核内受容体リガンド結合ポケットの内部から不活性化する新奇な新世代ビスフェノール
Project/Area Number |
22K12395
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63030:Chemical substance influence on environment-related
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
劉 暁輝 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (60596849)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | ビスフェノール / エストロゲン受容体 / 転写活性化 / アゴニスト / アンタゴニスト / 新世代ビスフェノール |
Outline of Research at the Start |
ビスフェノールA(BPA)の「低用量効果」が懸念されるなか、その代替えとして「新世代ビスフェノール」も内分泌撹乱作用が強く懸念され、詳しい分析が求められている。我々は、BPAF、BPCなどの新世代ビスフェノールがエストロゲン受容体ERα、ERβに強く結合し、BPAよりも高リスクの内分泌撹乱作用を示す可能性を報告した。さらに、これらビスフェノールが示すロンドン分散力に起因して、『ERαではアゴニスト、ERβではアンタゴニスト』と、大きく異なって働くことを世界で初めて明らかにした。本研究では、こうした新世代ビスフェノールがどのようにしてER受容体を介した複雑なシグナル毒性を示すのか? を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ビスフェノールA(BPA)の代替物であるBPAF、BPC などの新世代ビスフェノールがエストロゲン受容体 ERに強く結合し、ERαではアゴニストとして、ERβではアンタゴニストとして異なって働く。本研究では、こうしたビスフェノールがER受容体を介した複雑なシグナル毒性をどのよう示すかを解明することが目的とした。 我々はこれまでの研究では、ER受容体のリガンド結合ポケットを構成する異なるアミノ酸残基について調べ、ERβをERαのものに置換し、新世代ビスフェノールによる転写活性を約50%まで回復させたことを判明した。したがって、新世代ビスフェノールの ERβでの特異な活性は、「ERβのビスフェノール結合サイトにおいて、ERαとは異なる構造がある」と結論付けられた。 3年計画の初年度である本年度は、まず、さらにERαと ERβの構造を網羅的に比較して、ERβ-アンタゴニストをアゴニストに機能転換する構造要因を究明することに取り組んだ。様々なERβをERαのものに置換した変異受容体のアッセイより、ERβの転写活性を100%に回復させる構造要因を判明した。以上の結果より、(1) ER受容体のヘリックス11(H11)とH12 間の静電結合によるH12のアゴニストコンフォメーションの安定化の効果、 (2) N端に存在するActivation Function 1 (AF1) とC端のリガンド結合ドメイン(LBD)の間の相互作用・結合が、アゴニストリガンドのERβへの結合に決定的に重要である。一方、LBDに結合するN端ドメイン(NTD)の部分構造の同定を行った。令和4年度では、ERαについて実施し、NTDの2カ所にAF1構造が存在することが初めて明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画通りにほぼ順調に進展している。 2015年に発表されたクライオ電子顕微鏡法を用いたERα/DNA 結合構造では、NTDとLBDが隣接して相互作用・結合していることが明らかになり、ERβついても同様の構造が推定された。先述のように、ER受容体のリガンド結合ポケット以外の異なるアミノ酸残基・構造について、ERβをERαのものに置換し、100%の転写活性を回復させる構造要因を明らかにすることができた。これにより、本研究の第一の重要な目的達成に向けて、大きく前進することができた。また、ERαにおいて転写活性化の重要な構造要因であるAF1がN端ドメインに2ヵ所存在することが見出された。 以上のように、本研究は全体的におおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度の研究を引き続き推進し、まず、ERβの機能転換する構造要因が機能発現に果たしている役割について、X線結晶構造を用いてドッキングモデリング計算による検証を行う。一方、ERβにおいても、ERαと同様にAF1の同定を行い、AF1がmRNA転写活性化における役割を解明すると共に、ビスフェノールによるER受容体を介したこれまでにないシグナル毒性・内分泌撹乱作用の分子機構を解明する。このようにして、今後の研究を鋭意に推進していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)