気候変動影響に対するアマモの生態・生理的反応と遺伝子発現の実験的検証
Project/Area Number |
22K12470
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | Marine Ecology Research Institute |
Principal Investigator |
百田 恭輔 公益財団法人海洋生物環境研究所, 海生研中央研究所, 研究員 (10815921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 允昭 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 主任研究員 (10805865)
渡辺 謙太 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (20725618)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | アマモ / 気候変動 / 淡水流入 / 遺伝子発現 / 生理応答 / 環境勾配 / 発芽 / 海草藻場 / 緯度勾配 / 環境応答 |
Outline of Research at the Start |
近年、海洋熱波や河川流入の頻発化・激甚化に伴い、アマモ場の衰退・消失が世界各地で懸念されている。このような気候変動に対するアマモの抵抗性には、局所適応に関わる緯度・環境勾配に沿った違いが予測される。本研究では、日本国内の3海域のアマモ個体群を対象に、海水温および淡水流入の実験操作に対する種子の発芽および成長期における生態・生理的反応と遺伝子発現を計測し、その緯度・環境勾配に沿った特性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、気候変動に対するアマモの抵抗性の緯度・環境勾配に沿った違いを把握するために、日本国内の3海域で周年生育する多年生アマモを対象にして、海水温および淡水流入の操作実験に対する成長・生理的反応、それらに関わる遺伝子発現について調べることを目的とする。 2022年度は、5~7月に北海道厚岸・岩手大槌・東京湾の3海域のアマモ場において、現地データ収集および実験に用いるアマモの花枝(種子)および栄養株の採取を実施した。その後、7~8月に栄養株への海水温影響を調べる屋内操作実験を実施した。この実験では、北海道厚岸・岩手大槌・東京湾・東京湾+2度の海水温をそれぞれ再現した計4実験水槽を設けてアマモを飼育し、生存率や光合成活性の定期測定を実施し、遺伝子発現(RNA)分析用のサンプルおよびC/N比分析用のサンプルを取得した。 さらに、採取後に追熟したアマモの種子を用いて、発芽への海水温影響を調べる屋内操作実験を10月から開始した(翌年度7月まで継続予定)。この実験では、栄養株を用いた実験と同様の飼育環境を設け、発芽・発根状況を定期観察している。 また、発芽への水温影響を調べる屋内操作実験については、2021年10月から2022年2月にかけて北海道厚岸および室蘭を用いた予備実験を水産技術研究所・神栖拠点および海洋生物環境研究所中央研究所の2か所で実施しており、この実験の成果をもとに実験計画を再構築した。なお、予備実験では海水温の上昇により北海道のアマモ集団の種子の発芽時期を早める可能性が示す結果が得られた(佐藤ら、日本地球惑星科学連合2022年大会)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、海水温の発芽・実生への影響評価実験(実験(i))、海水温および淡水流入の影響評価実験(実験(ii))の準備を行う予定であったが、アマモ場の状況、予備実験の結果や飼育設備利用の制限などにより実験計画の変更を行った。 予備実験により、発芽時期が想定よりも長いことが明らかになり、十分な量の実生の確保が技術的に難しい可能性が出てきた。そのため、育成した実生の代わりに現地で採取した栄養株を用いて実験を実施する計画に変更し、発芽に関する実験については動態を十分に捉えるために実験終了時期を春から夏まで延長している。 また、海水温の操作については、北海道厚岸・岩手大槌・東京湾・東京湾+2度・東京湾+4度の5つの操作区を設定する計画であったが、飼育設備のキャパシティや、東京湾+4度での最高到達水温が高過ぎることを勘案し、北海道厚岸・岩手大槌・東京湾・東京湾+2度の4つの操作区を設けて実施する計画に変更した。 以上のように、緯度勾配に焦点を当てた研究は概ね順調に進んでおり、採取した栄養株を用いて実験(ii)を遂行できる見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は緯度勾配に着目した実験を実施し、本年度は環境勾配に着目した実験を主に実施する計画している。具体的には、初年度から実施中である発芽・実生への影響評価実験(実験(i))を7月中旬まで継続し、その後、現地採取したアマモの栄養株を用いて海水温および淡水流入の影響評価実験(実験(ii))を実施予定である。当初計画では、実験(ii)については、北海道厚岸・岩手大槌・東京湾の各海域から環境勾配に沿った2地点を選定して実施する予定であったが、飼育施設利用の制限などの理由により実験規模の縮小が必要となった。そこで、海水温および塩分勾配に沿ってアマモが分布する厚岸海域に対象を絞り、海水温および淡水流入の影響を評価することで、環境勾配に着目した視点からの研究を遂行する計画である。なお、東京湾1地点を温帯の比較対象として加えて、最大4地点のアマモ場を実験対象とする予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)