Project/Area Number |
22K12461
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
片野 泉 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (90414995)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 秀幸 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 准教授 (80608505)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | DNAメタバーコーディング / ハイポレックゾーン / 環境DNA / 河床間隙 |
Outline of Research at the Start |
河川生態系の保全のため,目には見えない「河床間隙域」が育む生物多様性の多寡を知り, その価値を正しく評価することは急務である。本研究は,阻害要因も加味した環境DNA法とDNAメタバーコーディング法とを併用することで,既往の採捕手法では叶わなかった「底生動物のどの分類群が,いつ,どこの河床間隙を利用しているか」という疑問に答え,どのような河床間隙域を優先して保全すべきかを示す。自然河川での瀬頭・洲頭・巨礫裏など多様な河床間隙域における生物群集の違いを比較する。さらにダム上下流で環境改変の有無による違いも比較する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
河川生態系の保全のため,目には見えない「河床間隙域」が育む生物多様性の多寡を知り, その価値を正しく評価することは急務である。本研究では,DNAメタバーコーディングを用いて「底生動物のどの分類群が,いつ,どこの河床間隙を利用 しているか」という疑問に答えようとするものである。2023年は,河川(砂河川中流域,礫河川上流域,砂河川上流域,ダム河川下流域)での野外調査を通し,本研究の目的に最も合致した調査地の選定,間隙水調査を有効に行うための条件設定の最終整備,野外でのデータ採取の3点に注力した。2023年の成果は,以下の通りである。(1)間隙水からのDNA抽出方法の最終的な選定,(2)砂州上のどの位置での採水が適当かを明らかにした。また(3)論文を投稿し,国際誌に受理された。具体的には,調査対象河川を絞り込み(4河川・4地点),条件設定の整理とデータ分析,複数の学会発表を行っている。また,1報の論文が受理された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
河川生態系の保全のため,目には見えない「河床間隙域」が育む生物多様性の多寡を知り, その価値を正しく評価することは急務である。本研究では,DNAメタバーコーディングを用いて「底生動物のどの分類群が,いつ,どこの河床間隙を利用しているか」という疑問に答えようとするものである。2023年は,自然河川(砂河川中流域,礫河川上流域,砂河川上流域),およびダム河川下流域での野外調査を通し,(1)間隙水からのDNA抽出方法の最終的な選定,(2)砂州上のどの位置での採水が適当かを明らかにした。また(3)論文を投稿し,国際誌に受理された。(1)間隙水は有機物無機物を多く含んだ濁水として得られる。サンプルは実験室で攪拌・沈殿させ,泥水をPowerSoil で抽出したサンプルのDNA収量が最も多いことが明らかとなったため,これを複数の河川で適用した。その結果,4調査地点全てにおいて同条件でのDNA収量が最大であり,分析に十分量が得られることがわかった。(2)調査地点を,木津川(京都府木津川市),四郷川・平野川(奈良県東吉野村),比奈知ダム下流(三重県名張市)に設定した。これらの河川において砂州上の砂州頭・砂州尻にあたる位置に井戸を設定・採水し,間隙物理化学環境を測定した後,DNA収量と出現分類群を比較したところ,透水係数や電気伝導度・溶存酸素をはじめとする環境特性は地点により大きく異なり,DNA収量は砂州頭で多いこと,出現分類群は砂州頭と砂州尻で大きく異なり,砂州頭ではユスリカ科やミズミミズ科,砂州尻ではケンミジンコやヌカカ科が優占することが示された。(3)論文では,間隙域における生物群集の把握方法として直接採捕とeDNAメタバーコーディングとを比較し,その一致率は62%-78%であり季節的な変動があること,eDNAは直接サンプリングと比較してより多くの生物分類群を捉えられることを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り2024年度は,ダム下流域での調査を継続し,自然河川との比較を行う。ダム下流において環境緩和策(土砂還元)が試行されている比奈知ダムにおいて,土砂還元前後での調査も行い,既存の対策が河床間隙域に与える影響についても検証する。データをとりまとめ,複数の学会発表を行う。また,さらなる論文を発表できるよう努める。
|