発達早期のストレスホルモン曝露が精子エピゲノムにおよぼす影響の評価
Project/Area Number |
22K12417
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64010:Environmental load and risk assessment-related
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
高野 海哉 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (70620475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正裕 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (00232471)
松野 義晴 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (00376378)
吉岡 広陽 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (50523411)
宮宗 秀伸 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (80422252)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | Early Life Stress / コルチゾール / セルトリ細胞 / 精子 / エピジェネティック制御 / 精巣 / エピジェネティクス |
Outline of Research at the Start |
これまで、発達早期にストレスを受けた児マウスの精巣でセルトリ細胞や精子の数が減少し、一定割合で乏精子症の症状が生じることを明らかにした。 発達早期のストレスでコルチゾールの過剰分泌が報告されており、本研究では発達早期のコルチゾール投与が精子形成のエピジェネティクス制御に引き起こす影響を評価し、発達早期のストレスが精子数減少を生じる機序、精子の質におよぼす影響、精子の量と質の低下を生じる精巣内特異的部位を検討する。 日本など先進諸国で精子数減少が進行しており、本研究の発達早期のストレスが精子形成に及ぼす影響の評価で、エピジェネティクス創薬や精巣内精子採取術など不妊症治療のための新しい知見を提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、Early Life Stress(発達早期に児に生じるストレス:ELS)を受けた児マウスでは、セルトリ細胞や精子の数が減少し、一定割合で乏精子症の症状が生じることを見出した。ELSは発達早期にコルチゾールの過剰分泌を促すことで健康被害を引き起こす。本研究課題は発達早期のコルチゾール投与が精子形成に引き起こす影響をエピジェネティクス制御の観点から評価し、ELSが精子数減少を生じる機序、精子の質におよぼす影響、精子の量と質の低下を生じる精巣内特異的部位を明らかにする。 2022年度は発達早期のコルチゾール投与が雄性生殖器系におよぼす影響の詳細評価を行った。ICRマウスに対して生後1日目から10日目の間、1日あたり0.36 mg、3.6 mg、36 mg/kg body weightでコルチコステロンを皮下注射によって投与した。本モデルマウスについてはこれまでに、生後10日目における血中コルチコステロン濃度の上昇、セルトリ細胞増殖停止マーカーであるp27陽性セルトリ細胞数の増加、セルトリ細胞数の減少が引き起こされることが明らかとなっていた。2022年度はさらに本モデルマウスについて、精巣内精細管の収縮を含む精巣組織の形態変化や、血中テストステロンおよび甲状腺ホルモン濃度の上昇が生じることが明らかになった。コルチコステロン、テストステロン、および甲状腺ホルモンレベルの変動はDNAメチル化の変動に関連することが明らかとなっており、これらの知見は次年度以降の本研究における解析の一助となることが期待される。同時に2022年度は、本モデルマウスについて使用するエピジェネティックマーカーの候補選定を行った。予備検討として精子形成過程に障害が生じている精細管で評価した場合、セルトリ細胞におけるヒストンH4のアセチル化レベルが亢進する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度はコルチコステロン投与モデルマウスについて雄性生殖器系における影響をさらに詳細に評価した。特に、メチル化レベルの変動に影響をおよぼす可能性のあるテストステロンおよび甲状腺ホルモンの血中レベルの上昇を同定した。各ホルモンの血中濃度は、コルチコステロンは投与量依存的に、テストステロンは36 mg/kg body weightの投与量で、甲状腺ホルモンは0.36 mg /kg body weightの投与量で、それぞれ有意な上昇が認められた。これらは本モデルマウスにおけるエピジェネティック制御機構への影響を内分泌の側面から明らかにするための手掛かりとなることが期待される。これらの解析結果はこれまでに得られていた結果と合わせて学術論文に投稿し、掲載された。本年度はさらにエピジェネティックマーカーとしてセルトリ細胞におけるヒストンH4のアセチル化レベルに着目したが、より詳細な評価のためK5、K8、K12、およびK16におけるヒストンH4アセチル化についても、マーカーとしての有効性の是非について現在評価中である。これらの成果から、2022年度の進捗は概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の成果を発展させ、本モデルマウスのセルトリ細胞におけるエピジェネティックマーカーについて発現レベルの評価を行う。並行して、精巣からセルトリ細胞の単離法について検討する。精製度が十分であると判断された段階で、モデルマウスにおいてクロマチン免疫沈降シーケンシングを行い、エピジェネティクス制御の観点からコルチコステロン投与の影響について評価解析を試みる。造精細胞については、まず最終産物である精子におけるエピジェネティック制御異常の有無の同定を優先することとし、その結果を見て未分化段階の精子形成細胞についての評価を検討するものとする。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)