衛星画像と環境DNAによる尖閣諸島魚釣島の野生化ヤギの影響の評価の試み
Project/Area Number |
22K12459
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
横畑 泰志 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (60222387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 正美 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (00347767)
吉村 暢彦 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (90973602)
佐藤 行人 琉球大学, 医学部, 准教授 (20566418)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | リモートセンシング / 人工衛星画像 / 野生化ヤギ / 絶滅危惧種 / 固有種 / 正規化植生指標 / 環境DNA / ISOデータ法 / ホットスポット / 小規模島嶼 / 外来生物 |
Outline of Research at the Start |
尖閣諸島の魚釣島では1970年代に持ち込まれたヤギが爆発的に増加し、植生が著しく衰退して、現状を放置すれば数多くの固有種が絶滅を免れない。政治的な理由から上陸調査ができない現状を踏まえ、衛星画像などのリモートセンシングにより植生の現状を把握するとともに、環境DNAの技術を用いて島の固有生物の確認や生態系の現状把握を行うための技術を検討し、可能であれば島の小河川の河口からの採水と分析を行う。これらの研究を通じて島の現状を明らかにし、野生化ヤギ対策の緊急性を社会に訴える。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は8月28-29日に酪農学園大学(北海道江別市)において共同研究者の一人、吉村暢彦講師や研究協力者らと研究打ち合わせを行った上、9月8日に日本哺乳類学会2023年度大会(琉球大学)において口頭発表を行った(横畑泰志、吉村暢彦、星野仏方、フルカワ・フラビオ、金子正美「正規化植生指標(NDVI)を用いた尖閣諸島魚釣島の野生化ヤギの植生に及ぼす影響評価の試み」。国際情勢に改善の兆しが見られず、魚釣島への接近が難しい状況の中で、環境DNAによる陸生の固有種などの生息状況の把握の手法を検討するため、野生化ヤギのみられる環境条件の類似した島嶼での調査を発案し、それに適した島嶼の選択を、衛星画像の分析などから進めている。この点について、2024年3月18日に共同研究者の一人佐藤行人准教授(琉球大学)や研究協力者らとオンライン会議を行った。また、レーザー測量技術を応用したライダー衛星により、魚釣島北斜面の森林の樹冠部を透視して林床部の植生に関する情報を得られる可能性が見えてきたので、その手法の検討にも着手している。研究代表者への取材に基づいて、新聞報道1件(2023年7月23日付読売新聞)があり、魚釣島における近年の急速な裸地の増加が強調された。これらの他に、関連する事柄として(公財)国際問題研究所の依頼により、尖閣諸島の自然についての学習を目的としたVRコンテンツ(センカクモグラ、ヤギ、セスジネズミの哺乳類3種)の監修を行った。また、魚釣島の野生化ヤギ問題に関連する書籍(図鑑、事典など)の執筆ならびに監修を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リモートセンシングによる島の植生など自然環境の現状把握に関しては、これまで主に用いてきたISOデータ法に加えて、衛星画像の撮影条件などの影響を受けにくい植生指数(NDVI)を用いた植生の現状の推定手法が共同研究者から提案されているが、野生化ヤギの影響による裸地とそれ以外の裸地との区別ができないという欠点もあり、これまでの分析との比較検討が新たに必要となっている。魚釣島の淡水および周辺海域の海水の環境DNAによる分析は、国際情勢により実現が難しい状況が続いている(次項で述べるように、将来それにつながる研究を計画中である)。このようなことから、当初の見通しに比べて最終的な研究課題の完了には時間がかかる見通しであるが、ライダー衛星の利用の可能性が生じるなど、当初想定していなかった進展もあり、最終的には有意義な知見が得られると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
・前項で述べたように、魚釣島の淡水および周辺海域の海水の環境DNAによる分析は、国際情勢により実現が難しい状況が続いている。そこで、野生化ヤギが生息し、自然環境が類似した島嶼での採水を行い、環境DNAの分析を行うことによって、将来魚釣島での採水が可能になった場合に参考となる知見を得ることを計画中である。現在、当初の規模や植生の魚釣島との類似性、渡航の容易さなどの点から、南西諸島中央部の慶良間諸島を候補として検討を進めている。 ・衛星画像の分析については、植生指数を用いた分析とISOデータ法を用いた分析を併用し、両者の利点を活かした研究としてとりまとめていく。ライダー衛星の活用については今後時間を擁する可能性があるが、改善されない国際情勢のもと、上陸調査の可能性が見通せない現状において、これまでの手法と異なりセンカクモグラなど多くの固有種の存続に非常に大きな影響を及ぼす林床部分の植生の現状を知ることのできる手法として検討を続けていきたい。 ・
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)