Project/Area Number |
22K12382
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63020:Radiation influence-related
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
宇谷 公一 金沢医科大学, 医学部, 助教 (60583143)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 雅也 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50334678)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | DNA修復 / 脱ユビキチン化 / DNA損傷修復 / 相同組換え修復 / 核小体局在シグナル |
Outline of Research at the Start |
我々の予備的実験から脱ユビキチン化酵素の一つであるUSP10(Ubiquitin Specific Protease 10)はDNA二重鎖切断修復(Double Strand Break:DSB)に重要な役割を持つことが示唆された。本研究ではDSB修復過程でUSP10により脱ユビキチン化されるタンパク質を同定し、USP10が支配するDNA修復機構を分子レベルで解き明かすことで、USP10をターゲットとしたがん治療の可能性について探索する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
我々は脱ユビキチン化酵素の一つであるUbiquitin Specific Peptidase 10 (USP10) がDNA二重鎖切断(Double Strand Break: DSB)修復、特に相同組換え (Homologous Recombination: HR) 修復に必須の分子であることを見出した。このようなDNA修復の欠陥はがん化、悪性化に寄与することが知られている。そこで、本研究ではDSB修復過程でUSP10により脱ユビキチン化されるタンパク質を同定し、USP10が制御するDNA修復機構を分子レベルで解き明かすことで、USP10を ターゲットとしたがん治療の可能性について探索する。 我々のこれまでの研究から、DNA-PKとPP6の発現抑制、または阻害によりUSP10-KO細胞で見られるHR修復の異常が回復することが明らかになった。初年度には、USP10の核小体移行シグナルがHR修復に必要であることを明らかにした。またその際に、SLX4の関与を報告したが、本年度、質量分析法によって別のタンパク質であることが明らかになったため、ここで訂正する。本年度は、AirID法によって確認されたUSP10相互作用タンパク質であるSAPS1、SAPS2について、CRISPR-cas9を用いたノックアウト細胞を用いて、HR修復経路への影響を試験した。その結果、PP6と相互作用するこれら二つのタンパク質は、USP10制御下でPP6の機能を調整し、HR修復を適切に進める役割を持つことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PP6活性制御に関与するSAPS1、SAPS2についてもAirID-USP10との相互作用が確認された。そこでこれら2つのタンパク質をノックアウトし、DNA修復能およびSCEs頻度を試験した。その結果、SAPS1-KO細胞ではUSP10-KO細胞とよく似た修復能異常を示し、SAPS2-KO細胞ではUSP10-KO細胞の修復能異常を打ち消した。しかし、SAPS1-KO細胞ではSCEs頻度の低下は認められなかった。この矛盾について検討するため、染色体架橋剤Mitomycin C(MMC)を用いたFA(Fanconi Anemia)型染色体異常の頻度を観察した。その結果、USP10-KO細胞ではMMC処理で有意にFA型染色体異常の頻度が増加していること、SAPS1-KO細胞ではSCEs頻度は低下しないにも関わらずFA型染色体異常は同程度観察された。これらの観察から、SAPS1-KO細胞で見られたSCEs様構造の増加は、HR修復に伴う相同染色体への被ダメージssDNAの侵入は起きるが、その後の修復に失敗した結果と推測された。さらに、SAPS1/SAPS2 double-KO細胞では SAPS2-KO細胞と同じ修復パターンを示した。以上のことから、USP10はSAPS2/PP6/DNA-PK活性化経路に必要であること、一方で、SAPS1はSCEs形成に関与するが、USP10/SAPS2制御下に置かれていることが示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請書の計画概要に従い、以下の項目について研究を継続する。 ①DSB修復過程特異的にUSP10と会合するタンパク質の探索・同定: 前年度までに、HR頻度に重要な役割を担うUSP10の核小体移行シグナルとそこへ結合するタンパク質を見出した。本年度はLC/MSを用いてUSP10と結合しDNA損傷時に特異的なタンパク質を網羅的に探索する。 ②USP10のDSB修復に必須な部位の同定による探索: 前年度までに、核小体移行シグナルが重要であることを見出した。またSAPS1、SAPS2結合部位について探索したが、脱ユビキチン化活性を持つC末端側にあることが示唆され、これ以上の絞り込みは難しいと判断した。 ③USP10活性変異体を用いた探索: これまでにSAPS1、SAPS2、PP6などの鍵となるタンパク質のユビキチン化を解析した。しかし内在性のタンパク質発現レベルではUSP10の有無によるユビキチン化状態の変化を見出せなかった。そのため、USP10、His-Ub、そしてSAPS1/SAPS2/PP6、の3種発現ベクターの導入による一過性過剰発現で検出すると、どれもUSP10-KO細胞でユビキチン化が亢進していることが観察された。そこでこれら3種のタンパク質のユビキチン化について申請書に記載した実験を試みたい。すなわち、AirID-C424A-USP10を発現させ、標的タンパク質のビオチン化に加えユビキチン化を促進させる。アビジンビーズのプルダウン後、ビーズ上でトリプシン処理を行い、ユビキチン化リジン残基に残るジグリシンレムナント (K-ε-GG)を抗K-ε-GG 抗体で濃縮、DIAプロテオーム解析によりK-ε-GGペプチドの相対比較定量を行いユビキチン化基質と修飾部位を特定する。
|