Project/Area Number |
22K12391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63030:Chemical substance influence on environment-related
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
立花 研 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 准教授 (10400540)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ナノ粒子 / エクソソーム / マイクロRNA / 神経幹細胞 / 慢性炎症 / 胎児期曝露 / トキシコロジー |
Outline of Research at the Start |
ナノ粒子は産業の発展に寄与する一方、様々な健康影響の原因となる。これまでに、胎児期のナノ粒子曝露が成長後の脳機能障害を引き起こすことが示されている。ナノ粒子の健康影響には慢性炎症が関わると考えられるが、慢性炎症と健康影響をつなぐメカニズムは解明されていない。細胞内のマイクロRNAはエクソソームに内包されて放出され、細胞間の情報伝達を担うが、慢性炎症によるその制御異常が種々の疾病の原因となる。本研究では、ナノ粒子曝露により貪食細胞由来エクソソームに生じるマイクロRNA発現変動を明らかとする。また、その変動マイクロRNAが神経幹細胞に引き起こす増殖・分化・機能の異常と脳機能障害との関連を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ナノ粒子は様々な用途に用いられ産業の発展に寄与しているが、その一方で様々な健康影響の原因となる。我々はこれまでに、胎児期のナノ粒子曝露が成長後の脳機能障害を引き起こすことを示してきた。ナノ粒子曝露による生体影響には、ナノ粒子が貪食細胞に取り込まれることで生じる慢性炎症が関わると考えられている。しかし、ナノ粒子による慢性炎症と生体の機能障害をつなぐ分子メカニズムは解明されていない。ナノ粒子胎仔期曝露による脳機能障害の発生メカニズムの解明には、貪食細胞と神経幹細胞との相互作用の検討が重要である。 マイクロRNAは正常な発生・発達に必須の分子であり、エクソソームに内包されて細胞外に放出され、周囲の細胞の機能を調節する。ナノ粒子曝露による慢性炎症がマイクロRNAおよびエクソソームの制御異常を引き起こすと考えられる。本研究では、ナノ粒子曝露によって生じる貪食細胞由来エクソソーム内のマイクロRNA発現変動およびこの変動マイクロRNAが神経幹細胞の分化・増殖、機能獲得に及ぼす影響を調べ、ナノ粒子胎仔期曝露による脳機能障害の発生メカニズム解明を目指す。 2022年度は、ナノ粒子曝露によって生じる貪食細胞由来エクソソーム内のマイクロRNA発現変動の解明を目指して解析を行った。マウス由来ミクログリア様細胞株(MG5)に対してシリカナノ粒子を曝露し、細胞毒性の生じない曝露濃度を決定した。この曝露濃度を用いてMG5細胞を処理し、培養上清からのエクソソームの回収を試みた。MG5細胞は、培養にアストロサイト様細胞株(A1細胞)を培養した後に得られるconditioned mediumを必要としているため、培養上清にA1細胞に由来するエクソソームが混入する恐れが考えられた。このため、conditioned mediumからA1細胞由来エクソソームを除去する必要があり、現在、その手法の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、ナノ粒子曝露によって生じる貪食細胞由来エクソソーム内のマイクロRNA発現変動を解析し、この変動マイクロRNAが神経幹細胞の分化能・増殖能および神経系細胞への分化過程における機能獲得に及ぼす影響の解析を主な研究内容としている。2022年度は、ナノ粒子の毒性解析において標準的な粒子として用いられる粒子の一つであるシリカナノ粒子を用いて検討を行った。本研究でナノ粒子を貪食する細胞として着目しているミクログリア様細胞株は市販されているものが少なく、現在使用しているMG5細胞はその一つである。この細胞はアストロサイト様細胞株(A1細胞)を培養した後の培地(conditioned medium)を用いて培養する必要がある細胞株である。したがって、MG5細胞にナノ粒子を曝露した後に得られる培養上清にはMG5由来のエクソソームに加え、A1細胞由来のエクソソームが混入していると考えられる。このため、A1細胞由来のエクソソームを除く必要があり、その検討に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に引き続き、ナノ粒子を貪食したミクログリア様細胞株(MG5細胞)から放出されるエクソソームについて、その中に内包されるマイクロRNAの解析を進める。A1細胞由来のエクソソームの混入を防ぐため、超遠心を用いてconditioned medium中のA1細胞由来エクソソームの除去を検討する。この際、エクソソームの除去が可能であった場合でも、その影響でMG5細胞の増殖阻害などが生じる可能性が否定できない。その場合は、市販で入手可能な別のミクログリア様細胞株を使用した実験系への変更を検討する。ナノ粒子曝露後のミクログリア様細胞株の培養上清およびエクソソームが得られ次第、その中に内包されるマイクロRNAの発現変動を網羅的に解析する。さらに、そのマイクロRNAの標的分子の推定を行うとともに、ミクログリア様細胞由来エクソソームを神経幹細胞に処理し、増殖能・分化能をはじめ、どのような機能的変化を及ぼすか細胞レベルでの検討を進める。
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