Project/Area Number |
22K12466
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
吉田 磨 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (20448830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 浩之 北海道大学, 農学研究院, 講師 (10374620)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 釧路湿原 / ヒシ / 湖沼の生物多様性 / UAV空撮 / ロボットボート / 衛生画像解析 / 流域生態系 / 湖沼環境修復 / 湿地 / 環境修復 / 湖沼生態系 / UAV |
Outline of Research at the Start |
本研究では栄養塩等の環境化学分析やUAVによる空撮、ロボットボートによる広域観測を実施して 1) 水環境の季節変化とヒシ範囲拡大との因果関係を明らかにする、衛星データから過去から現在までの土地利用変化を特定して 2) 栄養塩負荷量の年変動を推定する、ヒシを刈り取って湖底蓄積量を見積もり、ヒシの有無による生物多様性の実態を把握することによって 3) ヒシの生育と拡大に刈り取りの効果があるか検証し湖内環境、生物多様性改善効果を立証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に実施した各関係省庁へのフィールド観測に関する事前相談を基に、2023年度は、シラルトロ湖の4測点において6月、7月、10月と季節を変えて、エンジン・ハンドエレキ付きゴムボートを用いて水質化学成分の現地計測を実施した。同時に湖水及び底泥間隙水中の栄養塩等の環境化学分析のためのサンプル採取を実施した。また、湖底におけるヒシ堆積による還元環境下でのメタン生成にも着目し、生物起源温暖化物質である一酸化二窒素と合わせて分析するためのサンプル採取を実施した。採取したサンプルは研究室に持ち帰り、前処理を行った上で、化学成分や温室効果気体の分析を行った。 UAVによる空撮、ロボットボートによる広域水質観測および測深については、機器の性能試験のほか、シラルトロ湖の水環境やヒシの分布状況の把握に集中した。これにより空撮画像より作成したオルソ画像により詳細なヒシの分布が把握できること、航行の障害となるヒシが繁茂している水域においてもロボットボートの航行と水質観測が可能であることを確認した。また、それぞれで得たデータの解析から、ヒシの分布は水深の浅いエリアに集中していること、湖岸近傍のヒシがエゾシカによって採食されていることがわかった。今後は、エゾシカの採食が水環境に及ぼす影響についても注視したい。 2022年度に衛星画像データから過去から現在までの土地利用変化を特定する研究を実施したが、衛星画像による分類の精度を上げるため、実際に現地に行って分類が正しいか、また分類しきれない部分を補正するため、現場を確認した。その結果、農地や宅地の大幅な面積増加は確認されなかったが、森林面積が減少し、荒れ地やハンノキ林が増加していることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は法令順守のために各関係省庁にフィールド観測に関する事前相談、研究協力者である尾山による手法を用いた、2013、2017、2019、2020、2022年のヒシ分布範囲の特定を行った。その結果、フィールド観測の準備は整い、2017年以降はシラルトロ湖北側まで分布範囲も面積も拡大していることが確認できていた。 そこで2023年度は、ヒシのライフサイクルに合わせて湖内水環境やヒシ生息範囲等の季節変動を明らかにするため、ヒシ拡大期の6月、最盛期の7月、枯死後の10月に乗船型のボートを用いて観測したサンプルを用いた栄養塩等の環境化学分析、温暖化物質の動態解析、UAVによる空撮、ロボットボートによる水質観測と測深を実施した。ロボットボートを用いた生物調査については、透明度の低さから十分な水中のデータが得られないことが判明したため、空撮画像を用いたヒシの分布図の作成に集中した。 2022年度の衛星データ解析で得られたヒシ分布範囲の経年変化や土地利用変化についての結果は湿地学会等で成果発表を行った。また、浮葉性植物が繁茂する湖沼でのロボットボートによる観測手法の検証については、応用生態工学会等にて成果発表を行った。 以上より、おおむね順調に進展していると評価することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
シラルトロ湖においてヒシ発芽期の初夏、最盛期の盛夏、枯死する秋にそれぞれUAV空撮や乗船型船舶、ロボットボートを用いた現場フィールド観測を実施した。次年度も無機栄養塩、全窒素全リン、溶存酸素、EC、pH、濁度、COD等の流域環境化学的手法を用いた現地計測やサンプリング、またヒシ分布域の把握を行うための観測も継続的に実施する。 今年度の観測では、ヒシ堆積による還元環境下でのメタン生成が示唆されたため、堆積物土壌での動態を把握するために、堆積物コアを採取後に空気に触れることなく間隙水を採取する方法を開発し、フィールド観測の際に実施する。更に、今年度明らかになったエゾシカによる採食が確認された区域にも注目し、一部の水域でヒシを刈り取り、翌年刈り取り区とエゾシカによる採食区、非刈り取り区を比較する。これにより、ヒシの生育と拡大に刈り取りの効果があるか、エゾシカの採食の効果があるかを検証し、蓄積されている元素量から湖内環境変化の効果を見積もる。 船舶からの水中カメラ調査、更にはダイビングにより水中観察による生物調査、水草の分布調査を実施する。これらの調査により、ヒシの有無や密度による生物多様性の実態を把握する。
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