Project/Area Number |
22K12483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64060:Environmental policy and social systems-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森 明香 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 助教 (10759351)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2026: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 流域災害・復興災害 / 市民参加・合意形成 / 流域治水 / 市民調査 / 令和2年7月豪雨 / 球磨川・川辺川 / 豪雨災害 / 都市化 / 市民参加 / 合意形成 / 河川開発 / 流域災害 / 水害 / ダム / 球磨川 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、気候変動の時代に特徴的な近年の豪雨災害において、何が被害の拡大をもたらしうるのかを、2020年7月豪雨によって甚大な被害が生じた熊本県南部・球磨川流域を主な研究フィールドとして、被災者を含む流域住民への聞き取り調査を主とした環境社会学的アプローチにより、明らかにする。 この作業を通じて、2021年4月末に可決された流域治水関連法の元で取り組まれている河川政策の可能性と限界とを析出し、温暖化時代に求められる河川管理のあり方および思想について、提言する。
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Outline of Annual Research Achievements |
・球磨川流域豪雨災害の被害拡大要因とメカニズムの解明を目指し被災者ら流域住民と共同して調査中に取り組む中で、これまでも災害復興をめぐる問題に直面していたが、本年度は図らずも災害復興問題に割く時間が大半を占めることになった。 具体的には、人吉市中心部で浸水リスクの高い(2020年7月豪雨で1.5m以上浸水した)土地に建設中の災害公営住宅建設をめぐる問題や、復興まちづくりの一環として流域治水とセットで取り組まれる人吉市中心市街地の区画整理事業をめぐる問題について、策定プロセスの透明性と市民参加の機会の十分な確保をめぐり、参与観察や情報開示請求を行ない、被災者・自治体の双方へのインタビューを重ねるなどして、実態の把握に努めた。 上記調査の結果、前者は災害公営住宅建設予定地周辺に居住する被災者と入居予定の被災者との双方が、意見を述べるための十分な情報提供をされたとは言い難い状況で策定プロセスが進んだことが、窺えた。 後者も同様に、意向調査を行う対象を、既存の地域コミュニティを十分考慮したとは言い難い範囲に設定した等の影響で、地域コミュニティを結果的に分断するなど、従来の復興研究からの教訓を十分踏まえたとは言えない面が散見された。くわえて後者は、流域治水とセット(=山田川の河川改修)で取り組まれる区画整理であるにもかかわらず、国・県・市がどのように協働して被災者や市民の声に応えようとしているのかが、必ずしも明白ではない様子が垣間見えた。この点は、現在進行形の球磨川流域治水プロジェクト全体と個々の自治体の復興との関わりという点でも、さらなる実態把握の取組みが必要である。 ・球磨川流域豪雨災害において特に降雨量が多く被害の大きかった中流域の被災地調査は、被災者をご紹介いただいたものの、必ずしも当初の予定通りには進行していない。それゆえ本年度までの成果を公開しつつ、中流域調査にも注力したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査研究構想の当初には想定していなかった復興をめぐる問題に直面し、「復興災害」の実態把握に多くの時間を割くこととなった。大きな文脈では流域治水をめぐる問題の一つに位置づけられる内容ではあるものの、問題の全体像を描くには力量が追い付いていないのが実状である。引き続き問題に関するデータを渉猟・整理しつつ、当初の課題である流域全体の発災メカニズムと要因群の把握に関する調査研究に力点を置きなおし、調査を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
・とりわけ短時間降雨の大きかった中流域(球磨村・芦北町・八代市坂本町)の状況について、現地視察や被災者との意見交換、資料の渉猟を通じて実態把握を試み、球磨川流域豪雨災害における被害拡大要因とそのメカニズムについて、流域各地点の特徴を試みる。その際、各地点の減災の知恵についても把握を試みることを通じて、現在進行形の復興事業や避難をめぐる計画の実行可能性についても、目を配りたい。
・気候危機時代の川との共生の在り方を模索するにあたっては、地域状況の微地形を含む地理や都市化や山林などの開発、居住者の状況や災害文化に関するミクロな把握が求められると同時に、それらミクロな把握を全体状況の中に置きなおし、ミクロとマクロの往還作業が必須であることが、本研究課題に取り組む中で痛感している。上述した調査に取り組むとともに、得られた知見の妥当性を確かめるためにも学会報告や論文発表に注力したい。
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