細胞の慢性的ストレス応答を指標とした低線量率放射線生物影響の精密定量解析
Project/Area Number |
22K12383
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63020:Radiation influence-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森島 信裕 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 客員研究員 (40182232)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 低線量率放射線 / 細胞ストレス / DNA傷害 / 活性酸素種 / プロテインアレイ / メタ解析 / 低線量率放射線被ばく / 生物影響 / 細胞ストレス応答 / タンパク質アレイ法 |
Outline of Research at the Start |
放射線生物影響は主に細胞のDNA傷害による癌化リスクを指標として評価される。しかし、低線量率放射線によるDNA傷害は微小で従来の手法での評価は困難である。また、低線量率放射線の長期被ばくは、DNA傷害に限らず活性酸素種生成による細胞傷害を引き起こす可能性がある。本研究では低線量率放射線で長期被ばくさせたヒト培養細胞を材料とし、申請者らが開発した蛋白質アレイ・精密定量法を用いて各種のストレス応答に関わる蛋白質群の定量解析を行う。それにより、被ばくによって誘導されたストレス応答の種類と程度、経過を明らかにし、さらに、ストレス応答の持続が細胞の生理的機能や生存に与える影響について検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
放射線生物影響は主に細胞のDNA傷害による癌化リスクを指標として評価される。しかし、低線量率放射線によるDNA傷害は微小で従来の手法での評価は困難である。また、低線量率放射線の長期被ばくは、DNA傷害に限らず活性酸素種の生成による細胞傷害を引き起こす可能性がある。そこで申請者は細胞が種々の細胞傷害に対して持っているストレス応答系に着目し、応答の定量化によって低線量率放射線の生物影響を評価することを考えた。本研究では低線量率放射線で長期被ばくさせたヒト培養細胞を材料とし、申請者らが開発したプロテインアレイ・精密定量法を用いて各種のストレス応答に関わる蛋白質群の定量解析を行う。これにより、被ばくによって誘導されたストレス応答の種類や程度を推定し、さらに、ストレス応答の持続が細胞の正常な生理的機能や生存に与える影響について検討を行なっている。本年度は比較的低い線量率(中線量率に区分される線量率の下限に近い)の放射線をヒト由来正常培養細胞に比較的長時間(50時間)照射する実験を複数回行って得られた細胞抽出液を材料として、DNA傷害や活性酸素種の処理に関わるタンパク質の定量を行なった。アレイ法を利用することで多数試料の一括解析、同一試料に対する繰り返し測定が容易になり、複数回の照射実験それぞれで得られるデータをまとめてメタ解析を施し、タンパク質ごとに一つの統合値を計算した。その結果、被ばく細胞中で活性酸素種やDNA傷害が生じていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中線量率下限近くの線量率を持つ放射線による被ばくに関して、今回プロテインアレイ法を用いた新規の解析手法によって得られた結果は、既に確立されている手法を用いて推定されていた結果と矛盾しないことが明らかとなった。これはプロテインアレイ法を用いた解析手法が弱い放射線の影響を調べる手法として有効であることを示しており、今後この手法を他の照射実験条件に対して適用できることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は被ばく細胞中で検出されるタンパク質の変動をもとにして細胞のダメージを反映する定量的指標を作ること、被ばくの影響を危険性、安全性と関連づけて解析する道を開くことを目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)