しにくい成分を最大固有値成分として抽出する手法を考案し評価した。その結果、従来手法と同等もしくはそれ以上の収束性を確認できた。今後は、この成分の計算コストを抑えながら収束性の改善を最大化する手法を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象とするシミュレーションに対してTSC法を適用した際の性能の見積もりを出すことができている。適切な収束条件の設定などを含め、まだ、考慮しないといけない重要なことはあるため、それらも含めて有効な分析、提案ができるように次年度以降進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、対応すべき課題としては、TSC法の収束条件の設定をどのように設定するかが挙げられる。本研究の対象としているランダムな力が発生するようなシミュレーションでは、対象物の物性が再現できていればシミュレーションとしては十分であるが、TSC法では時間ステップ幅が小さいシミュレーションと全く同じ結果が出るまで反復的に補正を繰り返すため、収束条件が厳しすぎる設定になっているケースが多い。この収束条件の適切な設定を考えるためにも、半陰解法で時間ステップ幅を広く取って安定に時間進展を行えるようになった場合と、時間ステップを小さく進めた場合とで、物性の再現がどのようにできているか、などについても研究を行う必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)