Project/Area Number |
22K12403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63040:Environmental impact assessment-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梅原 亮 広島大学, 環境安全センター, 助教 (40825791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶋 渉 広島大学, 環境安全センター, 教授 (20243602)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 稚魚 / DNAメタバーコーディング / 瀬戸内海 / 食性 |
Outline of Research at the Start |
瀬戸内海をはじめとする日本の多くの沿岸域では魚類漁獲量の減少が著しい。漁業資源回復のためには沿岸生態系における植物プランクトン等の一次生産者から魚類までの各栄養段階におけるエネルギーフローの把握が必須であるが、三次生産者である生活史初期段階の稚魚の食性については未解明な部分が多い。そこで本研究では、胃内で体の破壊や消化が進んでも種特定が可能なDNAメタバーコーディング技術に新たに内部標準補正を行うことで定量性を持たせ、稚魚の同定も含めて分類学的専門知識なしで食性解析を行う技術を開発し、稚魚期の食性を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、胃内で体の破壊や消化が進んでも種特定可能なDNAメタバーコーディング技術を用いて、仔稚魚の餌資源の網羅的な種同定と定量性における従来法における課題を解決することを目的とした。昨年度までに、メバル類稚魚においては3つの遺伝子領域の併用で十分な食性解析が可能であることがわかり、COI/Leray領域を対象として設計したメバルのブロッキングプライマー(BP)を使用することで稚魚由来DNAのPCR増幅を抑え、魚体全体を分析に供しても食性分析が可能であることが分かった。 本年度は、魚体全体分析のための抽出液量等のスケールアップを行い、約500 mgの身肉重量のサンプルまでDNA回収量を増やすことができた。本研究では、仔魚よりも身肉量が多くハードルの高い稚魚を対象に魚体丸ごと分析する手法の確立を目指している。また、別種であるマコガレイ稚魚を用いて同様の実験(Leray領域)を行い、マコガレイのBPを使用することでメバル同様に魚体全体を分析に供しても十分に餌生物由来のDNAを検出可能であることが分かり、解剖不要な分析方法を確立することができた。また、異なる遺伝子領域のCOI/Zplank領域を用いた分析を行なった結果、Leray領域同様にBPで稚魚由来DNAの増幅を抑えられる傾向があり、餌資源評価における種検出の網羅性向上が期待できる。メバル胃内容物における餌資源の定量評価については、アルテミア卵を内部標準として使用し、DNAメタバーコーディングにより得られたリード数を補正した。メバルの胃内容物から多く検出されるParacalanus parvus 等のカイアシ類数種について、補正DNA量と実測バイオマスの検量線を作成し、開発した内部標準法による手法で動物プランクトン混合サンプルを分析した結果、各動物プランクトン種のバイオマスを定量的に推定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、開発したブロッキングプライマーを使用し様々なプライマーを用いた餌生物の検出を試みること、および内部標準法を用いた稚魚胃内容物に含まれる餌生物のバイオマス推定が目的であった。メバル以外の魚種(マコガレイ)においてもDNA分析により稚魚胃内容物の餌資源解析が可能であったため汎用性のある手法であることがわかり、また異なる遺伝子領域においてもブロッキングプライマーを用いて稚魚由来DNAのPCR増幅を抑えることができた。餌資源の定量化については、既存のDNAメタバーコーディング手法に内部標準法を取り入れることでバイオマス推定が可能となったため、予定していた目標は達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
定量化法については2年目までで手法が確立できたため、最終年度はさらに異なるプライマーを用いた稚魚胃内容物の餌生物種の検出網羅性の向上、および魚種や海域間の違いによる餌資源の違いについても評価を進める。また、DNA分析における消化酵素等の影響についても引き続き検討を進め、稚魚の魚体丸ごとを用いた餌資源解析および胃内容物のバイオマス定量の同時評価を最終目標とする。
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