Project/Area Number |
22K12220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61060:Kansei informatics-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長 篤志 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (90294652)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 多義図形 / 知覚交代 / 確率共鳴現象 / 視覚情報処理 / 神経機序 |
Outline of Research at the Start |
ある写真を見たとき「これは赤くて丸くておいしそうなリンゴだ」と多くの人が同じように認識することもあれば,多義図形のように人によって異なる見え方(解釈)をすることもある.本研究では,次の二つを目的とする.1.多義的解釈をもつ刺激画像に対して,その画像自体は変化させなくても,いずれかの「見え」へ収束を促したり,逆に別の「見え」への強制的な認知の変化を促したりするための外部刺激(ノイズ)の生成・提示方法,2.多義的解釈をもたらす神経機序モデルの提案.脳における確率的神経機序は多義図形に限定される物ではないことが予想されるため,本研究の成果はヒトの認知機能一般へ拡張できる可能性を持っている.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,複数の解釈が存在する対象として多義図形に着目している.課題の目的は,図形の「見え」が複数存在するときに,提示図形は変化させなくても,いずれかの「見え」への収束を促したり,逆に別の「見え」への変化を促したりすることを可能とする外部刺激(ノイズ)に関する法則性を明らかにすることである.2022年度の研究における懸案事項の一つとして実験の困難さがあった.これは,多義図形の切り替わり頻度が低い場合,実験時間が長時間にわたるため,実験参加者への負荷を考えた場合,実験結果の精度を高めることができないということであった.2023年度は,対象とする多義図形としてアトニーブの三角形を用いることで,この困難さが緩和されるかどうかを確認する必要があった.まず,アトニーブの三角形は見えが3種類あるため,それらの見えに対応できる実験装置を開発した.次に,5名の実験参加者に協力してもらい,9分間における三角形の見えの切り替わり頻度を測定する実験を実施した.その結果,見えの切り替わり頻度は,ネッカーキューブを用いた場合と比較して大きくなった.さらに,ノイズの有無に対する見えの交代頻度への影響を明らかにするため,統計的検定をおこなった結果,切り替わり頻度の平均値はすべての参加者においてノイズの効果が有意に認められた.本研究では適切なノイズ刺激を多義図形に付加することによって,知覚交代が促される確率共鳴的な振る舞いをすることがわかった.一方で,見えの切り替わり頻度には個人差が大きく,参加者によってはアトニーブの三角形を用いたとしても,9分間の測定では頻度分布の精度が十分ではないこともわかった.これにより,モデル化のために必要な計測時間の目安に関する知見を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,ネッカーキューブの見えの交代現象を確率共鳴現象の一つとしてあらわすモデル化を実現することを予定していた.しかしながら,実験結果として得られる見えの切り替わり頻度分布の精度が十分でないことが判明した.そこで,実験精度を向上させることを目的として,異なる多義図形であるアトニーブの三角形を対象に実験を実施した.刺激とする多義図形を変更したことによって,実験装置の再構築が必要となり,2023年度の目標としていたモデル化ができるようなデータの蓄積ができなかった.ネッカーキューブだけでなく,アトニーブの三角形の見えにおいても外部刺激が確率共鳴現象としての効果がある可能性が高いことがわかった事は成果であった.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は2023年度で構築した装置をさらに改良し,実験参加者への負担を最小限にしつつ,十分な実験時間を確保してデータを収集できるようにする.現象の個人差が大きいことによるデータ収集の困難さも判明したことから,実験参加者人数を増やすことによる精度の向上は目指さず,比較的実験負荷の小さい実験参加者に絞り込んで実験を実施することにする.そして,実験対象者の疲労度を測定しつつ,データを蓄積する.これにより,外部刺激による見えの切り替わりをコントロールする理論を構築することを目指す.
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