Project/Area Number |
22K12401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63040:Environmental impact assessment-related
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Research Institution | Marine Ecology Research Institute (2023) The University of Tokyo (2022) |
Principal Investigator |
杉原 奈央子 公益財団法人海洋生物環境研究所, 海生研中央研究所, 研究員 (00896243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅沼 尚 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (90852525)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 気候変化 / 二枚貝 / リン / スクレロクロノロジー / 物質循環 / 遡及的環境モニタリング / 沿岸域 |
Outline of Research at the Start |
沿岸域における栄養塩類の動態を把握することは生態系保全や漁業資源保護の観点から喫緊の課題である.しかし,栄養塩類の観測は試料の採取から分析工程まで多大な労力と時間を要するため,観測頻度や範囲が制限されるという課題がある.環境モニタリングの時空間解像度を向上させるために,生物硬組織を利用した遡及的環境モニタリング法を提案する.本研究では特にこれまで未解明だった環境中のリンと貝殻中のリン濃度の関係に注目し,二枚貝殻中のリン濃度の変遷から環境中のリン濃度の変遷を復元する手法を確立し,沿岸域の栄養塩動態や物質循環の解明を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では環境変化によって沿岸域の栄養塩動態がどのような影響を受けるのかを明らかにするため、長期かつ広域のデータを入手するため、二枚貝貝殻中のリン濃度の変動に与える環境要因について解明することを目指している.これまで環境中のリン濃度と硬組織中のリン濃度についてはサンゴで調べられてきたが、気候変動の影響を強く受ける温帯域で有用と考えられる二枚貝を材料とした.今年度は申請者の異動があり、大規模な飼育実験や野外調査ができなかった.このため文献調査や過去に採取済みの試料の整理や、環境データのコンパイル.異動先で実施されてきた二枚貝飼育実験のデータ解析などを行なった.また異動先での栄養塩分析設備や飼育実験設備の検討を行なった. 採取済み試料については、貧酸素と貝殻中の微量元素について、生息場所の酸化還元状態の変化によって貝殻中の元素濃度も変化することが明らかとなっており、酸化還元指標となる元素と貝殻中のリン濃度の対応についても調べている.二枚貝の飼育では貝殻を成長させることが通常の飼育方法では困難であったが、異動先の設備では餌を工夫することで貝殻が十分に育つまで飼育できることが明らかとなった.次年度以降、これらの設備を利用して飼育実験を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はまとまった時間が必要な調査や飼育実験を実施することはできなかったが、これまで申請者の所属先の設備ではできなかった二枚貝の飼育についての知見を得ることができ、所属先での分析設備セットアップのメドも立ったことから次年度以降に計画通りに野外調査や飼育実験を遂行できる見込みである.また旧所属先での引き続き装置利用について共同研究を進める予定であることから、所属変更によって研究の幅を広げることができた.今後はこれらの設備を活用して研究を進める.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は飼育実験と野外調査を進めつつ貝殻の分析についてのメソッドを検討する予定である.飼育実験では栄養塩濃度や酸化還元状態を変化させた環境で二枚貝を飼育し、おおむね5mm程度の殻成長が見込めるまで飼育する(LA-ICP-MSでの分析には100μm×数スポットが必要なため)野外調査で採取した栄養塩分析については現在の所属先でTP分析が実施できる見込みである.他の存在形態については必要に応じて外注分析を利用する.またこれまでの研究成果を活用して、栄養塩動態に影響を与えると考えられる他のパラメータ(酸化還元状態、水温、塩分)の指標となるような微量元素、安定同位体比分析も進める.特に酸素安定同位体比は水温.塩分の変動指標となることから、成長速度も明らかにできる.微細成長線解析と合わせることで、栄養塩動態と成長速度についても明らかにする予定である.最後に貝殻のリン濃度分析についてはLA-ICP-MS分析のバックグラウンドを低下させるためにコリジョンや前処理装置の利用を検討する.
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