奄美群島の持続的社会を目指した高付加価値漁業生産への変革とイノベーション研究
Project/Area Number |
22K12571
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鳥居 享司 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (70399103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江幡 恵吾 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (10325772)
河合 渓 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 教授 (60332897)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 離島 / 漁業 / 水産業 / 水産物 / 奄美 / 与論 / 島 / 付加価値 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、現行の量産型漁業から、限られた資源を有効活用する高付加価値生産へ変革させるための条件と課題を、経営的視点と新技術の導入によって明らかにする。奄美群島の海洋資源の保全と社会経済活動の両立を促し、奄美群島の持続的社会の構築に寄与する。具体的には、奄美群島の漁獲特性に応じた市場選定、そこでの競争力確保に必要な新技術の適用条件と課題、市場開拓力をもつ民間企業との連携条件を明らかにする。さらに、奄美群島における漁業の課題は供給の安定性を確保することである。島内市場の地魚供給体制の確立を実現するために、いかにして加工・保管機能を有する魚問屋をバリューチェーンに組み込むことが可能か検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「限られた資源を有効活用する高付加価値生産へ変革させるための条件と課題を、経営的視点と新技術の導入によって明らかにすること」である。 それに基づき、1年目は奄美群島における漁業生産と水産物流通の現状について把握に努めた。奄美群島では、漁獲された水産物の大半は鹿児島や沖縄へ出荷される一方で、島内においては島外からの水産物が広く流通していることが明らかになった。奄美群島の一部は世界遺産に登録され、多くの観光客が訪れるなど、消費人口は総体として増加している。しかし、水産物の供給と需要がうまくかみ合っておらず、観光客に対しても島外からの水産物が供給される状況にあることが明らかになった。 こうしたことから、生産者と飲食・宿泊をつなぐための条件を奄美群島や与論島において調査した結果、①生産者は取引価格が良い市場へ出荷し、地元市場を優先するわけではないこと、②漁協女性部は加工品を製造・販売するも、規模は零細かつ従事者の高齢化で不安定であること、③飲食側は、調理人や調理施設の関係から「処理済み魚」でなければ使えないこと、などのため、地元で水揚げされた魚介類が島内で消費されづらい状況にあることが明らかになった。 地元水産物の島内消費を促進するためには、生産者と需要者をつなぐ役割を担うものが必要であり、それは鮮魚店を経営する仲買人であることを実証的に明らかにした。そして仲買人へ期待される役割は、①日々の入荷情報の提供、②小ロットからの水産物処理、③冷凍保管機能、④デリバリー機能、である。ただし、仲買人のなかには整った保管施設を持たないケースもあることから、整った施設を保有する漁協との協力が必要であることを提言した。 2023年4月より、与論島において地元水産物が島内の大型宿泊施設に利用される見込みである。それによる漁業経営への経済的効果の解明については次年度の研究課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響が残るなか、医療体制が脆弱な離島地域での調査は抑制的に実施した。ただし、年度後半はこうした制約も大きく緩和されたことから、実態調査を予定通り実施することができた。そして研究計画時に想定した1年目の研究課題をおおむね解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、与論島で確立した生産者と需要者の連携が、漁業経営に与える経済的影響について分析する。さらに、奄美群島においても生産者と需要者の連携確立にむけた課題分析を行い、島内バリューチェン確立による高付加価値漁業生産への道筋を明らかにする。 一方で近年、特定の魚介類への人気が高まり、高い価格で取引されるケースもみられるようになった。ただし、魅力的な価格は高い漁獲圧力を招き、資源利用の持続性が危ぶまれる状況に陥っている。高付加価値型生産を維持するためには、資源豊度の維持が必要であることから、資源の利用と管理のあり方を実証的に明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)