Project/Area Number |
22K12513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊東 早苗 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80334994)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 質の高いインフラ / ダッカメトロ / デリーメトロ / バングラデシュ / 日本 / 開発協力 / 通勤車両 / インフラストラクチャー / 開発学 / 質の高いインフラ事業 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、開発協力を通じて建設される「インフラストラクチャー」を開発学の視点から、質的調査を通じて分析するものである。事例として、日本政府が投資事業として実施する「バングラデシュMRT新型通勤車両6両編成」を取り上げる。事例研究を通じ、国際協力を介して動員される資材、技術、資金、管理体制がどのような「もの」と「もの」、そして「技術」と「ひと」の新しい関係性を構築し、そこにはどのような政治性が介在するのかを分析する。また、新しい関係性からなる「システム」としてのインフラの移転は、人々の体験をどのように移し替え、それを通じて、どのような「開発」のビジョンに貢献すると考えられるのかを考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、それ以前より編集・執筆していた東アジア諸国の開発協力政策に関わる書籍 (The Easternization of Development: The politics of East Asia's developmentalist cooperation)を英国のPractical Action Publishingから出版することができた。この書籍の第5章("Japan's Developmentalist Cooperation for Quality Infrastructure")として、本研究テーマと関わる「質の高いインフラ事業」を分析する章を執筆した。 この他、2023年度は本研究のテーマに関係する研究や実務に携わる国内外の研究者や専門家と連絡をとり、インタビュー調査、資料収集、情報交換の機会を得た。特に、質の高いインフラ事業の一環としてのダッカメトロ事業に長年関わってきた国際協力機構(JICA)関係者には、日本およびバングラデシュで直接会って話を聞くことができた。また、JICAが主催する同テーマのセミナーに参加して、ダッカメトロ事業の現時点における評価に関わる研究発表を聞き、関連する資料を得ることができた。さらに、インドのデリーを訪問し、デリーメトロを視察した他、デリーメトロ建設事業に関わるプロジェクト・ヒストリーを2016年に執筆・刊行した開発コンサルタントの方にお会いし、建設当時の事情や、その後のデリー市民によるメトロの利用状況について興味深い話を聞くことができた。 上記とは別に、海外における日本の鉄道事業展開について研究している英国Loughborough大学の研究者と連絡をとりあい、日本や中国の鉄道輸出の動向や今後の研究協力の可能性について打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はインド、バングラデシュ両国での現地調査を実施した他、関連する資料の収集、文献調査、複数の関係者へのインタビュー調査及び海外研究者との情報交換を実施することができたため、研究はおおむね順調に進展しているといえる。ただし、「鉄道インフラ」という、私自身の過去からの知見が少ない新しい研究テーマに取り組んでいるため、鉄道事業が抱える技術的な問題を理解することに時間がかかっている。また、エスノグラフィー等の研究手法を用いた長期の現地調査を実施するだけの時間的余裕がないこともあり、研究成果を専門的な論文の形にするための実証的なデータの収集に困難を抱えている。 2024年度6月末にロンドン大学で開催される英国の開発研究学会(Development Studies Association)全国大会で研究発表をする申し込みをし、研究要旨が採択されるところまで行きついた。現在は、研究発表の中身を準備している。学会での質疑応答や情報収集を経て、海外学術誌に投稿できる論文の執筆につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で開催される英国の開発研究学会(Development Studies Association)全国大会で研究発表を行う。学会での意見交換及び情報収集を通じて報告論文に手直しを行い、海外の査読付き学術雑誌に投稿できる論文執筆につなげたい。 また、再度のバングラデシュにおける現地調査を実施し、路線の拡張や乗客人数の増加による鉄道マネージメント上の対応や乗客行動の変化、さらに駅周辺の開発状況(TOD: Transit-Oriented Development)等について現状と課題を分析する。この他、日本における鉄道業界の現状や、鉄道輸出に関わる業界の対応状況について、関係者へのインタビュー調査等を通じ、より詳しい情報の収集に努める。これらの調査活動を通じ、鉄道輸出に政府開発援助を投入することの意味を多義的に分析し、グローバルに進行する「開発の金融化(Financialization of Development)」とつなげて考察を加える。
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