Project/Area Number |
22K12489
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64060:Environmental policy and social systems-related
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岡田 啓 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (40450762)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 国際海運 / 環境規制 / 原油 / タンカー / 資産価値 / 実証分析 / 資産価格 / 耐用年数 / 生存解析 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、環境規制が耐久消費財の耐用年数とその中古市場価格(資産価格)にいかなる影響を与えるのかを解明するため、国際海運における環境規制である原油タンカーへのダブルハル規制をケースとして実証分析を行う。この分析により船社が環境規制に対応するために中古船の売買市場や解撤市場において如何なる選択をとるのかを実証的に解明する。本研究の知見は、今後展開される国際海運の脱炭素化政策を実施した際において、脱炭素対策に技術的に対応できない船舶が、中古船売買市場や解撤市場においてどのようになるのかという動向を概観するときに応用できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環境規制が耐久消費財の耐用年数とその中古市場価格(資産価格)にいかなる影響を与えるのかを解明するため、国際海運における環境規制である原油タンカーへのダブルハル規制をケースとして実証分析を行う。 この実証分析を実施するためには、過去の規制の歴史的経緯の調査と原油タンカー(個船ベース)に関する各種データ(例えば、建造年、廃船年、タンカーのスペック、船種の推移、船の価格、取引の推移、取引後の旗国、船社、船種の履歴)を整備し、個船がどのように規制に対応したのか概観する必要がある。 前者の歴史的経緯の調査については、既存文献を渉猟し、13F、13G規制の歴史的経緯の調査を実施した。同時に、条約発効の年、原油漏洩事故と規制強化の関係、建造年に対してにどのような規制がかけられたのかについて調査を行った。 後者のデータ整備については、Clarkson Research社が発行している紙ベースの書籍からデータを取得し電子データに変換した。また、IMOが提供しているデータベースのデータを取得した。それらを統合することを本年に実施した。2023年度末時点で、1997-2012年の16年分の資料から約1100隻の原油タンカーデータベースを作成している。このデータベースのデータを簡易的に観察したところ、1982年、1996年といった規制で決定された年近辺に建造された船の生存時間や船種の転換の結果に差が見られた。現在、規制の条件とこの行動についての関係、原油の消費量の増加、原油市場の動向、そして原油タンカーの浮体式生産設備への転換の関係などを精査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
選んだ区分となったのは第一に研究を遂行するために用いる石油タンカーの個船のデータベースが、データの質・量ともに、当初の予想よりも大きいものが必要であることが分かったためである。研究で明らかにすべきことをデータで立証するためには、個船の建造から廃船までの履歴データが必要になることがわかった。第二に契約したClarkson Researchが提供しているデータベースサービスでは過去の船舶のデータが取得できないことが判明した。よって、書籍版Tanker Registerから必要なデータを電子データに変換する必要が生じた。この媒体の変換にするかなりの時間を消費した。第三に、データで実証分析を行うために、対象とするべきタンカーの隻数を調べたところ約11000隻でかつ16年分個別の船舶を追跡することが必要であることがわかった。船舶は頻繁に船名を変更するので、データが複数年に渡るときには、個船データを名寄せしなければならない。この名寄せにも時間を要した。最後に、Tanker Registerのデータは船種の履歴等が無いため、他のデータベース(例えばIMOが提供しているデータベース等)から船種の履歴データを取得し、大本のデータと統合する必要が生じ、実際の作業に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、次の3点を実施する。 第一に追加の文献調査を行う。ダブルハル規制の経緯についても正確に規制制度や規制議論の過程を追うことにする。加えて、タンカー関連の分析について既存研究ではどのようなアプローチを取っているのかについて調査を行う。これを行うことで本研究の分析幅を広げ、研究の論点を多角的に分析できるようになる。 第二にデータベースのさらなる整備と拡張を行う。現在は1996-2012年の16か年分のデータが手元にあるが、未完成のところがある。具体的には船種の履歴のデータと船舶取引とその時の資産価格データが未整備である。資産価格データは本研究における主要なデータである。今年度はこれを追加するために、IHS MarkIt社のデータベースと契約することも検討する。 第三に、整備できたデータの範囲で各種分析を実施する。具体的には、最初にこのデータの可視化を行う。この可視化により、環境規制が原油タンカーの生存時間や船種の転換にいかなる影響を与えたのかを視覚的に把握でき、仮説の構築に寄与できる。続いて、生存分析を行い、規制前後に建造されたタンカーにおいて、タンカーとして生存期間に差異があるかどうかを分析する。そしてそれを学会発表、論文にまとめる。また、データ整備の状況を鑑みつつ、資産価格と環境規制に関する分析の準備を行い、速やかに分析を実施する。これらの3点の研究を行うことで、本課題の目的であるダブルハル規制がタンカー市場に与えた影響を分析できる。
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