Project/Area Number |
22K12476
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64050:Sound material-cycle social systems-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 昌樹 日本大学, 生産工学部, 教授 (60287597)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 微細気泡 / 気液界面反応場 / 金属有機骨格体 / 二酸化炭素 / 吸着分離 / 細孔構造制御 |
Outline of Research at the Start |
大気中二酸化炭素濃度の増加にともなう温暖化は地球規模で解決すべき課題となっており,その解決に向けた取り組みが求められている。これまで化石燃料の燃焼により発生する二酸化炭素を回収することを目指し,CCS (Carbon dioxide Capture and Storage)が開発されてきた。一方,近年,温暖化対策の観点から大気中に含まれる数百ppmの二酸化炭素を分離回収するDAC(Direct Air Capture)が注目されている。 本研究ではDACでの利用を念頭に二酸化炭素吸着能に優れた金属有機骨格体の製造を行い,その吸着特性の評価をとおしてDACの吸着材として用いた場合の性能評価を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題は二酸化炭素の吸着/分離材料として金属有機骨格体(MOF)を用いることを視野に,新規合成手法を開発することを目的としている。具体的にはMOFの合成過程で微細気泡の導入を行い,微細気泡表面(気液界面)という局所反応場を活用することでMOF自体が有するミクロ構造と微細気泡が鋳型として機能して形成されるマクロ構造を同時に有する材料の製造を目指す。 2023年度は合成を目指すMOFとしてゼオライト様のMOFとして工学的な利用が注目されているZIF-8を選択し,合成条件の検討や微細気泡を導入していない系でのMOFの試作を行った。特に微細気泡表面での金属カチオンの濃縮を想定し,金属イオンと有機配位子の仕込組成が生成物の結晶性や生成量(収量)に与える影響を評価した。その結果,配位子と金属イオンの物質量比(配位子/金属イオン)25以上の領域において目的とするZIF-8が高い結晶性で得られること,原料濃度が高い方が収量が多くなることが示唆された。そこで現在,反応溶液中に微細気泡を導入し,生成物の質や量に対する影響を評価し始めている。現段階では微細気泡を導入することによる結晶性や収量に対する明確な差は確認されておらず,導入する気泡のサイズや微細機法の導入量,微細気泡を形成する気体種の影響を評価する計画である。 一方,MOFの工学的利用を考えた場合,その連続合成が求められる。そこでマイクロフローリアクターを用いたMOFの合成についても取り組む計画を立てており,現段階で実験系の構築まで完了している。今後,原料の混合方法や原料濃度などのパラメータを操作因子に流通系でのZIF-8の合成に取り組む計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初小型の微細気泡発生装置を利用したMOFの合成をねらい装置開発に取り組んできたが,排気側の圧力操作が難しく,狙ったような微細気泡を得ることができなかった。そのため,今後も継続して小型の微細気泡発生装置の開発には取り組む予定ではあるが,研究の進捗を鑑み,微細気泡の導入に関してはリッタースケールの微細気泡発生装置を用い,微細気泡を導入した純水を溶媒として用いることでその導入効果を評価する方針に計画を変更することとした。このような方針の微修正に伴い実験計画への遅れが発生している。 一方,微細気泡の利用に関して微細気泡導入からの時間経過にともない,反応系に残存する微細気泡の量は減少するがその気泡径の平均サイズは小さくなる(気泡系が大きいほど浮上速度が大きく消失する速度が大きい)との助言を受けている。つまり,微細気泡を鋳型とした結晶成長を考える上で微細気泡導入からの経過時間が操作因子として機能する可能性を示しており,新たな視点で実験系を捉えることにつながることを期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
現有設備である微細気泡発生装置を用い,MOFの合成溶媒に微細気泡を導入し,その効果を定量的に評価することを目指す。具体的には,合成対象のMOFとしてZIF-8を選択し,その合成溶媒である蒸留イオン交換水への微細気泡の導入時間(導入された微細気泡の導入量を制御),微細気泡を導入してからの静置時間(液相に存在する微細気泡の粒子径の分布に影響),仕込みの金属塩と有機配位子の物質量比と濃度,反応原料の混合方法などを操作因子に,微細気泡の導入の有無が合成されるMOFの結晶性や収量,粒子サイズに与える影響を定量的に評価することを目指す。また,材料としての特徴を評価するため,粉末X線回折や比表面積測定,吸着挙動の動力学的評価などを実施する。 一方,MOFを工学的に利用するためには大量生産に対応可能な連続合成法の確立が必要である。そこで微細気泡の導入と並行して連続合成に向けた装置開発を行う。均一なMOF粒子の連続合成には反応原料の均一な混合が不可欠であると考えており,この点を最適化する装置開発を目指す。具体的にはミキシングに優位性を持つスラグ流反応器を用い,原料の合流部形状や流体の線速度などがMOFの合成に与える影響を明らかにし,連続合成に向けた知見を蓄積することを目指す。 合成されたMOFは新たに研究室で導入した装置を用いて二酸化炭素の吸着挙動の評価を行い,DACへの利用に向けた可能性を検討する。
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