Project/Area Number |
22K12208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61050:Intelligent robotics-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山根 健 帝京大学, 理工学部, 講師 (30581235)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 屋外自律移動ロボット / 自己位置推定 / 軌道アトラクタ / 選択的不感化法 / 分散表現 / トポロジカルマップ / 選択的不感化 / ナビゲーション / ニューラルネット |
Outline of Research at the Start |
本研究の最終目標は小型移動ロボットの柔軟な自律走行を実現することである.特に,環境地図の一部が無い場合でも走行不能に陥らないナビゲーションの実現を目指す.従来方法は地理的整合性がある地図を必要とするため,地図構築コストが高いだけでなく,そもそも地図無し走行は困難であった.そこで本研究では,神経回路が作り出す力学系に軌道アトラクタとして経路を埋め込み,地図が無くても力学系の自律的なダイナミクスに基づいて自己位置推定を行う方法を提案し,本方法を利用したナビゲーションを検討する.本研究の成果として,一般ユーザが直感的に経路を設定できるなど移動ロボットの新しい設計アプローチへと展開できると期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,屋外自律移動ロボットの頑健で柔軟な自律走行を実現することを大きな目標とする.詳細な地図を用いずに,神経回路が作り出す力学系に軌道アトラクタという形で任意の走行経路を埋め込み,力学系のダイナミクスに基づいて自己位置推定を行う新しい方法を提案する.また,提案方法に基づいてロボットをナビゲーションするシステムの実現を目指している. 令和5年度では,軌道アトラクタを用いて自己位置を推定する具体的な方法についてさらに検討した.また,これまでの実験結果を詳しく分析し,提案方法の利点と課題について明らかにした.利点としては,学習回数・時間が少なく実時間で推定できること,神経回路が十分な記憶容量をもつならば走行範囲を拡大してもネットワークのサイズを大きくする必要はないこと,サイズを変える場合でも簡単に変更できること,軌道アトラクタへの引き込み現象を利用することで位置ずれなどに柔軟に対応できること,簡単な方法でループクロージングできることなどが挙げられる.今後の課題としては,定量的な性能評価の他に,情報のコード化や再訪点の自動検出などの検討,ナビゲーション方法の具体化などが挙げられる.これまでの研究成果を英語論文として投稿し,学術誌に掲載された. 提案方法に基づいてナビゲーションを行う方法を検討するとともに,新しくクローラ型のロボットを製作している.今まで使用していた独立二輪駆動方式の台車よりも,段差の乗り越えやスリップ時の安定性を高めてオドメトリの精度の向上を図る.現在,台車部分が完成しており,マニュアル走行中の環境情報を取得することができている.これに提案手法を実装する計画であり,検証実験の準備が整いつつある. 本研究の成果は,屋外自律移動ロボットの頑健な自己位置推定の実現に繋がるものであり,ナビゲーションでの利用に向けて大きな可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,令和4年度に引き続いて研究実施計画書に沿って行われた.まず,軌道アトラクタを用いた自己位置推定方法についてさらなる検討を行った.特に,LiDAR情報や制御信号(目標とする並進速度と回転速度の組み合わせ)を回路網の活動パターンとして分散表現するための情報のコード化方法について具体的に検討した.また,自律走行技術の検証実験を行うつくばチャレンジ2023に参加して,街中環境において実データを取得してオフラインの実験に用いるなど様々な環境における精度や頑健性などの性能を調べた.成果の一部を査読付きの英語論文として発表した. 次に,提案方法に基づいたナビゲーションシステムの構築に向けて,制御信号を生成する方法を具体的に検討した.層状ニューラルネットに選択的不感化法を適用した選択的不感化ニューラルネットを学習モデルとして用いて,オペレータによるマニュアル操作時のセンサ情報と制御信号を対応付けて学習する.その上で,学習済みモデルを用いてロボットを自律走行させて,現在地点から目標地点まで走行可能であることを確認した.例えば,ある特定の対象者(歩行者)を目標地点として,渡り廊下など整えられた環境における人追従を実現した. 自己位置推定および制御信号生成の神経回路を相互作用させて,1つのシステムとして統合する部分については,当初の計画よりも遅れている.現在は,独立して動作させてそれぞれの詳しい性能を検証している状況である.なお,処理のリアルタイム化については,実データを用いた場合でもそれぞれの神経回路はロボットの移動に合わせてリアルタイムに動作できることを確認した.連動して動かす部分については今後の課題である. 事前データ取得なし走行の実現やデモシステムの構築については検討を始めている.これらは,今後の課題として計画通り令和6年に取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に引き続き,自己位置推定,制御信号生成を行う方法を検討して,これらを実装する.また,これらを連動させることで,ロボットのナビゲーションを実現する方法について検討する.順調に進めば,事前データ取得なし走行の実現やデモシステムによる性能検証を行う. 自己位置推定については,これまでの研究により提案方法の特徴が明らかになってきたため,残された課題である未学習の経路が一部にある場合の推定性能についてさらに詳しく調べる.時間的な余裕があれば再訪点を自動検出して,対応する軌道アトラクタを既知の適切な状態に結びつける学習を行うことでループクロージングを実現する. 制御信号生成については,より複雑なタスクに対応できるように学習モデルを改良する.現在までにグローバルな位置情報がなくても,センサ情報だけに基づいてある程度自律移動できる.そこで,より複雑な条件下で移動可能か検証する.例えば,経路の分岐点や障害物など状況に応じて走行経路を切り替え可能であるか検証する. ナビゲーションについては,これら2つの回路を連動させることで実現する.選択的不感化法を用いて,一方の回路の状態を他方の状態に応じて修飾することで,それぞれの神経回路を独立に動かしつつも相互作用させる方法を採用する. 実データを取得する場所として,ある程度環境を整えられる学内環境とそうではない街中環境であるつくばチャレンジの環境を利用する.開発が順調に進めば,屋外環境において経路の一部が未知であるような場合を想定して,事前にデータを取得しない条件での走行にもチャレンジする.検証のための自律移動ロボットを製作して,デモ走行を行う.提案する自己位置推定方法は人の連想記憶メカニズムに近いものであり,人の認知機能と相性が良いと考えられる.本方法の性質を詳しく調べて,移動ロボットの使い勝手の良さに繋がるかについても調べる.
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