Project/Area Number |
22K12608
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 雅 広島工業大学, 工学部, 教授 (70273464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 雄記 広島工業大学, 工学部, 准教授 (40646270)
光井 周平 広島工業大学, 環境学部, 准教授 (70612026)
天満 類子 九州大学, 人間環境学研究院, 学術協力研究員 (10648512)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 宮島町家 / 外観デザイン / 建築構造 / 街路景観 / 文化的景観 |
Outline of Research at the Start |
宮島のまちなみ景観は江戸期から昭和初期にかけて建造された木造の「宮島町家」の風情が最も重要な要素となっている。町家の保存を検討する際には、外観デザインと建築構造の相互関係を十分に踏まえた上で保存方法を検討し、それがまちなみの形成にいかに反映されるかを考慮する必要がある。そこで、「宮島町家」の外観デザイン特性と構造的特性の基礎的知見を整理していくとともに、良好なまちなみ景観を形成するための外観デザイン指針および構造的保全手法の提示を目指した技術的検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、宮島を主たるフィールドとして、歴史的まちなみを有する観光地における街路空間のさらなる質的向上を目指した研究である。宮島のまちなみ景観は江戸期から昭和初期にかけて建造された木造の「宮島町家」の風情が最も重要な要素となっている。町家の保存を検討する際には、外観デザインと建築構造の相互関係を十分に踏まえた上で保存方法を検討し、それがまちなみの形成にいかに反映されるかを考慮する必要がある。そこで、「宮島町家」の外観デザイン特性と構造的特性の基礎的知見を整理していくとともに、良好なまちなみ景観を形成するための外観デザイン指針および構造的保全手法の提示を目指した技術的検討を行うことを目的とする。 宮島のまちなみ景観の4つの分析項目について現地調査等に基づく分析を行っている。(1)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の外観デザイン特性の分析 (主担当:金澤):現存する宮島町家や他地域の町家の外観デザインの実測調査に基づいて、外観デザインと建築年代や生業との関係や、外観デザインの共通性や異質性について考察を進めている。(2)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の建築構造特性の分析(主担当:光井):現存する宮島町家の現地調査にもとづき、宮島町家の持つ構法的特徴を整理するとともに、耐震診断を実施して地盤特性も考慮した耐震性能に関する分析を進めている。(3)まちなみ景観の構成要素である市街地の文化的景観の分析(主担当:天満):宮島に残されている厳島図会などの過去のまちなみ景観が推測できる史料や業種の変遷を推測できる屋敷帳などの史料から文化的景観の形成に関する分析を進めている。(4)まちなみ景観の構成要素である市街地の街路景観の分析(主担当:伊藤):宮島の街路上におけるライフライン設備の実態を調査していくとともに、景観阻害要因となっている設備が景観へ与える影響度合いの評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、研究はおおむね順調に進展しており、各項目について下記のような調査・分析が進行中である。 (1)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の外観デザイン特性の分析(主担当:金澤):本年度は宮島町家の中でも近代において理容院・美容院を営んだ6件の対象町家を抽出し、時代・社会背景を把握した。既存の町家を理容室は土間化、美容室は板間化して改装し営業したが、出格子の撤去など外観を大きく改装するため、宮島町家の魅力が失われる生業でもあったことを明らかとした。 (2)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の建築構造特性の分析(主担当:光井):宮島町家の耐震化に向けた調査を行った。これまでに調査を実施した件数は9件となった。間口が狭く奥行きが長い敷地に合わせて建てられた典型的な宮島町家は、間口方向がほとんど開口部で耐震要素となる土壁がなく、耐震性を表す上部構造評点の値が著しく低い結果が得られた。一方で、常時微動計測により得られた振動特性を分析した結果、建物の固有振動数は間口方向の方が高い(すなわち硬い)結果も得られた。 (3)まちなみ景観の構成要素である市街地の文化的景観の分析(主担当:天満):宮島に残されている厳島図会などの過去のまちなみ景観が推測できる史料や業種の変遷を推測できる屋敷帳などの史料から文化的景観の形成に関する分析を行った。 (4)まちなみ景観の構成要素である市街地の街路景観の分析(主担当:伊藤):宮島東町地区の5地点を対象に歩行者流動調査を実施した。また、宮島を訪れた観光客を対象に2023年10月に導入された宮島訪問税に対する意識などのアンケート調査を実施した。歩行者通行量を計測した結果、神社に向かう際に表参道商店街を通行し、帰りに海岸通りを通行する傾向がより顕著になっていることが分かった。観光客の意識に関しては、宮島訪問税導入により来訪頻度や支出金額に変化は見られなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最終年度となる2024年度は宮島のまちなみ景観の4つの分析項目(1)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の外観デザイン特性の分析、(2)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の建築構造特性の分析、(3)まちなみ景観の構成要素である市街地の文化的景観の分析、(4)まちなみ景観の構成要素である市街地の街路景観の分析、について3年間の成果をまとめる研究活動を推進していく。 特に、4つの分析項目の相互連関の分析を行うために、「伝統的建造物群保存地区」を所管する廿日市市、民間の建築家が中心となった「いつくしま・まちなみ研究会」と連携して4つの分析項目の相互連関に関する議論を行う。また、分野横断型の研究会を実施することによりまちなみ景観の形成に対する各項目の貢献度合いを明らかにしていく予定である。
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